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タイに関するニュース

このページは、私が気になったタイに関するニュースを個人的にまとめたものです。

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 2011年1月10日






























◎カンボジア軍、タイ政治家ら7人拘束、国境付近(2010年12月29日、朝日新聞)
 【バンコク=古田大輔】タイとカンボジアの国境未画定地域で29日、タイ与党の民主党のパニット下院議員ら7人がカンボジア軍に拘束された。パニット議員は拘束後にタイメディアの電話取材に「国境のタイ側に駐留していたカンボジア軍に拘束された」と主張した。パニット議員はカンボジア軍の駐留場所を確認するために現地入りしていたという。
 パニット議員は前外務副大臣で、7月の下院補選で当選。7人の中には国境未画定地域に関してタイ政府に強硬姿勢を求める市民団体「民主主義市民連合」のメンバーらもいた。カンボジア国境警察は朝日新聞の取材に「国境を越えて不法侵入した容疑で逮捕した」としている。
 両国間には国境未画定地域が残されており、カンボジア側にある世界遺産プレアビヒア周辺では武力衝突も発生。首相会談を経て、今月6日にカンボジアのフン・セン首相が「両国関係は正常に戻った」と宣言したばかり。

◎タイ:タクシン元首相派が大規模集会、抗議行動強化か(2010年12月20日、毎日新聞)
 【バンコク西尾英之】タイのタクシン元首相派は19日、今年4月から5月にかけ占拠したバンコク都心部のラチャプラソン交差点で数千人規模の集会を開いた。4月10日の軍との衝突と5月19日の占拠終結の日に合わせ、今後毎月10日と19日に同交差点で集会を開くとしており、都心部占拠から1年となる4月へ向けて徐々に抗議行動を強めていく方針とみられる。
 当局は1000人以上の警官を動員して警戒に当たったが、タクシン派は暴力的な抗議行動はひかえ、大きな混乱はなかった。政府は近く4月以来継続したままのバンコクへの非常事態宣言を解除する方針だが、アピシット首相が約束した政治や社会を巡る不公正、不公平是正などの国民和解策はほとんど進んでおらず、都心部占拠1年へ向けて再び政府とタクシン派の対立が激化する恐れがある。

◎味の素がタイに新工場建設、うま味調味料の需要増に対応(2010年11月4日、産経新聞)
 味の素の連結子会社「タイ味の素社」は4日、タイ・アユタヤ県にうま味調味料の新工場を設立すると発表した。アジアをはじめとする海外での需要拡大に対応するねらい。
 新工場は53.9億バーツ(147億円)を投入し、今年12年着工、2013年3月の完成を目指す。約150人が稼働し、年間生産量は約6万トン、味の素全体の約1割を見込むという。
 味の素によると、同社のうまみ調味料は、アジアを中心とした海外需要が、過去10年間で約1.8倍の伸びを示しているほか、現地で使われる風味調味料の原料としても人気で、需要が5.4倍に拡大している。

◎タイ豪雨、死者38人、バンコクでも洪水警戒(2010年10月24日、産経新聞)
 タイ東北部を中心に豪雨による洪水被害が拡大、救急当局によると24日までに死者は38人に上り、家屋浸水などで少なくとも約130万人が被害を受けた。中部の首都バンコクでも河川の水位が上昇し洪水被害の危険が高まっており、行政当局は護岸に土のうを積み上げるなど対策を急ぎ、住民らに警戒を呼び掛けている。
 今月10日からの豪雨による被害は東北部ナコンラチャシマなど約30県に及び、地元メディアによると「過去数十年間で最悪の被害」。アピシット首相は対策委員会を設置し、各県知事らと協議を進めている。
 複数のダムで決壊を防ぐ放流が行われたため、バンコクではここ数日チャオプラヤ川が増水、タイ湾の満潮時と重なり周辺地域への浸水被害の危険性が高まっている。

◎タイで大洪水、死者・不明16人、なお水位上昇(2010年10月21日、朝日新聞)
 【ロッブリー(タイ中部)=古田大輔】今月中旬の断続的な豪雨による大洪水がタイを襲い、21日現在、少なくとも死者・行方不明者は16人に達し、浸水家屋は28万軒に上っている。チャオプラヤー川上流からのさらなる水の流入で、中部の浸水地では水位が上がり続けている。河口の首都バンコクでも、23日からの大潮と重なって浸水被害が出る恐れがある。
 21日、救援活動中のタイ空軍ヘリコプターに同乗し、被災地を上空から見た。バンコクから北に約150キロ、浸水が最も激しいロッブリー県バンミー地区は湖のようだった。道路が寸断され、ここ数日、陸路からの支援が届かない地域が出ているという。
 ヘリで食料を投下しているが、部隊を指揮するキーラーノン中佐(51)は「孤立している人数はわからないが、必要な量の1%も届けられていないだろう」と話した。
 タイでは10月は雨期の最終盤だが、今年は中旬を過ぎても豪雨が続いている。

◎バンコクなどの非常事態宣言3カ月延長、タイ政府(2010年10月5日、朝日新聞)
 【バンコク=古田大輔】タイ政府は5日、タクシン元首相派による反政府集会をきっかけに首都バンコクなど各地に出していた非常事態宣言を3カ月延長すると発表した。
 情勢の安定とともに、対象地域は徐々に狭まっていたが、バンコクとその周辺の4県は、今も爆弾騒ぎが頻発するなど治安は安定しておらず、解除が見送られていた。
 バンコクの非常事態宣言は4月7日以来、すでに約半年に及んでいる。

◎バンコク中心部で爆発、1人死亡10人けが(2010年7月26日、朝日新聞)
 【プノンペン=山本大輔】タイの首都バンコク中心部で25日夕、爆発があり、地元の病院によると1人が死亡、10人が負傷した。警察によると、爆発は5月までタクシン元首相派が占拠していた交差点に近いバス停で起きた。黒い袋に入れられてバス停付近に置かれていた爆弾が爆発したとみて調べている。
 バンコクでは同日、元首相派のデモ隊と現政権が衝突した騒乱後初の国政選挙となる下院の補欠選挙が、元首相派と政権与党の候補が対決する形で行われ、治安当局は警戒していた。ただ、現時点で政治対立との関連については不明だという。
 補選は与党・民主党の現職死去に伴って行われ、元首相派の最大野党タイ貢献党は対抗馬として、反政府デモを実施した「反独裁民主同盟」の幹部を擁立。この幹部はデモ行為に関連して治安当局に拘束されており、選挙活動のための保釈は許されなかった。地元テレビは同日夜、民主党候補が勝利したと伝えた。

◎タイ、非常事態宣言延長、東北部など5県は解除(2010年7月6日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】タイのアピシット政権は6日、タクシン元首相派勢力「反独裁民主戦線」(UDD)の反政府活動を鎮圧するため、バンコクと23県に発令した非常事態宣言のうち、東北部などの5県では解除する一方、残りは3か月延長することを閣議決定した。
 タクシン派の最大野党「タイ貢献党」は、正当な政治活動も抑え込む狙いだとして、延長を強く批判している。
 非常事態宣言は、バンコクでUDDの活動が先鋭化した4月7日、バンコクと周辺部で発令され、5月にUDD支持者が多い東北や北部にも拡大した。政府は、バンコクなどの宣言が7日で期限を迎えるため延長の是非を検討し、「5県を除き、引き続き治安状況を監視する必要がある」と判断した。首都での発令期間が3か月を超える異常な状況が、当面続くことになる。
 非常事態宣言下では、5人以上の集会などが禁じられ、警察や軍は不審者を容易に拘束できる。バンコクでは今月25日、下院の補欠選が予定されており、今回の決定は、UDDがタイ貢献党の選挙運動に乗じて、バンコクで再集結する事態を防ぐ目的との見方もある。

◎三菱商事、タイで世界最大級の太陽光発電所を建設、運営へ(2010年7月2日、日刊工業新聞)
 三菱商事は1日、100%子会社を通じ、タイで世界最大級の太陽光発電所を建設・運営すると発表した。独立系発電(IPP)事業会社を設立し、73メガワットの太陽光発電所を建設する。総事業費は約220億円。2011年末までに発電を始める予定。発電した電気はタイの電力公社EGATに25年間売電する。
 三菱商事子会社のDGA、香港の電力会社CLP、タイの大手IPP事業会社EGCOと共同で事業会社「ナチュラル・エナジー・ディベロップメント」(NED)を設立した。出資比率は3分の1ずつ。発電所の建設・運転を手がける。
 発電所はバンコクから北約200キロメートルに位置するロッブリ県に建設。敷地面積は約200ヘクタールで、太陽光パネルを約54万枚使用する。この発電量はタイの約4万世帯をカバーできる見込みという。

◎シャープ、タイの世界最大規模太陽光発電所建設を受注(2010年7月2日、化学工業日報)
 シャープは1日、設置容量が73メガワットと世界最大規模の太陽光発電所の建設を受注したと発表した。タイの独立発電事業者NED社から薄膜太陽電池モジュール・周辺システムの供給と建設を、同国最大手の建設会社ITDとITEとともに受注した。同国ロッブリ県に建設する予定で、今月中に着工し2011年末までに運転を始める予定。同社は今後、太陽電池モジュールだけでなく、国内外で現地の関連企業と連携して太陽光発電所の機器調達、システム設計、工事までを一括して提供するビジネスモデルを展開する方針。NEDは、東南アジアと台湾のIPP事業を統括する三菱商事100%子会社のDGA、アジア最大の民間電力会社の香港・CLP、タイIPP大手のEGCOの3社による合弁企業。発電事業の企画、投資、運営を手がけている。年間を通じて日射量が多いタイは、総電力需要における再生可能エネルギーの導入量を22年までに現状比20%引き上げる目標を掲げており、太陽光発電の利用拡大が期待されている。

◎タイ、夜間外出禁止令解除、総選挙「年内難しい」(2010年5月29日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】タイのアピシット首相は29日、バンコクに駐在する外国メディアと記者会見し、19日からバンコクと23県に発令していた夜間外出禁止令を、29日午前4時で解除したと発表した。
 ただ、非常事態宣言は継続し、タクシン元首相派勢力「反独裁民主戦線」(UDD)の動きを監視するという。
 一方、総選挙の時期については、「年末までの実施は難しい」と述べ、年内は行わない方針を示した。
 首相は5月上旬、貧困層の福祉向上など、5項目の「国民和解の行程表」をUDDに提案し、国民各層がこれを受け入れれば、11月14日に総選挙を行うと表明していた。会見では、総選挙の条件として国民和解の達成を挙げた上で、UDDの反発などで時間がかかると指摘した。

◎バンコク、焼け跡無残、広場は閑散、立ち入り制限も(2010年5月22日、朝日新聞)
 【バンコク=塚本和人】治安部隊とデモ隊が衝突し、一部が放火や略奪など暴徒化したタイの首都バンコクは21日、ようやく落ち着きを取り戻し始めた。タクシン元首相派のデモ隊が占拠していたバンコク有数の繁華街サイアム地区では、映画館や店舗がすっかり焼け落ちるなど暴動の激しさを伝えていた。
 サイアム地区は暴動が起きてから2日たっても一般市民の立ち入りは制限され、閑散とした広い通りや放火されたショッピングセンターの中では銃を持った兵士たちの姿が目立った。
 焼け落ちた映画館の前では、火災や略奪を免れた洋服店の従業員たちが黒い煙に巻かれた商品を店から取り出し、トラックの荷台に乗せていた。店を経営する弟を手伝っていた姉のスリナパーさん(42)は励ますように言った。「過ぎたことを考えても仕方がない。ほかの場所で店を再開することを考えたい」

◎「スラムの天使」タイ元上院議員に逮捕状、集会に関与(2010年5月22日、朝日新聞)
 【バンコク=矢野英基】タイの警察当局者は21日、貧困者の教育問題への取り組みで「スラムの天使」と呼ばれるプラティープ元上院議員に18日付で逮捕状を出したことを明らかにした。非常事態宣言下で禁じられる集会のためのステージを設置した疑い。
 プラティープ氏は、タクシン元首相派の反政府行動に共鳴。スラム住民らの集会開催などに関与したとされる。19日の治安当局による強制排除を受け、すでに集会会場などは解散している。

◎「タイの歴史上、最悪の出来事」、首相、治安回復を宣言(2010年5月22日、朝日新聞)
 【バンコク=藤谷健】治安部隊とデモ隊が衝突し、一部が放火や略奪など暴徒化したタイの首都バンコクは21日、ようやく落ち着きを取り戻し始めた。アピシット首相は同日午後、テレビ演説し、バンコクや地方の治安が回復したと宣言した。しかし対立は根深く、和解には時間がかかりそうだ。
 首相は演説の中で、2カ月余り続いた騒乱について「19日の強制排除やそれまでの武力衝突で、多くの人命や資産を失い、タイの歴史上、最悪の出来事の一つ」だったと認めた。ただ強制排除については「損失を最小限に抑えられた」と評価した。数千人が徹底抗戦を叫び、一部が武装していたことを考えると、軍事的には作戦は成功したとの見方だ。
 とはいえ、少なくとも85人が死亡し、1400人以上が負傷した。放火や略奪も相次いだ。首都機能を長期間マヒさせ、10万人とも言われる失業者や巨額の経済損失を生んだ。タイの中進国入りを支えた外国投資や観光などへの負の影響も計り知れない。
 最も深刻な問題は、4年前のクーデター以来、政治対立が続き、「同じ家(国)に住む家族(国民)同士」(アピシット首相)が憎しみ合い、なじり合った結果、互いの心に深い傷を残した。それでも「同じ家に住まなければならない」(同)という点だ。
 タイ社会は、1980年代以降の急速な経済成長を経て大きく変容した。首都に高層ビルが立ち並び、市民は消費生活を楽しむ。遅れが目立った地方でも、格差は縮まったかに見えた。
 だが一連の騒乱や対立は、置き去りにされた「タイ社会の醜い事実」(ネーション紙)を白日の下にさらした。タクシン元首相派だけでなく、政府をはじめ、司法や軍などが自らの主張を貫くため違法手段や暴力を使い、国民の権利や尊厳を平気で踏みにじる。不公正や不正義に対する不満が一気に噴き出した。
 その点でアピシット首相が3日、(1)王室の政治利用禁止、(2)貧富の格差是正、(3)死傷者が出た衝突の真相究明、(4)憲法改正や恩赦などの政治改革などを掲げた政治和解案は重要だ。これらの解決なくしては国民の和解は実現できない。一歩ずつ取り組んでいくほかはない。回り道は、新たな対立を生むだけだ。
 政治混乱のたびに調停役を果たしてきたプミポン国王は今回、沈黙を貫いた。
 昨年9月に発熱などのために入院した国王は病院にこもりきりで公式行事もほとんど執り行っていない。82歳という高齢による肉体的、精神的な衰えが指摘される。
 さらに双方による王室の政治利用に警戒感を示したとの見方もある。4年前のクーデターで軍部はタクシン氏の不敬を一つの理由に挙げ、今回も政府は同氏派を「王政転覆を狙っている」と非難した。これに対し、王室を政治的な道具に使う政府の姿勢にメディアから批判が出た。
 いずれの理由にせよ、今後、政治と王室の関係を改めて問い直す動きが出るのは避けられないだろう。

◎操業停止、ツアー中止、日本企業7千社、影響深刻、タイ(2010年5月21日、朝日新聞)
 タイの首都バンコクの騒乱が拡大し、自動車や電機など現地に進出している日本企業約7千社に、深刻な影響が出てきた。
 夜間外出禁止令など治安が急速に悪化したことを踏まえ、スズキは20日、工場を臨時休業。ホンダも一部の工場を除いて終日休業とした。トヨタ自動車は19日、3工場で夜間勤務を中止し、20日以降は禁止令が解けるまで昼間だけの操業に切り替えた。マツダも22日まで夜間勤務を中止する方針。
 NECや三菱電機、沖電気工業など電機各社も今週に入り、相次いで販売会社や現地法人を閉鎖。日立製作所は19日に臨時事務所を設置したが、その近くでも騒ぎが起き、結局20日は自宅待機にした。みずほコーポレート銀行は17日からバンコク支店を閉鎖し、バックアップオフィスで業務を続けている。
 神戸製鋼所や味の素、丸紅などは社員に対し、日本からタイへの渡航を禁じた。
 タイの治安部隊が動いた19日は商業地区が大混乱となり、ファミリーマートは34店を、モスバーガーも全7店を休業した。バンコク伊勢丹は入居する商業施設が放火されたが、4月3日から休業中で「商品などの被害状況はわからない」ままだ。
 観光客の急減を受けて、日本航空は関西、中部の両空港とバンコクを結ぶ路線を6月は減便する。JTBも、今月末までバンコクを含むタイ行きツアーを中止することを決めた。

◎暴徒化市民、街に火、占拠地区なお銃撃戦も バンコク(2010年5月20日、朝日新聞)
 【バンコク=矢野英基、武石英史郎】タイの治安当局によるタクシン元首相派の強制排除から一夜明けた20日朝、バンコク市内では暴徒化した市民による放火でショッピングセンターや銀行など少なくとも8カ所で新たな火災が起きている。行政当局などによると、犠牲者は増えており、19日の強制排除以来、死者は少なくとも14人、負傷者は90人近くまでにのぼる。
 強制排除作戦が実施されたバンコクのラチャプラソン地区。元首相派支持者数千人が最後まで解散決定に反対の声を叫んでいた会場には20日朝、人の姿は見えない。しかし警察によると、周囲の建物に武装した支持者が隠れ、銃撃を続けている。また近くのパトゥムワナラム寺で数百人が夜を明かした。女性看護師、僧各1人を含む6人の遺体も残されている。
 政府は19日、バンコクと地方23県に同夜8時から翌朝6時まで夜間外出禁止令を出していた。アピシット首相は同日夜、「治安は統制されている」と自信を見せたが、バンコクをはじめ、各地でほころびを見せている。
 バンコク北部のディンデン地区では19日午後から20日未明にかけて、元首相派の暴徒が5〜6軒のビルや商店に次々と放火。一部は20日朝もくすぶっている。全焼し、崩れそうな4階建てのビルの前で、主婦のスワンさん(50)が「何もかも焼けてしまった」とぼうぜんと話した。
 19日午後2時過ぎ、数十人の若者が現れ、1階のコンビニエンスストアに放火。4階の部屋から14歳の娘と着の身着のまま逃げ出した。「民主主義の戦いは認めるが、昨日の行為は許せない。ただの暴力だ」と憤った。
 元首相派の支持者の避難場所に指定されている占拠地区西側の国立競技場周辺。検問所にいた内務省当局者によると、強制排除後、406人が脱出した。20日早朝からも元首相派支持者を帰宅させるためのバス約20台が待機する。
 治安当局の設けた検問から占拠地区に向けては、爆発の危険があるとして、市民らの進入を一切禁じているため、中の様子をうかがい知ることはできない。検問の外には、元首相派と見られる数十人が集まり、「中の人たちが心配なの。撃たれたりしないの」と政府関係者に詰め寄った。

◎元首相派の一部が暴徒化、タイ軍、デモ拠点は制圧(2010年5月20日、朝日新聞)
 【バンコク=矢野英基】タイ治安部隊は19日夜までに、バンコク中心部のタクシン元首相派占拠地域の強制排除を終了した。これに先だって元首相派指導部は自ら占拠の終結を宣言した。しかし、納得しない元首相支持者の一部が暴徒化し、バンコク各所や地方都市で破壊行為を開始。2カ月におよんだバンコク中心部の占拠は終わったが、騒乱はむしろ拡大し、混迷は深まっている。
 強制排除に伴う銃撃戦などでイタリア人ジャーナリストら少なくとも6人が死亡、約60人がけがをした。ほかに現場近くで9遺体が見つかったとの情報がある。
 強制排除が始まった当初は徹底抗戦の構えだった元首相派指導部は、占拠地域内に女性や子供が多く残っていたことから占拠の終結を決断。午後、解散を宣言し、幹部数人がその足で警察に出頭した。
 しかし、参加者の多くは猛反発し、占拠地域外で放火などを始めた。地元メディアなどによると、民放テレビ「チャンネル3」が放火によって放映できなくなったほか、バンコク伊勢丹が入る商業施設「セントラルワールド」や証券取引所、銀行などが放火された。小売店などでの略奪も起きた。
 暴徒の一部は、日本人が多く住む地区にも接近。在バンコク日本大使館は、在留邦人に外出を控えるよう呼びかけている。
 騒乱は首都だけでなく、タクシン元首相の支持者が多い地方都市にも拡散。東北地方のコンケンやウドンタニ、ウボンラチャタニなどの地方政府庁舎が暴徒に放火された。タイ政府は、治安悪化を受けてバンコクを含む24都県に19日午後8時から20日午前6時までの夜間外出禁止令を出した。バンコクでの夜間外出禁止令は18年ぶり。また政府は、テロ容疑でタクシン元首相(国外逃亡中)らの逮捕状を取ったと発表した。
 アピシット首相は19日夜にテレビ演説し、27カ所で放火があったが「情勢はコントロールしている」と語った。
 元首相派は3月中旬からバンコク中心部の占拠を開始し、治安部隊との衝突や爆弾事件でこれまでに日本人カメラマンを含む70人以上が死亡し、けが人は1300人以上にのぼった。

◎タイ治安部隊が突入・銃撃戦、ビル火災も(2010年5月19日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】タイの治安当局は19日早朝(日本時間19日午前)、バンコク中心部を占拠するタクシン元首相派勢力「反独裁民主戦線」(UDD)の強制排除に着手した。
 占拠地区南端のルンピニ公園周辺に多数の戦車や装甲車、治安部隊数千人を動員し、同公園内などに突入、UDDの武装グループと銃撃戦になった。占拠地区以外の市内数か所でも衝突が発生し、UDD側の放火とみられるビル火災も起きた。2か月余りに及ぶタイ政府とUDDの対決は重大局面を迎えた。
 地元テレビは19日午前、少なくとも1人が死亡、4人が負傷したと報じたが、死者や負傷者などの詳細は不明。
 占拠地区の中心部には、子供や女性、高齢者を含む数千人がなお残っており、治安部隊は作戦開始前に、拡声機で直ちに地区の外へ避難するよう呼びかけた。地元メディアによると、UDD幹部は、子供や女性には「安全地帯」である地区内の寺院に逃げるよう指示したという。
 治安部隊は兵員数千人を動員し、ルンピニ公園前のサラデーン交差点近くに集結した。部隊の一部は公園内に突入し、公園一帯を制圧した。治安部隊は、UDDの激しい抵抗にあいながらも、UDD側がサラデーン交差点付近に設けた前方バリケードを装甲車で突破し、交差点方面からも地区内に侵入した。
 UDDがステージや本部テントを置く中心部のラチャプラソン交差点は約1キロ・メートル先にある。部隊は作戦を一時中断し、タイ政府はUDD幹部に投降を呼びかけている。
 タイ国会の上院議員などは18日、事態打開を図るため仲裁役になると提案したが、アピシット首相の秘書官は19日朝、地元テレビの電話インタビューで、「UDDとは2週間以上も交渉してきた」が、対話での解決はもはや不可能との認識を示し、「最善策は幹部の早期投降だ」と述べた。
 占拠地区の外側でも、UDD支援者は激しく抵抗している。公園から東に約1キロ・メートル離れた地区では、UDD支援者が地下鉄駅を放火しようとして、地元住民らと小競り合いが起きた。占拠地区の北端から北へ約2キロ・メートルの地区では、政府の麻薬捜査関係のビルで放火とみられる火災が発生した。治安部隊とUDDデモ隊の銃撃戦も数か所で起きている。
 治安部隊の強制排除は、多数の死傷者を出して失敗に終わった4月10日以来、2度目。バンコクの行政当局によると、治安部隊が占拠地区の封鎖作戦を始めた13日以降、19日までに死者は計39人、負傷者は300人以上となっている。

◎タイ治安部隊突入、タクシン派と銃撃戦、「死傷者発生」(2010年5月19日、朝日新聞)
 【バンコク=矢野英基】タイの治安当局は19日朝、タクシン元首相派が占拠するバンコク中心部に軍を中心とした治安部隊を投入し、強制排除を開始した。タイ軍筋によると、数カ所ある占拠地域のバリケードを順次壊して突入。地元メディアによると、東側から進行した軍部隊と元首相派の銃撃戦で1人が死亡、多数の負傷者が出ている。
 政府は同日中の作戦終了を目指すが、死傷者が多数出るのを回避するために、元首相派に繰り返し自主退去を呼び掛けている。
 タイ軍は同日未明から、元首相派が占拠する拠点の一つ、ルンピニ公園付近に続々と集結。南側から装甲車でタイヤと竹で築かれたバリケードを踏みつけて倒し、内部に入った。地元メディアによると、軍は公園内で爆弾など武器を押収したほか、元首相派多数を逮捕した。元首相派はバリケードのタイヤを燃やすなどして抵抗し、一帯には黒煙が立ちこめている。
 占拠地域の中心部を通る高架鉄道の線路上にも多数の兵士らが展開し、上から見下ろすかたちで配置についている。
 占拠地域外の複数の地点で、元首相派が抵抗を強めており、衝突の首都全域への拡大が懸念されている。
 18日にタイの上院議員約60人が和解案を双方に提案したが、政府側は「集会解散が先だ」などとして拒否し、不調に終わった。コプサック首相府相は19日朝、「(元首相派との)交渉はすでに終了したが、まだ時間はある。即時退去を求める」と地元メディアに述べた。ただ、元首相派の幹部の一人は「勝利は我々の手にある」と語り、徹底的に抗戦する構えを示した。
 バンコクでは、治安部隊が占拠地域周辺の封鎖を始めた13日から18日夜までに39人が死亡、負傷者は300人を超えている。タイ政府は18日、元首相派デモ隊と治安部隊との衝突が収拾しないことを受け、同日までの予定だった休日を21日まで延長した。このため占拠地域周辺では人影はまばらだ。在バンコク日本大使館は、在留邦人に対して外出を控え、テレビなどで状況把握に努め、安全に注意するよう呼びかけている。

◎緊迫のタイ、銃撃・爆発続く、死者36人、大規模火災も(2010年5月17日、朝日新聞)
 【バンコク=矢野英基、藤谷健】タクシン元首相派と治安部隊との衝突が続くタイの首都バンコクでは、16日深夜から17日未明にかけても銃撃戦や爆発が続き、13日からの死者数は計36人に達した。放火されたタイヤからの引火によって大規模な火災も発生し、被害が広がっている。政府は強制排除も視野に17日午後3時(日本時間同5時)までに元首相派占拠地域からの女性や子供の退去を求めており、緊迫の度合いが強まっている。
 治安当局などによると、17日朝までにバンコク中心部など数カ所で激しい衝突が起きた。13日からの負傷者は250人を超えた。
 タクシン派が占拠するルンピニ公園そばの高級ホテル周辺で17日未明、大規模な爆発音がしたほか、その近くでは元首相派が火を放ったバリケードのタイヤの炎が道路沿いの商店に燃え移って住宅に燃え広がった。少なくとも数十人の住民が避難を余儀なくされたと見られる。
 タイ政府は、元首相派占拠地域の封鎖作戦を続けるために17、18両日を休日とした。このため、17日朝は中心部は閑散とし、公共交通機関も運行を停止している。
 政府は16日、反政府活動が地方に飛び火するのを防ぐため、東北地方の5県に非常事態を宣言。これで全国の約3分の1にあたる22都県が宣言下に置かれたことになる。また政府は、タクシン派の有力者や企業など100以上の金融口座への送金を禁じる措置を発表した。
 一方、政府の呼び掛けに応じて女性や子供、老人らが避難したと伝えられた寺院には17日朝、ほとんど人の姿はない。対照的に、数百メートル離れた集会ステージ周辺にはまだ多数の女性や老人が座り込みを続けている。

◎タイ騒乱 兵糧攻め包囲へバイク決死隊、抜け道から補給(2010年5月17日、朝日新聞)
 タイ政府の治安部隊がタクシン元首相派の占拠するバンコク商業地区を包囲し始めてから16日で4日目に入った。元首相派は包囲を破ろうと占拠地の外側でも拠点作りを進めた。一方、占拠地の内側では集会参加者が大きく減る中、「兵糧攻め」に対抗して抜け道から必死で水や食糧を運び込もうとしている。
 元首相派のデモ会場から約2.5キロほど離れたクロントイ地区。スラムが広がる貧困地区で元首相の地盤として知られる。デモ隊を包囲した治安部隊と、外側から包囲網を突破してデモ隊に合流しようとする元首相派の群衆が、ここで衝突した。
 デモ隊が8車線の道路いっぱいに数百本のタイヤを積み上げて放火すると、治安部隊は煙越しに催涙弾を発砲して応戦。道路脇のビル上には狙撃手を配置し、後退する群衆とバリケードの間に約300メートルの無人地帯ができた。
 群衆の中から突然、猛然とエンジン音をたてて、オートバイの「決死隊」が突進していく。「行けー」「がんばれよ」と歓声が上がったが、銃撃音がすると転倒。乗っていた青年は足を引きずりながら物陰にうずくまった。
 青年を救おうと、今度は救急車が猛スピードで救出に向かった。待機中の救急隊員アウラワンさん(22)は「朝から20〜30人を救出した。半分は助からないかもしれない。救助隊も4〜5人が撃たれた」と話す。
 包囲された仲間への食料を積んだトラックや、タイヤを満載した車などが続々と突入し、銃撃を受けて引き返してくる。その度に3千人ほどが歓声や悲鳴を上げた。
 衝突現場から、約500メートル下がった路上には15日夜、新たな集会場ができた。集会に参加しているプラティープ元上院議員は「集会はやめない。やめたら、包囲されている人たちの強制排除が始まる。彼らの命が危ない」と話した。
 包囲網の内側では、午後4時すぎ、ステージが置かれたラチャプラソン交差点の近くに小型トラックが到着した。荷台には即席めんや魚の缶詰、水のペットボトルが積まれていた。カメラを向けると、運転手が血相を変えて「撮るなっ!」と叫んだ。
 即席めんだけで180袋入りの箱が6箱。支持者が早速どこかに持ち去った。後で納品書を見せてもらうと、包囲網の外側にある大型スーパーで購入し、抜け道からひそかに運ばれた物だった。
 当初は緩やかだった検問は日ごとに厳しくなり、参加者の数は最盛期の数万人から2千人程度に減っている。電気や水道は遮断されたまま。列をなしていた屋台もほとんど姿を消した。
 会場にはまだ多くの女性や子供、老人の姿がある。会場でゴザを妻と一緒に売るチャリンさん(23)はすでに2カ月以上、長男のギターちゃん(1)と会場に寝泊まりを続ける。ステージで歌が始まると、ギターちゃんが手をたたいて踊り始めた。「結構、この場所が気に入っているようです」とチャリンさん。
 しかし、南に下り、ルンピニ公園側に入ると、一転して雰囲気が変わる。あちこちに投石用の小石や火炎瓶が用意されている。こん棒を持つ支持者の数も増え、すれ違った一人は短銃を持っていた。
 「軍が銃撃してくるので、24時間気が抜けない」と現場の警備責任者のチョック氏(43)は言う。その時、南から軍のものと見られるヘリコプターが現れた。間もなく、そのヘリコプターめがけて手作りのロケット花火がシュッと音を立て次々と発射された。(バンコク=武石英史郎、藤谷健)

◎タイ、鎮圧に実弾使用、死者計24人に(2010年5月16日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】タイの首都バンコクで続く治安部隊とタクシン元首相派勢力「反独裁民主戦線」(UDD)の衝突は15日も拡大し、医療当局によると、死者は2日間で少なくとも計24人、負傷者は187人に達した。
 軍は同日、一部地区を「実弾発射許可区域」に指定したため、犠牲者はさらに増えそうだ。
 15日は、前日に激しい衝突が起きた占拠地区の南側の地区で銃撃が続いたうえ、北側の地区にも拡大し、買い物客に犠牲者が出るなど、一般人が銃撃戦に巻き込まれ始めた。
 夜には、占拠地区に入れないUDD支援者らが軍の増派部隊の到着を妨害するため、南側の地区に近い高速道路出口に集結し、タイヤ30本以上を燃やして車線をふさいだ。このため、軍は北側の地区と高速道の出口付近の2か所を「実弾発射許可区域」とし、鎮圧での実弾使用を宣言、民間人の立ち入りを禁じた。
 アピシット首相は15日夜、テレビ演説で「政府は後戻りしない」と述べ、占拠状態が解消されるまで封鎖作戦を続ける考えを示した。

◎タイ騒乱の死者17人に、各地で衝突、銃撃戦も(2010年5月15日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔、藤谷健】タイの首都バンコクで13日に始まったタクシン元首相派と治安部隊の断続的な衝突の死者は、15日朝の緊急医療機関の集計で17人にのぼり、負傷者は150人を超えた。15日も元首相派が占拠する商業地区の周辺をはじめバンコクの複数の地点で衝突が始まり、銃撃戦も起きている。死傷者のさらなる増加は避けられない情勢だ。
 バンコク中心部の元首相派占拠地域の周辺では、夜通し銃声や爆発音が響いた。一帯は送電が止められ、真っ暗の状態になった。占拠地域内にある複数のビルの屋上から周辺の道路やホテルの部屋などに向けて無差別な発砲が続いた。これが治安部隊によるものなのか、元首相派の武装勢力によるものなのかは不明。
 バンコク中心部から約5キロ北に離れたラチャプラロプ地区では15日朝、元首相支持者約50人が反政府集会会場に向かい始めたところ、これを阻止しようとした軍兵士が、突然発砲。支持者や近くにいたトラック運転手らが巻き込まれ、目撃者によると少なくとも2人が死亡した。治安部隊の発砲が続き、犠牲者の収容ができない状態だ。
 13日に始まった治安部隊による元首相派の占拠地域の封鎖は15日も続き、治安部隊は封鎖範囲を少しずつ狭め、自主退去を促そうと元首相派への圧力を強めている。元首相派は徹底抗戦の構えを崩していない。ただ、占拠地域内の反政府デモ参加者の数は、封鎖が開始された13日夜に比べて大幅に減っている。

◎UDD幹部狙撃され重体、バンコク中心街騒然(2010年5月14日、読売新聞)
 【バンコク=若山樹一郎】タイのタクシン元首相派「反独裁民主戦線」(UDD)が占拠を続けるバンコク中心部で13日午後7時(日本時間同9時)過ぎ、UDD幹部のカティヤ・サワディポン陸軍少将(停職中)が頭部を銃撃され、治安当局によると、意識不明の重体となった。
 少将はUDD内で占拠継続を主張する強硬派で、何者かに狙撃された可能性がある。
 一帯では13日夜、断続的に銃声が響き、警察当局は小型砲弾5発が爆発したと発表。地元メディアによると、1人が死亡し、二十数人がゴム弾で撃たれるなどして負傷した。
 アピシット首相は13日、UDDに提示していた議会の解散と11月14日の総選挙実施を白紙撤回した。

・タクシン元首相派と軍の関係
 タクシン氏は首相時代、軍や警察で自分の支持者を昇進させ、反対派を左遷する人事を通じ治安機関を支配しようとした。カティヤ少将は今年1月、元首相を公然と支持する過激な言動を理由に停職処分を受けたが、軍には元首相のシンパがなお多く、デモ隊の強制排除を嫌う雰囲気もあるとされる。

◎カティヤ少将狙撃の日本人目撃談、バンコク(2010年5月14日、読売新聞)
 【バンコク=尾崎孝】銃撃されたカティヤ少将は、タクシン元首相派占拠地区にあるルンピニ公園のラマ4世通り沿いの石段で5〜6人の記者に囲まれ、定例のインタビューを受けている時、銃弾に倒れた。
 少将の横に立って取材していた日本人フリーカメラマンは、「撃たれた瞬間、カティヤ氏から火花が上がったように見えた」と話す。別のフリーカメラマンは、「銃声は1発。少将の左側頭部に当たった」と語った。
 カティヤ氏はその場で崩れ落ち、元首相派メンバーが取り囲んで救護にあたった。ラマ4世通りは渋滞が激しく、少将を病院に運ぶのに車に乗せるか、バイクで搬送するかでメンバーが言い争って混乱する場面もあったという。

◎タイのデモ拠点封鎖で1人死亡、断続的に銃撃・爆発(2010年5月14日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの治安当局は13日夜、タクシン元首相派が占拠しているバンコク中心部を封鎖した。封鎖地域の周辺部で14日未明にかけて断続的に銃撃や爆弾の発射が続き、病院によると、1人が死亡、11人が負傷した。治安部隊は圧力を強めて元首相派の自主退去を迫る構えで、緊張状態が続いている。
 警察などによると、13日午後7時(日本時間午後9時)ごろ、元首相派の占拠地域の南側の入り口にあたるルンピニ公園周辺で銃撃や爆発が起き、元首相派のなかでも強硬派とされるカティヤ陸軍少将(停職中)が狙撃された。
 これを受けて集まってきた元首相派の一部が治安部隊と衝突し、ゴム弾などを受けて1人が死亡した。カティヤ氏は手術を受けたが、意識不明のままという。14日未明には治安部隊が待機する同公園前のホテルの駐車場に爆発物が撃ち込まれた。
 状況が緊迫するなか、元首相派の穏健派指導者で政府との交渉を担ってきたウィーラ氏が占拠地域を離れて自宅に戻ったとの情報が流れるなど、元首相派の分裂が指摘されている。同派は、強硬派のカティヤ氏が撃たれたこともあり、14日午前にも対応を再び協議する。別の幹部は「様々な意見がある」としており、占拠継続か退去かをめぐって指導部内が揺れている模様だ。
 治安部隊による封鎖に伴って、周辺の公共交通機関は運行を停止。商業施設や病院なども閉まっている。封鎖地域に近い米国、英国の大使館も休館した。また政府は、非常事態宣言の発令地域をバンコクとその周辺だけでなく、北部や東北部に拡大した。

◎東海カーボン、タイでカー黒新設備5万トンに今夏着工(2010年5月11日、化学工業日報)
 東海カーボンは、タイにおけるカーボンブラック生産能力増強計画の詳細を固め、正式に実行に移す。まず今年6月末までにタイ拠点である「タイ・トーカイカーボンプロダクト(TCP)」でボトルネック解消による年産2万トンの増強を実施。その後、今夏をめどに同5万トン設備の建設に着手し、2012年内の商業生産開始を目指す。これにより、既存設備と合わせた総能力は同18万トン規模に拡大する。TCPでは、すでに自動車タイヤ需要の回復にともないフル稼働となってることから増強を正式決定するとともに、今後見込まれるアジア需要のさらなる拡大に対応していく。東海カーボンはカーボンブラックの国内最大手で、生産拠点は国内のほかタイと中国に持つ。TCPではタイを中心とした東南アジア向けにカーボンブラックを生産・供給しており、これまでも段階的に生産能力を引き上げてきた。

◎バンコクで銃撃・爆発、警官2人死亡、市民らけが(2010年5月8日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タクシン元首相派が反政府集会を続けるタイの首都バンコクで7日深夜から8日未明にかけて銃撃や爆発が相次ぎ、警察などによると警官2人が死亡、13人がけがをした。アピシット首相が提案した11月14日の総選挙を含む和解案を受けて元首相派が対応を検討していた矢先の事件で、情勢の行方に影響しそうだ。
 警察によると、7日深夜、金融ビジネス街シーロム地区の交差点周辺を警備中の警察の機動隊に、オートバイの男が銃を数回発砲。警官1人が腹部を撃たれて死亡、警官や市民5人がけがをした。8日未明にも近くでオートバイの男が警官らをめがけて爆発物を数発撃ち込み、警官1人が死亡し、兵士ら8人がけがをした。
 同交差点は、元首相派が占拠する地区に接している。警察によると、事件の背景は不明だが、和解の流れを妨害して混乱をあおろうとする勢力がいるとみて調べている。

◎タクシン元首相派、さらにバリケード強化、強制排除懸念(2010年5月3日、朝日新聞)
 【バンコク=藤谷健】タイの首都バンコクで反政府集会を続けるタクシン元首相派の支持者らは3日未明、占拠地区の南端、ラマ4世通りに面するルンピニ公園に、新たにコンクリートブロック壁や大型トラックのタイヤを積み上げ、バリケードを強化した。
 支持者らによると、前日の2日にバリケードの一部を取り壊し、これまで占拠していた道路の一部を開放した。しかしこの結果、治安部隊の強制排除の可能性が高まったとして、3日未明から作業を始めたという。
 作業中、ラマ4世通りの片側(東行き)を通行止めにしたほか、治安部隊の妨害に備えて竹やりや警護棒などを持った男性らが大勢集まり、一時緊張が高まった。

◎タイ首相「政治解決へ近く行程表」、下院解散前倒し示唆(2010年5月3日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】首都バンコクで混乱が続くタイのアピシット首相は2日、バンコク郊外の陸軍施設内にある治安対策本部で、朝日新聞など日本メディアと会見した。首相は、商業地区を占拠するタクシン元首相派の違法行為を取り締まることと同時に、国民和解に向けた政治解決の重要性を強調。対立を終わらせるためのロードマップ(行程表)を一両日中に発表する考えを明らかにした。
 アピシット氏は「和解の達成が究極の目標だ」と述べた。このため、元首相派が商業地区の占拠を解く条件としている下院解散などの短期的な解決策だけではなく、2006年の軍事クーデターでタクシン元首相が失脚して以降続いてきた政治対立全体の解決に向けた行程表になるとみられる。
 行程表の内容は明言しなかったが、下院解散に対する政府の新たな見解も含まれているとみられ、これまで政府が妥協策として示してきた「9カ月以内の解散」を前倒しする可能性もある。
 政治解決の一方で、法の支配の重要性を国民に徹底するため、違法行為は取り締まることを約束。「強制排除を含むすべての選択肢がある」とした。ただ、「(元首相派の)群衆が武器を持っている現状を考えると、犠牲を最小限にとどめるために細心の注意が必要で、最善のタイミングを待たなければならない」と述べ、強硬策については慎重な姿勢を見せた。
 アピシット政権は2日午前、元首相派の街頭行動で実害を受けた企業や労働者を対象とした緊急支援の実施を閣議決定した。アピシット氏は、日系企業も支援対象に含まれると述べた。
 先月10日、騒乱取材中に銃弾を受けて死亡したロイター通信のカメラマン村本博之さん(43)の捜査については「捜査結果を早期に出すよう当局に求めている」とした。治安部隊側が村本さんを撃った可能性については「自衛にしか実弾使用が認められていない兵士が記者を撃つとは考えられない」と答えた。

◎バンコク中心部、進む「要塞化」、タイヤ積み有刺鉄線(2010年4月30日、朝日新聞)
 【バンコク=藤谷健】タイの首都バンコク中心部の繁華街をタクシン元首相派が占拠してから間もなくひと月。延長5キロにわたる路上は寝泊まりや炊き出しのテントが並び、当局の立ち入れない「解放区」になっている。最近は強制排除に備え、出入り口にバリケードが設けられるなど、「要塞(ようさい)化」が進んでいる。
 元首相派が占拠する地区の南側に位置するルンピニ公園。ラマ4世通りに面する境界には、高さ約2メートルに積み上げたタイヤに有刺鉄線を巡らせ、先のとがった竹やりを刺したバリケードが築かれている。その後ろには、道路をふさぐように横付けされたトラックと再びタイヤの壁。こぶし大の石が数十個ずつ置かれている。バリケード下の路面には燃料がまかれ、ガスボンベが置かれている場所も。
 こうしたバリケードは、集会のステージに向かう道路ごとに10カ所以上設けられている。治安部隊の強制排除の懸念が高まった20日の夜、一斉に築かれた。
 「軍部隊がやってくれば、まずは石を投げる。そして火をつける」。「赤い参謀」の異名を持つカティヤ陸軍少将は28日、現場を見て満足そうに話した。
 軍の反乱分子で、人事の不満から元首相派に近づいたとされる現役将校(現在停職中)。アピシット首相は25日、死者が出た10日と22日の衝突のいずれにも関与したと名指しした。
 本人は「政府のでっちあげ。自分は何も知らない」と否定する。だが、元首相派に近い武装集団に影響力を持つのは周知の事実となっている。
 政府は「解放区」には自動小銃や小型砲弾なども隠されていると指摘する。カティヤ少将に近い関係者も、22日に死傷者を出した小型砲弾はルンピニ公園から発射されたことを認めた。
 24時間態勢で交代で警備にあたる男性(41)は「軍が来ると言われて緊張が続き、休まる時がない」とこぼした。

◎タクシン元首相派、さらに過激に、混乱地方へ(2010年4月27日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】タイの首都バンコク中心部の商業地区を占拠し、アピシット首相に議会の早期解散を要求しているタクシン元首相派の組織「反独裁民主戦線」(UDD)は26日、地盤の東北部や北部で警察の妨害に乗り出すなど活動を一段と過激化し、混乱は地方に拡大した。
 この日はプミポン国王が新任裁判官の拝謁を受けたが、騒乱の収拾を促す直接的な言葉は聞かれず、タイ情勢は一段と緊迫の度を強めそうだ。
 26日は、反タクシン派団体「市民民主化同盟」(PAD)が政府の「無策」に強い不満を表明し、武力による解決を要請すると発表した。
 地元報道によると、UDDの地方組織は週末から26日にかけて、東北部ウドンタニ県や北部パヤオ県などで抗議活動を活発化させた。警察や軍の車両がバンコクの警備に向かうのを防ぐため、各地の主要道路に「検問所」を設け、車両を厳しく監視した。
 中部のパトムタニ県では約400人が警察車両を制止して警官約500人の動きをふさいだ。治安当局は26日、排除を図って数十人を拘束したが、その際に威嚇発砲したとの情報もある。国境警備警察の詰め所正門をUDDが封鎖しようとして、警察と小競り合いを起こしたケースもあった。
 バンコクの治安も一段と悪化している。連立与党に影響力を持つバンハーン元首相宅前で25日深夜に爆発が起き、警官ら11人が負傷。26日には、UDD占拠地区に接した病院前で爆弾とみられる不審物が発見された。2008年にバンコクの国際空港を占拠したPADは26日、反UDD活動を活発化させる方針を表明し、両派による抗争に発展する恐れも強まってきた。
 一方、プミポン国王は26日夕、新任裁判官の拝謁を受けた。国民から絶大な尊敬を集める国王は、過去にクーデターを仲裁するなど、内政の危機的局面を鎮めてきた。今回の状況下で、国民に初めて姿を現す場として注目されたが、訓示では、「職務に誠実、高潔でなければならない」などと裁判官に注文を繰り返し、騒乱への言及はなかった。
 国王は、2年前の空港占拠事件や昨年のUDDの抗議活動の際も、体調不良や入院などのため国民に向けた発言はしていない。国民同士で和解を促すため、あえて立場を示さなかったとの見方もあるが、国王の「仲裁」がなかったことで、事態収拾の見通しは一段と不透明になった。

◎タイ騒乱、死者21人に、元首相派は集会継続(2010年4月11日、朝日新聞)
 【バンコク=藤谷健】タイの首都バンコクで10日夜、治安部隊とタクシン元首相派が衝突した騒乱で、タイ政府は11日午後6時(日本時間同8時)までに21人の死亡を確認した。内訳は、ロイター通信日本支局のカメラマン村本博之さん(43)のほか、軍兵士が4人、元首相の支持者らが16人。負傷者は858人に達した。
 治療にあたったバンコク都内の病院関係者によると、死傷者の中には実弾を受けた者も含まれていると言う。衝突現場のビルには実弾によると見られる弾痕が残されているほか、「周囲のビルから兵士が小銃を撃っていた」(現場にいた42歳のサリットさん)との証言も出ている。
 11日午後に記者会見した政府報道官は、治安部隊が所持していない自動小銃などが使われていると指摘。治安当局が実弾を撃ったとする元首相派の主張に反論するとともに、実弾を使ったのは元首相派側だと述べた。今後、調査委員会を設け、詳細を調べるとしている。
 一方、騒乱が起きた官庁街に隣接するカオサン地区では一夜明けた11日、死者が出たと見られる現場に水や花などが供えられ、手を合わせたり、遺族への義援金を置いていったりする市民や観光客の姿が見られた。
 元首相派は11日も官庁街や都心部の繁華街を占拠し、集会を継続した。バンコク都内には兵士や警官の姿はほとんど見られず、一時的に落ち着きを取り戻している。元首相派の幹部の一人は、命を落とした支持者を弔うため、ひつぎを掲げながらデモ行進する意向を示している。

◎タイ首相が「哀悼の意」、死者は15人に(2010年4月11日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】タイの首都バンコクで10日、治安部隊がタクシン元首相派組織「反独裁民主戦線」(UDD)の強制排除に失敗し、多数の犠牲者が出たことに対し、アピシット首相は同夜、テレビを通じて、「亡くなった方とご遺族に哀悼の意を申し上げる」と述べた。
 その上で、強制排除に踏み切った理由として、UDDの抗議活動で影響を受けている市民などから、政府への批判が強まっている上、UDDの活動がここ2〜3日で過激化したことを挙げ、「法の厳格な執行以外に選択肢はなかった」と述べた。
 また、犠牲者の多くはUDD側が使った爆弾だと指摘し、混乱を引き起こした責任はUDD側にあると強調。「政府の義務は平和を取り戻すことだ」として、UDDが要求する議会の早期解散や、自身の辞任は否定した。
 一方、バンコクの医療当局によると、犠牲者は11日未明時点で15人に達し、さらに増える可能性があるという。ロイター通信日本支局の村本博之さん(43)のほか、市民、軍、UDDメンバーのすべてに犠牲者が出た。
 また、AP通信によると、650人以上が負傷しているという。

◎激しい撃ち合い、抗議派の排除失敗、タイ(2010年4月11日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】タイの治安当局は10日、アピシット首相の退陣を求めてバンコクで抗議活動を続けるタクシン元首相派組織「反独裁民主戦線」(UDD)に対して、強制排除に踏み切ったものの、日本人カメラマンやUDDメンバーに死者が出る激しい衝突が発生、排除作戦は失敗した。
 UDDは同日、バンコク西部の陸軍第1管区司令部前で抗議活動を開始し、軍は放水や催涙ガス、ゴム弾で応戦、強制排除に乗り出した。
 兵士約2000人と装甲車など約40台の軍用車両でデモ隊を押し戻したが、UDDは司令部とハンファ橋との中間にあたるコクウオ交差点で激しく抵抗。銃器などで応戦し、双方は激しい撃ち合いを展開した。
 現場は夜になって爆発が起き、近くの首相府にも2発の小型迫撃弾が撃ち込まれ、建物に被害が出た。
 こうした事態を受け、軍は夜になって現場から退却し、排除作戦は失敗した。
 中心商業地区には、UDDメンバー約6万人が依然居座り、幹部が徹底抗戦を呼びかけている。タイ北部のチェンマイで、県庁舎に約500人のUDD関係者が侵入したとの情報もあり、全国に混乱が拡大する恐れも出ている。

◎タイ騒乱、死者19人、元首相派、軍兵士4人「人質」に(2010年4月11日、朝日新聞)
 【バンコク=藤谷健】タイの首都バンコクで10日夜、治安部隊とタクシン元首相派が衝突した騒乱で、病院関係者によると、11日朝までに少なくとも19人の死亡が確認された。また負傷者は825人に達している。死者の内訳は、ロイター通信のテレビカメラマン、村本博之さんのほか、軍兵士が4人、元首相派の支持者らが14人だという。
 一方、治安当局者によると、元首相派の支持者らが、騒乱のさなかに軍兵士4人を拘束し、「人質」としており、現在解放するよう元首相派を説得しているという。また北部チェンマイとピッサヌローク、東北部チャイヤプームの3県の県庁舎が元首相派によって占拠されていることを明らかにした。

◎タイ首相、国民向け会見、騒乱の責任「タクシン派側に」(2010年4月11日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの首都バンコクで10日、治安部隊とタクシン元首相派が衝突し、邦人1人を含む13人が死亡、521人が負傷した騒乱を受け、アピシット首相は同日深夜、テレビ演説し、「犠牲者に哀悼の意を表したい」と述べた。
 そのうえで「多くの死者が出た要因はデモ隊が投げた小型爆弾だ」として騒乱の原因は元首相派にあると批判。事実関係を明確にするため、中立的な専門家による調査チームを設置することを明らかにした。自身の責任については言及しなかった。
 アピシット政権は7日にバンコクとその周辺地域に非常事態を宣言した後、政府の対応については事前に国民に説明することで「透明性を確保する」と強調してきた。しかし、10日の強制排除は突然始まり、混乱を増幅させた。アピシット首相はこの間、国民の前に姿を見せなかった。

◎タイ騒乱、日本人記者ら13人死亡、500人以上が負傷(2010年4月11日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイ政府は10日、首都バンコクに軍部隊を出動させ、反政府集会を続けるタクシン元首相派「反独裁民主同盟」の強制排除を開始した。軍は催涙弾やゴム弾を使用。同盟側も銃や爆発物を使って抵抗したため、市街戦のような状態になり、病院などによると少なくとも13人が死亡した。うち1人はロイター通信日本支局に勤める村本博之さん。負傷者は521人に達した。軍は同日夜、予想以上の被害が出たことから、治安部隊の撤収を宣言。同盟側にも首都からの退去を求めた。
 激しい衝突の末に外国人を含む多数の死傷者が出たことで、タイ情勢は極めて緊迫した段階に入った。アピシット首相は10日、一度も国民の前に姿を現していない。首相の責任を問う声も出てきそうだ。
 市内の病院によると、運び込まれた6人のうち1人について、所持していた身分証明書から村本さんと判明した。村本さんはロイター通信日本支局のテレビカメラマン。左胸を撃たれていたという。
 強制排除が行われたのは、同盟が3月14日にバンコクで反政府集会を始めた時にステージを設置し、拠点として占拠を続けてきた官庁街近く一帯。午後2時(日本時間午後4時)ごろ、陸軍部隊がこの地域の北側から排除を開始。約3千人の同盟支持者は投石などで抵抗したが、軍は催涙弾やゴム弾を発射して排除を進め、激しい衝突が起きた。
 夜になると同盟側も銃や爆発物を使い出し、双方に被害が広がった。近くの首相府にも、小型爆弾2発が撃ち込まれ、建物が損傷した。
 同盟側のもう一つの拠点である首都中心部の商業地区にはまだ数万人規模の支持者がいるが、政府は人数が少ない官庁街の占拠地区での強制排除を優先。そのため、商業地区から同盟支持者が「援軍」として続々と官庁街に移動。衝突をエスカレートさせた。
 政府筋によると、政府の対策会議は10日朝、「12日午前までの秩序回復」を決定。会議後、ステープ副首相が治安部隊に強制排除の命令を伝えた。ただ、夜になって軍側にも負傷者が急増したため、急きょ方針を転換。強制排除を一時中止した。
 バンコクでは3月半ばから同盟支持者が反政府集会を開始。4月に入って占拠地域を商業地域に拡大した。アピシット政権は混乱の長期化を受けて7日、バンコクと周辺に非常事態を宣言した。

◎暗闇の中、響く乾いた銃声、緊迫のタイ・バンコク(2010年4月11日、朝日新聞)
 【バンコク=塚本和人】暗闇が白い催涙弾の煙に覆われ、その直後、乾いた銃声が連続して響き始めた。首相府などが集まるバンコクの官庁街近くの広場。タイ正月前の週末の夜、武装した治安部隊の兵士らと赤シャツ姿の群衆が激しく衝突し、死傷者の相次ぐ流血の惨事へと発展した。
 10日午後8時すぎ。日没後の官庁街に近い広場は、タクシン元首相派「反独裁民主同盟」の支持者らであふれ、路上に立ちふさがった銃を持った兵士らと向き合っていた。両陣営はもみ合いを続け、軍側から催涙弾が投下されたことをきっかけに、白い煙と強い刺激臭に包まれた。甲高い発砲音が立て続けに聞こえ始めた。兵士たちが群衆に向けてゴム弾を発射し始めた。
 群衆が投石で応戦し、銃を持った群衆が軍側に発砲したという情報もある。
 現場から約200メートル離れた仮設診療所のテントには血まみれのけが人が相次いで運ばれていた。簡易ベッドにはゴム弾の直撃を受け、傷口から大量の血が路上にしたたり落ちているけが人も。
 同診療所の医療関係者によると、この日だけで数百人のけが人が運ばれ、応急手当てを施したという。女性看護師は「実弾か、ゴム弾かは分からない。ここに運ばれたときにはすでに意識不明の人も多い」と話した。
 衝突現場周辺では1時間以上も、暗闇の中で不気味な銃声が聞こえ続けていた。「軍が市民に銃を向けた」。広場では数百人の群衆が発砲した軍に抗議の声をあげていた。
 この日は午後から、広場付近の路上で散発的に衝突が続いていた。兵士は銃を携行していたが、上空への威嚇発砲に限られていた。群衆は投石などで抵抗し、部隊が数百メートル後退すると群衆たちがそれを追いかけ、部隊が再び道路に立ちふさがることを繰り返していた。部隊側も強硬姿勢を見せていなかった。
 夜の流血の事態を受け、支持者らが相次いで流血現場に駆けつけ、10日深夜までには広場周辺は1万人規模の人数にふくれあがっていた。

◎未明、爆弾騒ぎ相次ぐ、非常事態宣言のバンコク(2010年4月8日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイのタクシン元首相派「反独裁民主同盟」の反政府活動を受けて非常事態が宣言されたタイの首都バンコクで8日未明、爆弾騒ぎが相次いだ。政府は首都各地に検問を設置するなどして警戒態勢を強化。同盟側も占拠している商業地区周辺の道路を封鎖するなどして抵抗を強めている。
 警察によると、8日午前1時(日本時間同3時)ごろ、タクシン派政権時代に反政府運動を展開した「民主主義市民連合」(PAD)が政党登録した「新政治党」本部と、PADの活動に資金を提供していたとされる企業に小型爆弾などが撃ち込まれた。いずれも爆発しなかったが、警備にあたっていた警官ら2人が軽いけがを負った。犯行の背後関係は不明。
 非常事態宣言後に配置された治安部隊は首都圏各所で待機している。政府は今も同盟側に自主解散を求めている。強制排除に踏み切る場合は、まずテレビ会見を通じて国民に事情を説明するなど「透明性」を確保しながら進めるとしている。

◎バンコク首都圏に非常事態宣言、治安部隊が各所に展開(2010年4月8日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイのアピシット首相は7日夜、国民向けのテレビ演説で、タクシン元首相派「反独裁民主同盟」が反政府行動を強めている首都バンコクとその周辺に非常事態を宣言した。警察に代わって軍が秩序回復を主導することになり、非常事態宣言の約2時間後には軍・警察の合同部隊が各所に配置された。同盟側は徹底的に抵抗する構えで、衝突が起きる恐れがある。
 首都圏で非常事態が発令されるのは、元首相派がバンコクで現政府の退陣を求めて暴徒化した昨年4月以来1年ぶり。政府はこれまで治安維持法を発令して警察による対応を強化してきたが、同盟側の街頭占拠が長期化してきたことから治安対応の態勢を引き上げた。
 7日、内閣の主要閣僚と一緒にテレビに出演したアピシット首相は、「首都の正常化には非常事態の宣言が必要だと判断した」と説明。「強制排除を意図したものではなく、妨害行為を事前に防ぎ、都民に平和な日々を取り戻すのが目的だ」と訴えた。
 治安担当のステープ副首相は、首都と周辺に展開する部隊の規模は6万人と明らかにした。同盟支持者が新たにバンコクに集まるのを防ぐため、首都と地方をつなぐ高速道路などにも治安部隊が配備され、検問が行われる。
 非常事態宣言が発表される直前、同盟幹部は「宣言が出た場合は9日に最大級のデモを行う」と話し、全国の支持者に首都へ集まるよう呼びかけていた。
 同盟側はバンコク最大の商業地区の占拠を続けている。7日には約6千人が国会前に押しかけ、一部が敷地内に侵入。国会内にいたステープ副首相ら複数の閣僚らがヘリコプターで脱出する事態になった。侵入した者たちはその後国会を去ったが、この日予定されていた下院本会議は中止された。立法府に混乱が及んだことで、政府内で強い態度で臨むべきだとの機運が高まったとみられる。
 昨年の非常事態宣言の際には、宣言から2日後に銃で武装した兵士が元首相派を包囲して圧力をかけ、同盟幹部らが自首する形で事態は収束した。

◎タクシン派デモ隊、100人が庁舎乱入(2010年4月6日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】タイの首都バンコクで中心部の最大商業地区を占拠しているタクシン元首相派組織「反独裁民主戦線(UDD)」は5日、金融街をデモ行進し、一部はバンコク郊外の選挙管理委員会が入居する庁舎に乱入した。
 中心部の占拠は3日目に入り、周辺の商業施設は引き続き臨時休業した。一方、政府はUDD幹部の逮捕状を裁判所に申請した。
 選管の建物では、周囲を多数のメンバーが取り囲み、約100人が突入した。UDDは、民主党が経済人から巨額の不正献金を受けたとして調査を求めており、選管の手続きが遅いと批判してきた。選管側は同日、20日までに調査を終えるとUDDに約束した。
 UDDは6日、バンコクで大規模な抗議行動を予定している。

◎タイ:バンコクの反政府集会継続、元首相派、デモ行進計画(2010年3月28日、毎日新聞)
 【バンコク共同】タイ国外に逃亡中のタクシン元首相の支持団体「反独裁民主統一戦線(UDD)」は28日、首都バンコク中心部で大規模な反政府集会を継続した。アピシット首相が詰め所としている陸軍施設にバイクやトラックなどで隊列を組んでデモ行進を計画している。
 アピシット首相は今月12日以降、政府が治安維持対策本部を設置したバンコク北部の陸軍第11歩兵連隊本部に寝泊まりしているが、陸軍報道官によると、28日は地方視察の予定で同本部にはいないという。デモ隊が押し掛けるのは15日以来。
 タイ地元メディアによると、28日早朝、同本部の2カ所のゲートに爆弾が投げ込まれ爆発。軍兵士計4人が負傷した。
 反政府集会は14日、首相府近くの大通りを占拠して始まった。平日は参加者数が減少しているが、週末ごとに元首相の強固な支持基盤である東北部や北部を中心に支持者を動員。27日には約10万人が参加するなど、アピシット首相に議会解散・総選挙実施を求めて圧力をかけ続けている。
 総選挙を行えばタクシン派の政党が勝つ可能性が高いとみられており、首相は「議会を解散しても政治対立は解消しない」などと要求を拒否している。

◎タイ、治安維持法を延長、閣議後の政府庁舎に爆弾(2010年3月24日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイで23日、閣議が開かれていた政府庁舎に閣議後に爆弾2発が撃ち込まれ、車両数台が壊れた。タイでは首都バンコクでタクシン元首相派の反政府集会が続いており、アピシット政権は閣議で、この日に期限を迎えた治安維持法の適用を30日まで延長することを決めたばかりだった。
 警察によると、首都に近いノンタブリ県の厚生省庁舎で開かれていた閣議が終わった約1時間後、厚生省の敷地内で爆弾2発が爆発。けが人はなく、首相もすでに同省を去った後だったが、駐車車両などが壊れた。近くを走る高速道路から撃ち込まれた可能性が高いという。

◎タイ反政府派、バンコクでまた血液まくデモ(2010年3月18日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】国外逃亡中のタクシン元タイ首相を支持する反政府勢力「反独裁民主戦線(UDD)」は17日、首都バンコク中心部スクンビット地区でデモ行進し、同地区にあるアピシット首相の私邸前で参加者から集めた血液をまき散らす抗議行動を行った。
 スクンビット地区は、バンコク在住の邦人約3万人のほとんどが集中しており、邦人居住区にもデモ参加者があふれて大渋滞となるなど混乱した。
 UDDは、16日に首相府前と与党・民主党本部でも血液をまいており、在タイ日本大使館は、首相私邸には近づかないよう在留邦人に呼びかけていた。私邸付近には約3万人が集結し、「首相は辞めろ」「議会解散を」と気勢を上げ、容器に入れた血液をぶちまけた。首相は不在で、血液は雨で洗い流された。
 首相は、UDDの要求に応じる構えを一切見せていない。

◎タクシン派の反政府集会、長期化の見通し、タイ(2010年3月18日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの首都バンコクで反政府集会を続けているタクシン元首相派の「反独裁民主同盟」は17日も、アピシット首相の自宅に支持者らから集めた血液を投げつけるなどの抗議活動を展開した。政府は衝突による混乱を避けるため強制排除はしない方針で、打開策が見いだせないまま、両者のにらみ合いが長期化する可能性がある。
 政府はこの日、首都に発令している治安維持法に基づいて首相の自宅周辺でのデモや車両の通行を禁じ、千人以上の治安部隊を動員して警備にあたった。だが、元首相派の数千人のデモ隊が来ると、衝突を避けるため代表者ら数十人の通行を容認し、デモ隊は血液を投げつけると再び集会の拠点に戻った。周辺に住む多くの在留邦人も激しい交通渋滞などの影響を受けた。
 同盟は18日以降も現政権の退陣と解散・総選挙を求めて集会やデモを続ける方針だが、参加者は当初の10万人規模から2万〜4万人に減少。手詰まりになり、強硬手段に出るのではと懸念する声もある。タクシン元首相は17日夜、国外から支持者に演説し、「1週間以内に決着がつく」と繰り返し強調した。

◎タイ反政府勢力、血液まき散らす示威行動(2010年3月16日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】国外逃亡中のタクシン元首相を支持する反政府勢力「反独裁民主戦線(UDD)」の抗議活動が続くタイで、国外要人の来訪や議会が中止になるなど外交や内政に影響が出始めた。
 UDDは、議会解散・総選挙の要求実現まで撤退しない構えで、強制排除による混乱を恐れるアピシット政権に打つ手はなく、統治能力の欠如を露呈している。
 赤をシンボルカラーとするUDDは16日、「我々に宿る民主主義の証しを」とのスローガンの下、デモ参加者から注射器で10ミリ・リットルずつ血液を採取。集まった計300リットルを大型のペットボトルに詰め、厳戒態勢下の首相府前と与党・民主党本部前に運び、「首相が血を踏んだら国民を踏みにじったことになる」と叫んで、血液をまき散らした。
 奇妙な示威行動は、「抗議行動が平和的である限り、鎮圧しない」(アピシット首相)とした政府対応を見越した、ぎりぎりの挑発とみられる。
 UDDと支持者は12日からバンコクに集まり、14日に約9万人規模の集会を開催。15日にはアピシット首相の議会解散要求拒否に反発し、活動継続を宣言。参加者は減少傾向にあるが、タクシン氏は連日、衛星電話で団結を呼びかけている。
 この状況を懸念し、カート・キャンベル米国務次官補が16日の訪問を急きょ中止。秋篠宮さまも17日からの訪問を取りやめた。
 アピシット政権がデモ対応で慎重なのは、昨年4月、UDDが中部パタヤで東南アジア諸国連合関連会議を中止に追い込み、バンコクで治安部隊と衝突し、多数の死傷者を出したことが記憶に新しいからだ。タイ政府は有事に軍や警察を機能させられないとの印象は今でも強く、今回、日本など37か国が渡航自粛を決めた。
 一方、憲法改正を討議する予定だった両院議員総会は16日、UDDの妨害を恐れる議員の不参加で中止となった。首相は、UDDとの接触を避けて軍施設を転々としたり、干ばつ視察を理由にバンコクを離れたりしている。
 市民生活や経済に影響はないが、政府は厳戒態勢を敷く以外に具体策を講じず、衝突を避け、これがUDDを調子づかせている側面がある。一部過激派による暴動も起き、対応を誤れば、国際的威信の一層の低下は避けられない。
 タクシン氏本人にとっては、軍事クーデターでの失脚から3年半を過ぎた今も、国民の大半を占める低所得者層の圧倒的支持を見せつけられるため、UDDの活動は復権に向けた足がかりとなる。政府の無能さを印象づけ、来年予定の総選挙でタクシン派復活を実現させようとしている。

◎反政府デモ、16日以降も、タイ軍施設で爆発 治安強化で衝突の可能性(2010年3月15日、産経新聞)
 【シンガポール=宮野弘之】タイのアピシット首相は15日、タクシン元首相支持派の「反独裁民主統一戦線(UDD)」が求めている退陣と解散総選挙の実施を拒否した。これに対し、デモ隊が一時、首相らのいるバンコク市内の陸軍施設を包囲したが、同日夕までに市中心部の集会場所に戻った。
 一方、同施設で手投げ弾による爆発があり、兵士2人がケガをした。このため、治安当局は16日以降、取り締まりを強化する方針だ。UDD側も活動を拡大するとしており、衝突の懸念も出ている。
 地元メディアによると、デモ隊は、要求に対する回答期限としていた15日正午を前に、首相らが詰める市内の陸軍基地へと向かった。しかし、首相が午前中のテレビ演説で要求は受け入れられないと言明したため、基地の外で抗議集会を行った後、徐々に中心部の集会場所へと戻った。
 こうした中、陸軍報道官は同日午後、別の陸軍基地で手投げ弾による4回の爆発があり、兵士2人が手や腹などにケガをしたと発表した。いずれも命に別条はない。同報道官は手投げ弾は発射装置を使って撃ち込まれたとしたが、デモ隊との関係には触れなかった。

◎タイ混乱、長期化の様相、首相が解散拒否、タクシン派デモ継続(2010年3月15日、日本経済新聞)
 【バンコク=三河正久】タイの大規模な反政府集会が長期化の様相をみせてきた。下院解散などを求めるタイのタクシン元首相派団体「反独裁民主統一戦線」(UDD)は15日、アピシット首相が解散を拒んだのを受けて集会継続を決めた。バンコク市内の陸軍施設では同日、爆弾が爆発して兵士が負傷している。今後さらにデモ隊と治安部隊との緊張が高まるのが確実な情勢だ。
 タクシン派は15日正午を期限に、アピシット首相に下院解散を要求していたが、アピシット首相は15日にこの要求を拒んだ。UDDは首相府に近い集会場所から、首相や陸軍首脳部が治安維持本部を置くバンコク北部の陸軍施設まで約6万人のデモを実施。再び解散を求めて気勢を上げた。デモ隊は夕方までに集会場所に戻った。
 UDDの幹部は16日午前8時(日本時間同10時)までの下院解散を再び要求。首相が応じない場合は、10万人の集会参加者から採取した血液を首相府や与党・民主党本部などにまくと威嚇している。

◎タクシン派数万人が気勢、バンコク(2010年3月14日、産経新聞)
 タイのタクシン元首相の支持団体「反独裁民主統一戦線(UDD)」は14日、首都バンコクで大規模な反政府集会を開催、全土から集まった数万人がアピシット首相の退陣を求めて気勢を上げた。
 政府は11日からバンコクなどに治安維持法を発令。軍と警察は約5万人を動員して厳戒態勢を敷いている。
 治安筋によると、タクシン元首相の強固な支持基盤であるタイ東北部や北部から13日夜までに5万人がバンコク入りした。国会や首相官邸に近い道路を占拠しステージを設置、UDD幹部らが13日夕から壇上で、アピシット政権を糾弾する演説を続けている。
 アピシット首相は退陣を拒否する一方、UDDには平和的に集会を開催するよう呼び掛けている。

◎タイ:バンコクの複数の銀行に手投げ弾、連続テロの可能性(2010年3月1日、毎日新聞)
 【バンコク西尾英之】タイ最大の商業銀行「バンコク銀行」のバンコク中心部にある支店で27日夜、爆発があり銀行の窓ガラスなどが割れた事件は、目撃者の話などから走行中のバイクから手投げ弾が投げ込まれたことがわかった。
 警察当局によると同夜、ほかにもバンコク中心部や郊外にある同行の3支店に手投げ弾が投げ込まれ、うち1店では爆発、2店では不発に終わった。負傷者は出ていない。犯行声明などは確認されていないが、タクシン元首相の資産没収判決に関連した連続テロ事件とみられる。
 タイでは26日、最高裁が元首相の国内資産約464億バーツ(約1253億円)の国庫への没収を命じ、タクシン派が反発を強めている。バンコク銀行についてタクシン派は、同行の経営者が、反タクシンの中心人物とされるプレム枢密院議長に近いと非難。2月19日にはバンコク中心部の本店前でタクシン派の約2000人が抗議行動を行っていた。
 アピシット首相は27日、テレビで「判決後の爆発事件の発生は予想されていた。社会を不安に陥れることを狙った、小さなグループによるものだ」と語った。一方、タクシン派は、事件への関与を否定している。

◎タクシン元首相の資産1252億円没収命令、タイ最高裁(2010年2月27日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タクシン元首相派と反元首相派の対立が続くタイで26日、元首相一族の巨額資産の没収をめぐる判決がバンコクの最高裁判所で言い渡され、裁判長は提訴額の約6割にあたる約464億バーツ(約1252億円)を「不正蓄財」と認定し、没収を命じた。全額の返還を求めていた元首相派は、来月12日から大規模な抗議行動に乗り出す構えで、タイ情勢が再び緊迫する恐れがある。
 2001年に首相の座についたタクシン元首相が06年の軍事クーデターで追放された後、当局は国内にあった元首相一族の資産を凍結。検察は08年、首相在任中に立場を利用して不正に資産を増やしたとして、766億バーツ(約2067億円)の没収を求めて提訴した。元首相一族は、首相就任前に正当に得ていた資産だと反論していた。
 判決で最高裁は、「自分の会社の利益を守るために法改正をした」などと「首相在任時の権力の悪用」を繰り返し指摘した。一方で、766億バーツのうち300億バーツ余りは首相就任前に築いた資産だとし、残る約464億バーツを没収して国庫に納めるべきだとの判断を示した。
 判決後、タクシン元首相は滞在先のドバイからネット回線を通じて支持者に向けて演説し、「裁判は政治的で、私は被害者だ」と主張。「これからも民主主義のための戦いを続けていく」と述べた。
 元首相派と反元首相派の政治対立が長びくなか、元首相派の活動を支えてきたのは元首相の資金力だ。だが、国外にある資産は減り続けているとみられる中で、国内資産の半分以上が没収されれば、打撃は大きい。
 元首相派は「一部没収も全額没収も同じ」として、3月12日から地盤の北部や東北部を中心に抗議行動を始め、14日にはバンコクで「100万人集会」を開くとしている。その際に、訴えの中心に据えようとしているのが司法の「二重基準」だ。タイの裁判所はこれまでも、元首相派の政党に対して幹部の選挙違反を理由に解党命令を出すなど、元首相派に厳しい判断を繰り返す一方で、同様の罪に問われた反元首相派の政党は無罪にするなどしている。
 元首相派のタイ貢献党(プアタイ)は民主党主導の連立政権下では野党だが、下院では第1党。農村地帯の北部・東北部では今も元首相の人気は根強い。
 ただ、今回の判決は全額の没収ではなく、元首相派にも一定の配慮を示した形で、どこまで元首相派の抗議行動が広がるのかは不透明だ。

◎終わらぬ政争、観光業は悲鳴、タイ空港占拠から1年(2009年11月25日、朝日新聞)
 タイでタクシン元首相派の政権打倒を掲げた反タクシン派がバンコクの国際空港を占拠し、一時閉鎖に追い込んでから25日で1年。激減した観光客が戻り始めた矢先、タクシン派が大規模な反政府集会に乗り出すと宣言した。終わりが見えない政治の混乱に基幹産業の観光業界からは悲鳴が上がっている。
 「12月3日までに現政権を崩壊に追い込む」。タクシン派は19日、反タクシンのアピシット政権打倒への「最終戦争」と位置づける集会を28日からバンコクの首相府周辺で行うと宣言。政府はこれを封じようと、バンコクへの治安維持法の適用を決めた。
 タクシン元首相は06年9月の軍事クーデターで追放されたが、07年末の総選挙でタクシン派が勝利。反発する反タクシン派が昨年11月25日、退陣を求めて空港を占拠した。親タクシン政権は崩壊し、12月3日に占拠は解かれた。これを受けて誕生したのがアピシット政権だ。
 空港を運営するAOTによると、空港の閉鎖開始から再開直後までの10日間で約110万人が影響を受けた。昨年12月のタイへの旅行者数は、前年同月比で142万人の大幅減を記録。その後も4月に起きたタクシン派の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議会場への乱入騒ぎ、世界的な経済危機などの影響で旅行者数は減り続けた。
 今年に入ってから9月までの日本人の入国者数は前年比の2割減、中国人が3割弱の減、韓国人も3割強の減。一方で、入国者の総数は9月に前年同月比9.72%のプラスに転じ、10月は10.5%増になった。AOTは景気の底打ち感に欧州の観光客が反応した結果と分析する。
 だが、カンボジア政府がタクシン元首相を経済顧問に任命したのを機に再び緊張。反タクシン派は15日に抗議集会を開いたが、会場に爆弾が投げ込まれて10人以上が負傷。28日からのタクシン派の集会でも、治安当局や反タクシン派との衝突が懸念される。
 タイ旅行業協会のアピチャート顧問は「年末年始の観光シーズンを乗り切れるかがタイ観光業の生死を左右するという危機感を、政治対立の当事者が共有していないのが最大の不安要素だ」と話した。(バンコク=山本大輔)

◎ハッカー攻撃で数千人受験できず、タイの大学入試(2009年10月11日、産経新聞)
 タイの国立入試協会のコンピューターがハッカー攻撃を受け、高校生ら数千人が大学入試を受けられなかったことが11日、分かった。バンコク・ポスト紙などが報じた。
 同紙によると、ハッカー攻撃で入試協会のウェブサイトが試験前日の7日からアクセス不能になったため、受験生の一部が入試会場や開始時間などの情報を入手できず、試験を受けられなかったという。
 同協会のウェブサイトは10日、ようやくアクセス可能になったが、全国40万人の受験生のうち、受験できなかったのは8〜10日の3日間で数千人に上るとみられる。
 入試は11日までで、同協会は受験できなかった人を対象に再試験を実施する方針。

◎タイ:急行列車が脱線、乗客10人死亡(2009年10月5日、毎日新聞)
 【バンコク西尾英之】タイ中部のリゾート都市フアヒン近郊で5日早朝、南部のトランからバンコクへ向かっていたタイ国鉄の急行列車が脱線。国鉄当局などによると少なくとも乗客10人が死亡、88人が負傷した。
 バンコクとタイ南部を結ぶ路線は外国人観光客の利用も多く、地元メディアなどによると英国人男性(43)が重傷、他に外国人3人も負傷したという。バンコクの日本大使館によると死傷者に日本人はいない。列車は豪雨の中、駅に進入中に脱線して横転、大破した。捜査当局は、ポイントの操作ミスか、運転士の急ブレーキが事故につながった可能性があるとみている。

◎タイクーデター3年、親タクシン派、反タクシン派が集会(2009年9月20日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイのタクシン元首相を駆逐した軍事クーデターから3年を迎えた19日、元首相の支持者たちはバンコクで反政府集会を開き、警察によると約2万5千人が集まった。反元首相派もカンボジア国境のタイ東北部に約4千人が集まり、警察や地元村民らと衝突が起きて負傷者が出た。
 政府は首都の一部に治安維持法を適用し、兵士ら8千人を配置。集会では海外逃亡中の元首相がビデオ演説し、「3年たっても国民和解はない。各派が許し合えば私も帰国して貢献する」と訴えた。元首相派は「現政権の支持率が低迷する今、暴力行為は逆に政権を利する」としてデモ行進を急きょ取りやめた。
 一方で現政権の発足に貢献した反元首相派「民主主義市民連合(PAD)」は「領土が奪われている」などと政府批判に転じ、タイがカンボジアと領有権を争うクメール寺院プレアビヒア周辺の立ち入り禁止区域へデモ行進しようとして警官隊らと衝突。病院によると17人が負傷した。

◎たばこ規制:「禁煙先進国」タイに学ぶ(2009年9月7日、毎日新聞)
・陳列販売禁止/飲食店も対象/活発な教育、啓発
 世界で毎年540万人がたばこが原因で死亡しており、今世紀中には10億人がたばこで死亡する恐れがある−−。世界保健機関(WHO)は08年の報告書で警告した。日本を含め対策の遅れが指摘される中、アジアの「禁煙先進国」とも呼ばれるのが、タイだ。90年代から受動喫煙防止などを法制化し、多様な施策を通じてWHOたばこ規制枠組み条約(FCTC)を着実に履行している。実情を知ろうと、バンコクを訪ねた。【柴田真理子】
 タイ国内に約700店舗を展開するコンビニ「108ショップ」。商品棚にたばこは見当たらないが、レジの後ろには「たばこ販売中」の張り紙。店員がレジ下の扉を開けると、たばこがずらりと現れた。陳列販売が法律で禁じられているためで、客が求めるまで商品を隠している。自動販売機での販売も禁止だ。
 たばこのパッケージには、歯がガタガタになったり、のどを切開した人のショッキングな写真が印刷され、リスクを警告している。同店本部の男性社員(31)は「以前は、たばこを吸うのが格好いいと思われていたが、今は吸わない方が格好いい。僕の周りでは、たばこよりスポーツがはやり」と話した。
 飲食店も禁煙で、食事しながら喫煙はできない。違反者には最大で罰金2000バーツ(約5400円)、店側には同2万バーツ(約5万4000円)が科せられる。
 市内の多国籍料理店「プローン」では、飲食エリアと離れた屋外に、喫煙スペースを設けていた。男性客たちが食事中に席を外し、一服しにやって来る。1日30本吸うという男性(51)は「どこの店も店内が禁煙なのは同じで、不自由には思わない」。店内にいた別の男性客(55)は、4カ月前に禁煙したという。「吸う時に外の喫煙場所に行かねばならず、面倒になった。肺がきれいになった気がするよ」と笑った。
 深夜に若者でにぎわうパブ「ミューズ」でも、客たちはフロア外の喫煙スペースや屋外に出て吸い、店内の空気はさわやかだ。オーナーのスラパン・チャウパークナムさん(32)は喫煙者。「客が吸うとにおいがつくし自分も吸いたくなるから、店内は禁煙がいい」と話した。
 喫煙は18歳からだが、中学や高校での禁煙教育にも力を入れている。小児科医のネットワークが学校を回り、生徒に禁煙クリニックを紹介することも。数回のカウンセリングで禁煙に成功する子どもも多いという。
 「特に効果があるのは、たばこで疾患になった人に会わせること」と話すのはサミティベート病院の小児科医、ベンジャマーッ・ピサンサラキッさん。「喉頭(こうとう)を失い声が出なくなった患者の団体などがボランティアで協力してくれる。患者の体験談は写真の何倍もの効果がある」という。
 15〜18歳の喫煙率は年々下がっている。ベンジャマーッ医師は「学校に通っている子はまだいい。親のない子や路上生活の子に喫煙者が多い」と課題も挙げた。
 「タイ健康増進財団」は、政府と一連のたばこ対策を進めてきた。たばこ税と酒税の2%を運営資金とし、禁煙を推進するNGOや医療団体などに助成している。「クイットライン」と呼ばれる相談ダイヤルもその一つで、電話でカウンセラーが禁煙を指導。希望者には年6回、追跡調査もする。
 財団顧問のプラキッ・ワーティーサーテュキッさんは「たばこを買いづらく、吸いにくくする政策によって、喫煙者への医療対策も効果が上がる。また、たばこの増税は、未成年や貧困地域の喫煙率を下げるのに有効だ」と語った。
 タイの取り組みにも不徹底な面はある。ポイ捨ては禁止だが路上喫煙は許されており、警告写真のない“ヤミたばこ”も出回っていた。だが、禁煙の取り組みは確実に広がっており、市民の意識も高い。訪れたバンコク市内のほとんどの店舗は「法に従う。売り上げに大きな影響はない」と口をそろえていた。
 禁煙政策の有効性について、国立保健医療科学院(埼玉県)の吉見逸郎・たばこ政策情報室長は「WHOの国際がん研究機構は、公共スペースなどの全面禁煙化により、心筋梗塞(こうそく)など急性の心疾患の発症者を10〜20%減らせるとしている。受動喫煙の害は予想以上に大きく、防止の徹底が求められる」と話している。

・92年から法規制…喫煙率21%に減少
 タイは92年に「非喫煙者健康保護法」「たばこ製造管理法」を制定した。指定の公共の場所を禁煙とし、たばこ広告の規制などを盛り込んだ。日本の健康増進法より10年早かった。
 その後も、禁煙区域の拡大や包装の警告表示義務づけ、たばこ税率の段階的引き上げなど、規制を強化した。07年の喫煙率は21.22%で、法制化前の91年の32%から減少。07年は男性41.70%に対し、女性が1.94%と低い。
 東京衛生病院の宮崎恭一・健康教育科課長は「タイは若者に人気の女優も協力し、大キャンペーンを繰り広げてきた。政府とNGO、医療団体の連携が強く、日本も見習うべきだろう」と話している。

・WHOたばこ規制枠組み条約(FCTC)
 05年2月に発効した国際条約で、今年7月現在、日本やタイを含む166カ国・地域が締約している。たばこの健康被害をはじめ、社会や環境、経済への影響からの保護を目的とする。価格や課税措置による需要減少、受動喫煙の防止、広告や販売の規制などの対策を盛り込んでおり、締約国は国内法に反映させ、施策の実施が求められる。タイでは07年、第2回締約国会議が開かれた。

◎国王批判したジャーナリスト、不敬罪禁固18年、タイ(2009年8月29日、朝日新聞)
 【バンコク=藤谷健】タイの政治集会で国王などを批判したとして、刑法の不敬罪に問われていたジャーナリスト、ダラニー被告(46)に対する判決公判が28日、バンコクの地方裁判所で行われ、禁固18年の実刑が言い渡された。被告側は控訴する方針。
 立憲君主制をとるタイでは、国王や王妃、王室などの中傷や侮辱は刑法で禁じられている。タクシン元首相を追放した06年のクーデター以降、同国では不敬罪の摘発が急増しており、政争の具に使われているとの批判が出ている。

◎タクシン派1万人集会、首相退陣と総選挙要求(2009年6月27日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイの首都バンコクの王宮前広場で27日、タクシン元首相支持の反政府勢力「反独裁民主戦線(UDD)」メンバーら約1万人が、アピシット連立政権の退陣と総選挙を求める大規模集会を開いた。
 28日朝まで続ける予定で、政府側は警察官ら4000人以上を動員し、警戒を強めている。
 集会では、国外逃亡中のタクシン氏が国際電話でメッセージを寄せる予定。UDDは延べ10万人の参加を見込んでおり、幹部は「暴力に訴えない平和な集会にする」と述べた。

◎新型インフル、タイで初の死者、40歳代の男女(2009年6月27日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイ保健省は27日、新型インフルエンザに感染してタイ人の女性(40)と男性(42)の2人が死亡したと発表した。女性は心臓に慢性疾患があり、20日に入院先の病院で死亡していた。男性は東欧旅行から帰国後に発症し、27日に死亡したという。タイでは同日までに1209人の感染が確認されているが、死者は初めて。東南アジアではフィリピンが22日に発表した1人に続く死者となった。

◎タイで在留邦人3人が新型インフル感染、国内感染者も急拡大(2009年6月23日、日本経済新聞)
 【バンコク=三河正久】在タイ日本大使館によると、バンコク日本人学校に通う児童1人を含むタイ在留邦人の3人が23日までに新型インフルエンザに感染したことが分かった。いずれも治療を受け快方に向かっているという。タイ保健省によると、同日までにタイ国内の感染者数は前日比125人増の899人に急拡大し、日本の感染者数に近づいている。死者は出ていない。

◎バンコク、非常事態宣言を解除、12日ぶり(2009年4月24日、読売新聞)
 【バンコク=佐藤昌宏】タイ政府は24日、首都バンコクと周辺地域に対し、12日から発令されていた非常事態宣言を解除した。
 アピシット首相は23日深夜、議会で「非常事態宣言解除は、我が国が抱える問題の解決策を探る一環だ。政府は、(反政府側との)和解を求め、誠意を示したい」と述べた。
 非常事態宣言は、中部パタヤで11日から予定されていた東アジア首脳会議などを抗議活動で中止に追い込んだタクシン元首相派実動部隊「反独裁民主戦線(UDD)」が、バンコクでも反政府活動を活発化させたことを受けて、発令された。
 政府が国軍約4万人を投入したこともあり、UDDの活動は14日までに収束したが、17日にはUDDと対立する政治勢力の指導者が銃撃を受けるなど一部で不穏な動きが続いていた。

◎タクシン派10万人集結、現政権退陣求め抗議行動、タイ(2009年4月8日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】東アジアサミットなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の首脳会議を週末に控えたタイで8日、タクシン元首相の支持者約10万人が現政権の退陣などを求めて首都バンコクに集結。当局側とにらみ合い状態になった。
 元首相派の反政府行動は、民主党のアピシット政権が昨年12月に多数派工作で元首相派から政権奪取して以来続いているが、今回は最大規模となった。
 タクシン派の群衆はこの日、プミポン国王の側近中の側近、プレム枢密院議長の自宅を包囲し、座り込みを開始。警官隊と一触即発の緊張に包まれている。
 タクシン派「反独裁民主同盟」は3月26日から首相府を包囲して連日、集会を開催。海外逃亡中のタクシン氏もビデオ演説で、自身を失脚させたクーデターの黒幕はプレム議長だと名指しで批判。支持者に決起を呼びかけてきた。
 8日の抗議行動では、シンボル色の赤いシャツに身を包んだ支持者らが首相府から議長宅まで約1キロをデモ。議長宅前に特設ステージを造り、「議長は辞任しろ」などと叫んだ。タクシン氏は同日夜の演説で「成果を得るまで戻ってはならない」と訴えた。
 政府は警官約5千人を周辺道路などに動員したが、強制排除には出ていない。議長宅前には警官数百人が配置され、デモ隊とにらみ合っている。不測の事態に備えて待機中の陸軍兵らを含めると1万人規模の治安部隊が警戒態勢を敷いているという。
 前日の7日には同盟支持者が、東アジアサミットなど一連の会議の開催地となるタイ中部パタヤのホテルを包囲し、閣議中だったアピシット首相らを3時間近く閉じこめた。タクシン派群衆はその後、ホテルを出た首相の車を襲って後部ガラスを破壊。首相は別の車で避難して無事だったが、警備員が負傷するなど事態は緊迫しており、首脳会議の開催を心配する声も出ている。

◎「クーデター黒幕は国王側近」、タクシン元首相、名指し(2009年3月29日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】タイのタクシン元首相は27日夜、バンコクで開かれた反政府集会で国外からビデオ演説し、06年9月のクーデターの黒幕はプレム枢密院議長(88)だと初めて名指しして非難した。議長はプミポン国王の側近中の側近で元陸軍司令官。王室と軍の権威を代表するとみられる議長を批判の俎上(そじょう)に載せたことで、元首相は退路を断って支配層と戦う意思を示したことになり、社会の分断が一層深まりそうだ。
 タクシン派の「反独裁民主同盟」は26日からバンコクの首相府を包囲。タクシン氏は連日、発信場所を明かさないままビデオで登場して支持者に檄(げき)を飛ばしている。27日には約2万人を前に「プレム議長がすべての黒幕であり、枢密院議員のスラユット元首相らと協力して私を追い落とした」と話した。
 さらにタクシン氏は、プレム議長は政権与党の民主党を後押ししてきた▽クーデターを遂行したソンティ前陸軍司令官がタクシン氏暗殺計画にも関与した▽スラユット氏は反タクシン運動を進めた民主主義市民連合(PAD)を支援した――などと暴露。そのうえで「国王と王妃は関与していない。だが枢密院が政治に介入することで、国王も関係しているような誤解を世間に与えている」となじった。
 これに対しスラユット氏は28日、記者会見してクーデターへの関与を否定。議長の秘書や軍高官らも相次いでタクシン氏を激しく批判した。
 政変後、タクシン派の支持者らは議長を「黒幕」と批判してきたが、タクシン氏本人は名指しを避ける一方、知人の葬儀で議長に話しかけたり関係者が議長を訪ねたりして、和解を模索してきた。議長と和解すれば恩赦の道も開けるとみられるからだ。
 だが議長側の対応は硬く、タクシン派は政権から転落、元首相も海外逃亡中に有罪判決を受け財産も凍結された。追いつめられたタクシン氏は和解を断念し、枢密院、軍、司法、官僚といった支配層と戦う決意を示した形だ。
 演説でタクシン氏は王室への忠誠を繰り返し語った。しかし長幼の序を重んじるタイで、長い首相経験があり国王の番頭である議長を罵倒(ばとう)する演説は「一線を超えた」との受け止め方が一般的だ。
 タクシン氏は、残る頼みの綱である支持者らを激しい言葉で鼓舞し、街頭活動の継続を訴えた。「お墨付き」をもらった支持者らは今後、枢密院や軍への批判を強めるとみられ、28日の集会では早速「プレム、出て行け」といったかけ声が響いた。
 反タクシン派は政府、議会も押さえ、体制を整えたかにみえるが、選挙で対立の解消をめざす気配はない。都市貧困層や東北・北部で根強いタクシン人気を恐れるからだ。
 社会階層や地域間対立が深刻化することは確実で、解消のめどはまったく立たない。

◎タイ:アピシット首相就任3カ月、予想以上の安定ぶり(2009年3月15日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのアピシット首相(44)が就任して16日で3カ月となる。タクシン元首相派との対立を抱えたままの政権発足だったが、軍や財界の支援を受けて無難に政権運営をこなし、予想以上の安定ぶりを見せている。一方で、タクシン派勢力は弱体化しつつあるものの、現政権への揺さぶりを続けており、混乱の火種はくすぶったままだ。
 アピシット首相は13日、就任後初めて英国を訪問。ブラウン首相との会談後、「タイ経済は今年の第4四半期に成長を回復する」と楽観的な見通しを示した。
 昨年12月にタクシン派政権から離脱した派閥を取り込み、不安定な足場の上に成立したアピシット政権だが、王室や軍、財界の強い支援で、政権基盤を固めつつある。母体政党「民主党」のチュアン最高顧問(元首相)やステープ幹事長らベテラン政治家が政務を取り仕切り、若い首相が表舞台で清新さを強調する形だ。
 政府は今月初め、昨年12月のバンコク国際空港占拠事件で延期されていた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議を議長国として開催し、政治混乱からの回復を国際社会にアピールした。国内では、首相自身が地方を遊説して「国民和解」を訴えるなど、誠実な政治姿勢が国民の好感を呼んでいる。
 私立アサンプション大学が今月初めに全国で実施した世論調査では、首相の支持率は79.3%を記録した。
 一方、政権の座から追われたタクシン派は現政権を「民主的に成立した政権ではない」と批判し、総選挙実施を要求してこの3カ月で3回の大規模デモを行った。実刑判決を受けて海外逃亡中のタクシン元首相は12日のビデオ会見で、「私は戦士であり、正義のために戦い続ける」と、復権をあきらめない姿勢を強調した。しかし、国民の政争疲れもあって徐々に求心力を失い、デモ参加者は回を追って減りつつある。
 タイ経済は、空港占拠事件の余波で今年1月の外国人観光客数が前年同期より2割減少し、観光関連産業に打撃をもたらしている。世界的な金融危機の影響も目につき始め、経済状況の悪化が長引けば政府批判につながりかねない不安要素をはらんでいる。

◎タイ:タクシン派の反政府集会に3万人、下院解散など要求(2009年2月1日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのタクシン元首相を支持する団体「反独裁民主戦線」が31日から1日にかけて、バンコク中心部の王宮前広場で3万人規模の反政府集会を開いた。同団体はアピシット政権に下院解散などを要求し、15日以内に要求に応じなければ再び大規模な集会を開くと警告した。
 同団体は、反タクシン派のアピシット政権に対する揺さぶりを続けている。大規模な反政府集会は、昨年末にデモ隊が国会を包囲し、施政方針演説を阻止したのに続いて2度目。

◎タイも独自捜査に着手、西松建設の贈賄疑惑(2009年1月30日、産経新聞)
 タイのバンコク都庁発注の公共工事をめぐる準大手ゼネコン西松建設の贈賄疑惑で、タイの国家汚職追放委員会は30日までに、タイ側の関係者から任意で事情聴取を行うなど、独自捜査に着手した。同委員会スポークスマンが明らかにした。既に関係資料の収集も開始、都庁関係者からも事情聴取した。近くこの事件を扱う捜査グループをつくる方針という。
 西松建設と現地の大手ゼネコンとの共同企業体(JV)は2003年、バンコク都庁発注の洪水防止トンネル工事を約20億バーツ(現在のレートで約51億円)で受注。日本側は外交ルートでタイ側に捜査協力を要請した。
 外為法違反容疑で東京地検特捜部に再逮捕された西松建設元海外事業部副事業部長高原和彦容疑者(64)=業務上横領罪で起訴=は「会社が地元当局者に総額4億円以上のわいろを渡した」と供述。特捜部は裏付け捜査を進めている。

◎タイ:タクシン元首相「死ぬまで闘い続ける」(2009年1月25日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】汚職防止法違反罪で実刑判決を受けて国外逃亡中のタクシン・タイ元首相は25日、衛星テレビ番組に国際電話を通じて出演し、「死ぬまで闘いを続ける」と表明した。
 元首相は「私は何も悪いことはしていないのに不当な扱いを受けてきた」と主張。「問題(政治対立)を終わらせたいなら、私と家族に正義をもたらすべきだ。それまでは闘い続ける」と述べ、政府などによるタクシン派つぶしの動きに強い異議を唱えた。現在の滞在場所は明らかにしなかった。

◎タイ:与党公認候補・スクムパン氏がバンコク知事に(2009年1月12日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイの首都バンコクの都知事選が11日、投開票され、アピシット政権の最大与党・民主党公認のスクムパン元副外相が当選した。タイでは先月、タクシン元首相派の政権から反タクシン派の民主党主体の政権へと移行したが、首都で民主党への支持が強いことが示され、新政権に好材料となった。
 また、先月2日の旧最大与党など3党の解党判決で失職した下院議員29人の補欠選挙も11日行われ、与党が20議席、野党が9議席を獲得した。これで下院は与党が255議席、野党が207議席となった。

◎タイで下院補選、連立与党が優勢、バンコク都知事選も(2009年1月12日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイで11日、下院補欠選挙(被選挙数29)の投票があり、即日開票された。同日夜の選管の非公式集計によると、昨年12月にタクシン元首相派から政権を奪った民主党主導の連立与党が20議席を獲得し、元首相派など野党勢力は9議席にとどまっている。
 昨年12月に憲法裁判所が旧与党3党の解党と幹部の公民権停止を命じ、29議席が欠員になった。このうち13が元首相派の政党の議席だった。アピシット首相にとっては、就任後初の審判となった。
 この日はバンコク都知事選も投開票され、民主党公認のスクムパン氏が当選確実となった。

◎バンコクのクラブで火災、死者59人、邦人1人重体、3人けが(2009年1月2日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイの首都バンコクの高級人気ナイトクラブ「サンティカ」で1日午前0時(日本時間同2時)過ぎ、年越しを祝うイベント中に火災が発生し、地上2階地下1階建ての同クラブが全焼した。
 この火事で客59人が死亡、邦人男性4人を含む229人が負傷。邦人のうち、休暇でタイを訪れていた東京都文京区の会社員、和田桂一さん(38)が背中などのやけどで重体、3人は重軽傷を負った。
 タイ警察によると、死者のうち42人はタイ人で、1人がシンガポール人。残る16人(うち女性12人)の身元は確認できていない。在タイ日本大使館は邦人が含まれていないかどうか確認を急いでいる。
 出火当時、タイ人や外国人客ら約1000人で満員状態で、花火を多用した新年カウントダウンイベントが行われていた。
 警察は、1階ステージ付近から上がった花火が天井やカーテンなどに燃え移った疑いがあるとみて調べている。
 捜査関係者は本紙に「クラブ側が避難誘導を怠った」と語った。同クラブは老朽化などの理由で移転を計画、越年イベントがこの施設で最後の営業だった。

◎タイ首相、国会外で施政方針演説、野党議員らは参加せず(2008年12月30日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】タイのアピシット首相が30日、バンコクの外務省で施政方針演説をした。タクシン元首相を支持する「反独裁民主同盟」のメンバー が下院の解散を求めて国会包囲を続けたため予定を1日延ばし、会場も変更を余儀なくされた。野党となった元首相派の議員らは出席せず、対立の構図は攻守と ころを変えただけで、越年することになった。
 国会開会予定だった29日から同同盟が座り込みを続けたため、与党側は30日朝に約2キロ離れた外務省に集結。半数近くの下院議員が欠席するな か、首相は「国民和解と経済浮揚に取り組む」と演説した。一般質問は上院議員3人しかせず、2日間の予定だった会期は2時間で終わった。施政方針演説が国 会以外で行われたのは史上初という。
 国会前では同同盟と警察が小競り合いとなり、9人が負傷。同同盟幹部のウイーラ氏は朝日新聞の取材に「年明けに活動を再開し東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議も抗議対象にする。空港占拠を絶賛したカシット外相の責任を追及する」と話した。

◎タクシン派3千人が議事堂包囲、タイ新首相演説は延期(2008年12月29日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイの首都バンコクで29日、タクシン元首相を支持する市民グループの関係者ら約3000人が、反タクシン派連立政権を樹立したアピシット首相の施政方針演説を阻止する目的で国会議事堂を包囲した。
 このため、演説は30日に延期された。
 市民グループは包囲継続の姿勢を示しており、しばらく膠着(こうちゃく)状態に陥る可能性も出てきた。政権交代で攻守が逆転したものの、タクシン派と反タクシン派の対立は一層深まっている。
 市民グループは、アピシット新政権を「軍や司法の後ろ盾で誕生した非民主的な政権」などと批判し、議会解散・総選挙の実施などを要求している。警察は3000人体制で厳戒態勢を敷いているが、当面、強制排除はしない方針という。
 事態を受けて、チャイ下院議長は29日夕、「国会に入る議員の安全が確保されない」として首相の施政方針演説延期を決定。政府側は警察を通じてグループ側との対話を試みているが、進展はない模様だ。
 10月7日にタクシン派政権のソムチャイ前首相が施政方針演説を行った際は、反タクシン派の「市民民主化同盟(PAD)」が演説阻止のため国会を封鎖。警官隊の強制排除で500人以上の死傷者が出た。

◎タイ:アピシット首相、新政権を発足、反タクシン色鮮明に(2008年12月21日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのアピシット首相は20日、プミポン国王の承認を得て新政権を発足させた。空港を占拠した反タクシン派団体の行動を擁護したカシット元駐米大使を外相に起用。国防相には、ソムチャイ前政権に退陣要求を突きつけたアヌポン陸軍司令官と親しいプラウィット元陸軍司令官を充てるなど、反タクシン色を鮮明にした布陣となった。
 カシット氏は駐日大使も務めたことがあるベテラン外交官。反タクシン派による空港占拠事件を「革新的な抗議行動だ」と称賛した。外務省内などから起用に懸念を唱える声が強く、あつれきの火種となる可能性もある。
 正副36ポストのうち、タクシン派の旧連立与党を離脱して新政権に加わった小政党などに19ポストを割り当て優遇した。このため、最大与党の民主党内から不満も出ており、不安定要因を残した。
 新政権は22日の就任式を経て、29、30両日にアピシット首相が施政方針演説を行う。これに対し、タクシン元首相を支持する市民団体は28日にバンコクで大規模な反政府集会を予定。施政方針演説を妨害するため国会にデモ隊を動員する構えも見せており、混乱を招く可能性もある。

◎タイ南部で爆発、10人死傷(2008年12月21日、産経新聞)
 タイ南部パタニ県の中心都市パタニのデパート前で20日夕、駐車中のバイクに仕掛けられた爆弾が爆発し、地元警察によると、女性1人が死亡、子どもを含む9人が負傷した。イスラム武装勢力による犯行とみられる。
 イスラム教徒が多数派の南部では2004年以降、分離独立を求める武装勢力のテロが後を絶たず、これまでに3000人以上が死亡。17日に就任した民主党のアピシット新首相は、同党の支持基盤である南部の治安回復を課題に掲げている。

◎タイ新内閣を承認、外相にデモ参加の元大使(2008年12月21日、日本経済新聞)
 【バンコク=三河正久】タイ民主党のアピシット新首相が率いる新内閣が20日、プミポン国王に承認された。22日の国王宣誓式を経て正式発足する。反タクシン元首相派の市民団体「民主市民連合(PAD)」による空港占拠事件で失った国際的な信用回復や低迷経済の立て直しが新内閣の課題。だが、外相にPAD支持派で抗議デモで演説していたガシット元駐米大使を起用するなど、不安要素を抱える閣僚も多い。
 3人いる副首相の1人に民主党の重鎮、ステープ幹事長を充てた。財務相にはタクシン氏一族の株不正取引を追及したゴーン同党副党首が就いた。政治安定の鍵を握る軍部との折衝役である国防相には、現在の軍トップであるアヌポン陸軍司令官に近い先輩将軍のプラウィット元陸軍司令官が就任した。

◎タイ新内閣が発足、経済再建人事に財界は不満(2008年12月21日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイのプミポン国王は20日、新内閣の閣僚名簿(36人)を承認し、反タクシン元首相派の民主党を軸としたアピシット連立新政権が発足した。
 アピシット首相は「経済再生」と「国民和解」を最優先課題に掲げるが、経済再建を担う閣僚人事に財界が不満を示したほか、空港を占拠した「市民民主化同盟(PAD)」支持者の外相起用を疑問視する見方も浮上している。
 政府筋によると、最大与党・民主党からの閣僚起用は16人で、連立を組む旧与党勢力の18人を下回った。国防相にはプラウィット元陸軍司令官を起用。タクシン派から寝返ったネウィン元副農相派からは内相など要職に4人を起用した。
 この人事に、一部の民主党員が「タクシン派支持だった旧与党系への配慮が過ぎる」と反発。タイ商工会議所も、経済閣僚に能力未知数の旧与党出身者が選ばれたことに「失望」を表明した。首相は「連立相手とのバランスが必要」との釈明に追われている。
 外相には、日米で大使を務めたカシット氏を起用。同氏は、PADの抗議活動を正当化し、擁護する考えを示しており、首相との違いが露呈している。PAD幹部の訴追を求めるタクシン派市民グループは、月末に大規模集会を予定しており、混乱拡大の様相を呈している。

◎タイ内閣、論功人事露骨、外相にPADアドバイザー(2008年12月19日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】タイのアピシット首相は19日、新内閣の閣僚名簿をプミポン国王に提出した。外相には、民主主義市民連合(PAD)のアドバイザーとして空港占拠を正当化する演説を繰り返したカシット元駐米大使を起用。今回の政権交代劇を主導したアヌポン陸軍司令官と親しいプラウィット元陸軍司令官を国防相に選ぶなど露骨な論功行賞人事となった。
 解党されたタクシン元首相派の国民の力党(PPP)を割って民主党中心の政権に乗り換えたネウイン元首相府相派には4閣僚を割り振って厚遇。なかでもソムチャイ政権崩壊後に暫定首相を務め、タクシン派による下院の解散を防いだチャワラット前副首相は内相に起用された。同時に解党された国民党に属し、他の中小政党とともにいち早く民主党への合流を表明したサナン前副首相はそのまま副首相ポストに横滑りした。民主党で他党や軍との折衝を引き受けたステープ幹事長も副首相に就任する。
 駐日大使も務めたカシット氏は、PADが5月に活動を再開して以来、連日のようにステージに立ち、タクシン元首相の外交旅券を剥奪(はくだつ)しない外務省を批判。空港占拠については「抗議活動に新しい境地を開いた」と絶賛していた。

◎空港占拠「二度とあってはならない」、タイ新首相(2008年12月17日、産経新聞)
 タイの下院首相指名投票で先に首相に選出されたアピシット民主党党首は17日、プミポン国王の承認を受けて正式に新首相に就任した。同党は一両日中に閣僚名簿を作成し、週明けにも新政権誕生を目指す。アピシット氏は就任演説で「政局の混乱は十分に認識している」と述べ各党を含む国民和解に全力を尽くし、事態収拾を図ることを強調。経済の景気対策については長期的視野で解決に臨むとした。
 また、市民団体によるスワンナプーム国際空港の占拠については「2度とあってはならない」と述べ、国際的な信頼回復に全力を努めることを約束した。

◎タイ下院、首相にアピシット民主党首を指名、政権交代へ(2008年12月15日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイ下院は15日臨時会議を開き、ソムチャイ前政権下で単独野党だった民主党のアピシット党首(44)を新首相に選出した。タイ史上最年少の首相になる。01年のタクシン政権発足以降、クーデター後の一時期を除いて政権を担ってきたタクシン派は野党に転じ、民主党は7年10カ月ぶりに政権に返り咲いた。
 アピシット氏は組閣作業に入り、近日中に新内閣が発足する見通し。
 民主主義市民連合(PAD)による国際空港閉鎖など一連の混乱で、景気が悪化しており、経済の立て直しが急務となる。政治混乱で失墜した国際的な信頼の回復も大きな課題。だが、タクシン派との対立の構図は変わっておらず、火種は残ったままだ。
 首相指名では、タクシン元首相派主導の前政権で連立を組んでいた旧与党の議員の多くがアピシット氏を支持したほか、元首相派議員の一部も賛成に回った。解党された旧最大与党から元首相派の多くが移籍した新党プアタイは、ぎりぎりまで多数派工作を続けたが、巻き返せなかった。

◎もろさ秘めた苦難の船出、タイのアピシット新政権(2008年12月15日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】タイの新首相にアピシット民主党党首が選出されたことで、反タクシン元首相派のデモ活動によって揺れたタイの国政は一応の落ち着きを取り戻した。しかし、国家を二分するタクシン派対反タクシン派の争いは、政権が逆転しても続くとみられ、国家の安定が保障されたとは言い難い。来年1月には、下院議員補選を通じて民意が問われ、新首相は最初の正念場を迎える。
 今月2日、「国民の力党」などタクシン派の旧与党3党が憲法裁判所の判断で解散し、国民の力党だけでも13人の幹部議員が政治活動への参加を5年間停止された。昨年5月には、同党の前身である旧愛国党も同様に解散に追い込まれていた。
 旧与党は今年1月、サマック政権が発足した後、憲法改正によって党解散を回避しようと試みたが、反タクシン派の市民団体「民主主義のための市民同盟」(PAD)による抗議デモなどによって断念。一昨年9月のクーデターで失脚したタクシン氏も、今年2月には一時帰国を果たしたが、8月から再び亡命生活を強いられており、影響力は確実に弱まっている。
 しかし、アピシット新首相も苦難の船出を強いられる。連立政権内にタクシン派の中小政党を取り込んだため、いつ瓦解してもおかしくない。観測筋は「政界の混乱に歯止めをかけるため、当面、軍や財界は民主党支持に回ったが、低迷する経済に対して効果的な政策を打ち出せなければ、タクシン派が主導権を握る可能性もある」と指摘する。1年間に3度目となる新政権の誕生は、国民和解と国家の信用回復という重責を担わなければなず、道程は平坦(へいたん)ではない。
 両勢力の争いは、すでに市民レベルでもデモ活動という形で表面化。11月末にスワンナプーム国際空港などバンコクの2空港を占拠したPADに対し、タクシン派の市民団体は不満を募らせるばかりだ。13日にバンコクの国立競技場で行われた大規模集会には約5万人が参加、15日も国会議事堂前で数十人が暴れ、今後、過激な行動を展開する可能性が高い。
 今回、民主党支持に回った元タクシン派は政権運営が軌道に乗らない場合、常に離脱する可能性があり、タイの政財界からは「生半可な政治手腕では、また短命に終わる」との声もすでに出ている。

・アピシット・ウェチャチワ氏
 タイの有力華人系のウェチャチワ家出身。英中部ニューカッスルで生まれ、両親とも医師。英オックスフォード大学で哲学、政治学、経済学などを学び、帰国後、タイの国立タマサート大学で講師を務めた。1992年、下院選で初当選し政界入り。民主党報道官のあと、97年から2001年まで首相府相などを担当、05年に民主党党首に就任した。
 06年9月のクーデター前には反タクシン派として元首相に辞任を要求。だが、昨年12月に実施されたクーデター後初の下院選で、次期首相と取りざたされながらもタクシン派の「国民の力党」に敗北した。即断のタクシン氏に比べ、理路整然と道理を説明する熟考型といわれる。
 現国立チュラロンコン大学講師のピムペン夫人との間に1男1女。44歳。

◎タイ新首相に野党擁立のアピシット氏、特別国会で指名投票(2008年12月15日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】タイのソムチャイ政権崩壊を受けて15日午前、下院議会(定数480)は特別国会を開き、指名投票によって野党民主党が擁立したアピシット・ウェチャチワ党首(44)を新首相として選出した。同国では、先月末から反タクシン元首相を掲げる市民団体の抗議デモで8日間にわたりスワンナプーム国際空港が閉鎖されるなど、政情不安への懸念が内外で高まっていた。
 指名投票は、民主党など反タクシン派が擁立したアピシット党首と旧国民の力党の受け皿となった「タイ貢献党」などのタクシン派に支持された国家貢献党のプラチャ党首の決選投票となった。
 タイの政局は、憲法裁判所の判決で与党「国民の力党」の解散が言い渡された後、今月6日、同党の派閥の一部や中小政党4党の議員の大半が民主党側に寝返り、連立政権樹立を表明してから一気に流動化した。
 昨年12月の下院選挙実施後、すでに1年内にタクシン元首相派政権が司法判断で2度崩壊し、元首相派は打開策が見いだせないまま、政界の混乱だけが浮き彫りになっていた。

◎タイ:15日に特別国会、アピシット新首相指名へ(2008年12月11日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイ下院は11日、ソムチャイ政権崩壊を受けて新首相を指名するための特別国会を15日に開くと発表した。旧野党の「民主党」が、タクシン元首相派の旧連立与党から離脱議員を取り込んで過半数を確保しており、アピシット民主党党首(44)の首相選出が確実な情勢だ。
 タクシン派は巻き返しを図っているが、経済界や軍が「政治混乱の長期化を避けるため、新たな枠組みの政権が望ましい」と民主党陣営を後押ししているため、不利な形勢にある。このため、タクシン派支持団体の間には「デモ隊を国会に動員して開会を阻止する」との動きもあり、当日は混乱する可能性もある。

◎首都空港の非常事態解除、タイ暫定政権(2008年12月9日、産経新聞)
 タイ暫定政権は9日の閣議で、ソムチャイ前首相が反政府市民団体「民主市民連合」による占拠を理由に11月27日、バンコク国際空港と旧国際空港一帯で宣言した非常事態を解除した。
 前首相は、非常事態宣言に基づき市民連合支持者を強制排除しようとしたが、軍や警察は応じず、憲法裁判所が今月2日に出したタクシン元首相派の旧下院第一党、国民の力党などの解党命令に伴い、逆に政権が崩壊した。
 前政権で旧国民の力党と連立していた中小政党4党の代表は9日、そろって記者会見し、最大野党、民主党主導の連立政権発足を支持し、同党のアピシット党首を首相候補とすることをあらためて確認した。

◎タイ首相府で業務再開(2008年12月8日、産経新聞)
 タイの反政府市民団体「民主市民連合」が8月下旬から今月初めまで3カ月余り占拠していたバンコク中心部の首相府での政府業務が8日、一部再開された。
 敷地内では依然、市民連合が放棄していった可能性のある爆発物などの捜索を警察が続けており、庭の芝生などの修復にも時間がかかるとみられている。
 ただ庁舎の被害は比較的軽微で、暫定政権の閣議なども近く首相府で行われる見通し。

◎タイ政権作り混迷、与野党、激しい多数派工作(2008年12月8日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】幹部の選挙違反を理由に解党されたタイの最大与党・国民の力党(PPP)の議員らの受け皿となる政党プアタイが7日、党大会を開き、次期政権でも同党が連立の中心となる決意を示した。野党・民主党も6日、旧連立与党の離脱議員らを取り込んで「過半数を確保した」と表明しており、多数派工作は軍も参入して激しさを増している。
 プアタイは7日の大会で党首にヨンユット元内務次官を選出。会見した幹部らは「下院議員198人が7日までに参加し、8日にはさらに8人が加わる。連立与党の残留勢力を合わせると過半数は間違いない」と話した。
 一方、民主党も6日に旧連立与党6党のうち4党の議員や、PPP内の大派閥だったネウイン元首相府相派と一緒に会見。現在438議席の下院のうち260議席以上を獲得するめどがついたとし、アピシット民主党党首を首相とする新政権を樹立すると宣言した。
 しかし、双方とも具体的な議員名は公表しておらず、実際の勢力図は不明だ。
 民主党の「過半数宣言」の背後には、軍の働きかけがあったと地元メディアは報じている。
 タクシン元首相のポチャマン前夫人が5日夜に突然帰国。元首相の意を受け、プアタイの党大会前に旧与党幹部らに結束を働きかけるとみられていた。こうした動きを見据え、アヌポン陸軍司令官らが各党やネウイン派幹部に与党離脱を説得したとされる。
 軍の報道官も7日、アヌポン司令官が国政をめぐり複数の政党幹部と会談したことを認めた。ソムチャイ前首相に辞職や解散を勧告したものの、拒否された軍主流派がタクシン派政権の継続を望んでいないのは明らかだ。
 プアタイ側も形勢の挽回(ばんかい)に懸命だ。連立工作をしやすくするため、党首には有力とされていた元首相の親族を避けた。次期首相候補も、これまでは元首相に近いチャルム保健相やミンクワン元副首相ら自党幹部からしか選ばないとしていたが、「連立他党からでもよい」と譲歩した。
 また、タクシン元首相も旧与党議員らに直接電話し、プアタイから離反しないよう説得に当たっているという情報もある。
 旧与党側は形勢不利と判断すれば、これまで否定してきた解散に打って出ることもありうる。ただ、反タクシン派は暫定政権下での解散は違憲と訴え、タクシン派に不利な判決を連発する憲法裁判所に持ち込む可能性が高い。
 民主党中心の政権が出来た場合、首相府や空港を占拠した反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は納得しても、タクシン支持派が逆に街頭活動で「報復」をすることも考えられる。
 学者や知識人からは、社会を安定させるには、全党参加の「挙国一致内閣」が必要との声もあるが、タクシン派は反対しており、実現は容易ではない。

◎タイ:下院、反タクシン派「過半数」 野党新政権樹立へ(2008年12月7日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タクシン元首相派と反タクシン派の対立による政治混乱が続くタイで、反タクシン派の「民主党」は6日、今月2日の憲法裁判所判決で崩壊したタクシン派・ソムチャイ政権の旧連立与党から多数の議員を取り込み、下院(439議席)の半数を超える250議席を確保したと発表した。これにより民主党は、アピシット党首(44)を新首相候補として、タクシン派を排除した新政権樹立を目指す。
 民主党の発表には、タクシン派の主軸の「タイ貢献党」(旧国民の力党)と連立を組んでいた5政党のうち4党と、タイ貢献党の1派閥の代表も出席し、「民主党との協力」を確約した。民主党のステープ幹事長は「タクシン派政権が続けば政治混乱は収まらない。新たな枠組みの政権を要望する各界の声を受け、連立政権を目指すことにした」と述べた。
 発表では、6日夜までに旧連立与党議員80人以上が民主党への協力を表明し、多数派工作に成功したという。
 一方、タイ貢献党は同日、「我々はまだ過半数の228議席を維持しており、連立政権の発足を目指す」と発表した。水面下で巻き返し工作を展開し、両陣営間で激しいせめぎ合いが続いている模様だ。
 また、ソムチャイ政権崩壊後も、タイ貢献党のチャワラット副首相を首相代行とする暫定政権が存続している。民主党主体の政権樹立を阻止するために、暫定政権が下院解散・総選挙に打って出る可能性もあり、新政権発足までは曲折が予想される。
 民主党主体の政権が成立すれば、昨年12月の総選挙で勝利したタクシン派は政権を失うことになり、タクシン元首相支持者が抗議行動を繰り広げ、再び政治混乱が起きる可能性もある。
 タクシン元首相と先月離婚したポチャマン元夫人は5日深夜、滞在先の香港から突然帰国した。表向きは「病気の母親の見舞いのため」が理由だが、実刑判決を受けて帰国できない元首相に代わり、タクシン派の連携維持を働きかけるために帰国したとみられ、動向が注目されている。

◎タイ野党・民主党、政権奪取を宣言、与党も「過半数」(2008年12月7日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】タイの野党・民主党のステープ幹事長は6日、タクシン元首相派の最大与党・国民の力党(PPP)と連立を組んでいた旧与党の一部幹部らとバンコクで記者会見し、民主党を中心に新たな連立を組むことで下院の過半数の議席を獲得する見通しがついたと表明、次期政権を担うと宣言した。
 2日の憲法裁判決で解党され、失職した議員を除く下院現有438議席のうち、民主党(165議席)側は中小の旧与党との連立で260議席以上を確保したとしている。
 これに対し、解党されたPPPの幹部も他の旧与党幹部らと会見。PPP議員は受け皿の新党プアタイに合流し、7日に党首を選出。これまでの連立与党と合わせ過半数の228議席は確実という。
 旧連立与党に参加していた少数政党はこれまで旧PPPとの連立を守るとしていたが、タクシン元首相派が政権に就く限り社会混乱は収まらないとする軍や財界などから猛烈な切り崩しにあっている模様だ。旧PPP側も少数党から首相を選任するなどの条件を示し、対抗している。
 今後、首相指名の国会が開会されるまでに議員争奪戦が繰り広げられることになる。旧PPP側は形勢が悪くなれば解散・総選挙を選択する可能性が高い。

◎タイ:下院、反タクシン派「過半数」、野党新政権樹立へ(2008年12月6日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タクシン元首相派と反タクシン派の対立による政治混乱が続くタイで、反タクシン派の「民主党」は6日、今月2日の憲法裁判所判決で崩壊したタクシン派・ソムチャイ政権の旧連立与党から多数の議員を取り込み、下院(439議席)の半数を超える250議席を確保したと発表した。これにより民主党は、アピシット党首(44)を新首相候補として、タクシン派を排除した新政権樹立を目指す。
 民主党の発表には、タクシン派の主軸の「タイ貢献党」(旧国民の力党)と連立を組んでいた5政党のうち4党と、タイ貢献党の1派閥の代表も出席し、「民主党との協力」を確約した。民主党のステープ幹事長は「タクシン派政権が続けば政治混乱は収まらない。新たな枠組みの政権を要望する各界の声を受け、連立政権を目指すことにした」と述べた。
 発表では、6日夜までに旧連立与党議員80人以上が民主党への協力を表明し、多数派工作に成功したという。
 一方、タイ貢献党は同日、「我々はまだ過半数の228議席を維持しており、連立政権の発足を目指す」と発表した。水面下で巻き返し工作を展開し、両陣営間で激しいせめぎ合いが続いている模様だ。
 また、ソムチャイ政権崩壊後も、タイ貢献党のチャワラット副首相を首相代行とする暫定政権が存続している。民主党主体の政権樹立を阻止するために、暫定政権が下院解散・総選挙に打って出る可能性もあり、新政権発足までは曲折が予想される。
 民主党主体の政権が成立すれば、昨年12月の総選挙で勝利したタクシン派は政権を失うことになり、タクシン元首相支持者が抗議行動を繰り広げ、再び政治混乱が起きる可能性もある。
 タクシン元首相と先月離婚したポチャマン元夫人は5日深夜、滞在先の香港から突然帰国した。表向きは「病気の母親の見舞いのため」が理由だが、実刑判決を受けて帰国できない元首相に代わり、タクシン派の連携維持を働きかけるために帰国したとみられ、動向が注目されている。

◎タイ:ソムチャイ政権崩壊、空港占拠解除へ(2008年12月3日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイ憲法裁判所は2日、昨年12月の下院選での選挙違反事件に絡んで、ソムチャイ政権の最大与党「国民の力党」など与党3党に対し、解党を命じる判決を言い渡した。判決に伴って、ソムチャイ首相ら3党の執行役員計109人に5年間の政治活動禁止処分が下され、首相は失職して政権は崩壊した。
 政権退陣などを求めて、バンコクのスワンナプーム国際空港などを占拠していた反政府団体「民主市民連合」は、これを受けて3日午前10時(日本時間同日正午)をもって占拠を解除すると発表。日本人など各国旅行者に足止めを強いてきた空港占拠は、ひとまず解決に向かうことになった。
 市民連合は3日、11月25日から占拠したスワンナプーム空港と、同26日からの国内線用のドンムアン空港、それに8月から占拠を続けてきたバンコク中心部にある首相府の占拠を解除する。
 スワンナプーム空港当局は、システムのチェックなどのため今月15日まで旅客便の運航停止を継続すると発表。しかし3日の占拠解除後に空港施設の被害状況を調査したうえで、改めて運航再開時期について判断するとみられ、被害状況によっては早期に運航が再開される可能性もある。
 憲法裁の判決でソムチャイ首相は失職したが、現内閣は新政権発足までの暫定内閣として存続し、党役員職を持たないチャワラット副首相が首相代行を務める。
 政権側は解党判決に備えて新党を設立しており、活動禁止処分を受けていない議員は新党に移籍したうえで、新首相を擁立する構えだ。国民の力党の広報官は「8日の国会で新首相指名を目指す」との方針を示した。
 憲法裁は9月、当時のサマック首相に対し、料理番組に出演して報酬を得たことが副業禁止規定に違反するとして失職の判決を下した。わずか4カ月の間に2人の首相が憲法裁判決で失職し、政府支持者の間には「司法による政治介入だ」との反発が強まっている。

◎タイ反政府派、撤収作業を完了、新国際空港5日から運航再開(2008年12月3日、日本経済新聞)
 【バンコク=三河正久】タイの反政府勢力「民主市民連合(PAD)」は3日午前10時(日本時間正午)までに占拠していた首都バンコクの首相府と近郊の2空港からの撤収作業を完了した。PADの活動中止は約半年ぶり。タイ空港会社(AOT)は閉鎖が続いた新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)で5日未明から旅客便の運航を再開すると発表した。ただ、空港の全面復旧にはなお時間がかかるとみられている。
 タイ憲法裁判所の判決で連立与党3党が解党となり、ソムチャイ首相ら党幹部が失職して政権が崩壊したことを受け、PADは2日夕に活動中止を宣言。空港前道路の封鎖バリケードを解除するなど撤収に向けた作業を始めていた。空港では政権崩壊を「我々の勝利だ」と喜ぶ支持者らの“祝勝会”が朝まで続いた。首相府も3日、8月下旬の占拠開始から3カ月余りを経てようやく政府に返還された。

◎タイ反政府勢力が空港撤収開始、完全復旧まで2週間(2008年12月3日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイの首都バンコク郊外のスワンナプーム国際空港を占拠していた反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」は3日朝、ソムチャイ内閣の総辞職を受けて撤収を開始、9日間にわたった空港封鎖は終結した。
 2日夜には航空貨物輸送が再開。空港当局によると、一部の国際線旅客機も4日深夜から運航を始めるが、完全復旧まで約2週間かかるとみており、当面は軍用空港を利用した代替輸送が続く見通しだ。
 PADは、バンコクのドンムアン空港からも撤収を開始した。有力指導者のチャムロン元バンコク知事は3日朝、スワンナプーム空港で「我々は政権打倒を実現した」と語り、支持者らと握手を交わした。PAD幹部は完全撤収後、警察に出頭するという。
 約5000人がテントを設営し、電子レンジやテレビ、ペットまで持ち込んで寝泊まりしていたスワンナプーム空港のロビーは、食べ物などが散乱して異臭が漂っていた。PAD支持者らは、「正義は勝った」などと叫びながら清掃をし、バスなどで空港を後にした。飲食店員のアンチャリー・サラサワットさん(33)は「新しい政府がだめなら、また空港を占拠する」と語った。
 空港当局は、空港施設の点検・整備などのため15日までスワンナプーム空港を閉鎖する必要があるとしているが、関係者は「1日2億〜3億バーツ(約5億〜8億円)の損失が出る。可能なフライトはすぐにも再開させたい」と話している。

◎タイ反政府派、空港からの撤収始める(2008年12月3日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの首都バンコク近郊の新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)など2空港を占拠していた反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は、3日朝から撤収を始めた。空港当局も、約1週間に及んだ占拠による施設への影響調査を開始。約35万人もの外国人旅行客を足止めした異常事態は、ようやく正常化に向けて動き出した。
 2日のソムチャイ政権の崩壊を受け、国際空港で夜通し「祝賀会」に沸いたPAD支持者ら数千人は3日朝、寝泊まりに使っていた毛布や、大量に持ち込んだ食料などの片づけを始めた。支持者らは順次空港を離れ始めているが、午前10時(日本時間正午)すぎの段階で、約400人がとどまっているという。
 一方、空港当局の技術者ら30人以上が朝から、管制や搭乗手続きなど運営に不可欠なシステムの点検を始めた。空港当局は、午前10時の段階では大きな問題は見つかっていないとしている。
 まずは部分的に運航を再開し、同日中に一部の到着便を受け入れ、5日までに一部の出発便の運航も始められる見通しだという。ただ、完全な正常化がいつになるかはまだ未定だ。

◎タイ:政治さらに混迷、政府支持者、司法によるクーデター(2008年12月2日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイ憲法裁判所の2日の判決でソムチャイ政権が崩壊したことで、タイ政治はさらに混迷を深めた。政権退陣を求めて空港を占拠してきた反政府団体が「勝利」を叫ぶ一方、実質的な審理もないままの憲法裁の判決に、政府支持者らは「司法によるクーデター(政権転覆)だ」と反発を強めている。国民の分断は深刻さを増し、タイは国家的危機を迎えている。
 バンコク国際空港を占拠する「民主市民連合」のデモ隊は判決に「我々の勝利だ」と歓声を上げた。一方、政府支持者たちは「不公平な判決だ」と批判し、バンコク都庁舎前で抗議集会を続けている。
 解党判決は事前に予想されていた。憲法裁判所は、タクシン元首相派と反タクシン派の対立が激しくなった06年以降、タクシン政権時代の与党の解党やサマック前首相の失職など、「タクシン派つぶし」への加担とも受け取れる判決を連発していたからだ。
 現在の政治対立は、タクシン政権時代に利権を侵食されたタイの伝統的支配層が復権をもくろみ、市民連合を「前線部隊」として「政界からのタクシン派の放逐」を図ったことが最大の要因だ。司法界のトップエリートである憲法裁判事は、旧支配層に近い人物が主流を占めている。
 また、タクシン政権を崩壊させた06年9月のクーデター前の政治混乱の際、プミポン国王が最高裁判事らに対して、混乱打開に司法が役割を果たすべきだとの訓示をしたことが、司法界の姿勢に大きな影響をもたらしている。
 与党側は解党判決を想定に入れて新党「タイ貢献党」を受け皿として準備している。政府広報官は「連立6党の結束には変化はない」と強調し、週明けにも新首相の指名を目指す方針だ。
 解党に伴う3与党役員の政治活動禁止により、与党6党の議員数は37人減って279議席となったが、下院(定数480)の過半数は確保し、新首相の擁立は可能だ。首相候補にはチャルーム保健相らが有力視されている。
 与党筋によると、海外逃亡中のタクシン元首相は与党議員らに「戦い続けるよう」指示したという。しかし、タクシン派は2度にわたる解党判決で計148人の政治活動が禁止され、党内の人材は払底している。新政権を樹立しても、極めて困難な政権運営が予想される。
 一方の市民連合側は、タクシン派色が濃い政権が続くことは何としても阻止する構えだ。元首相の信任が厚い強硬派として知られたチャルーム氏が首相候補となれば、さらに批判を強めるとみられ、対立激化は必至だ。

◎タイ:憲法裁、最大与党に解党判決、ソムチャイ政権崩壊(2008年12月2日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイ憲法裁判所は2日、昨年12月の下院選での選挙違反事件に絡んで、ソムチャイ政権の最大与党「国民の力党」など与党3党に対し、解党を命じる判決を言い渡した。判決に伴って、ソムチャイ首相を含む3党の執行役員計109人に5年間の政治活動禁止処分が下され、首相は失職して政権は崩壊した。
 現内閣は新政権発足までの暫定内閣として存続し、党役員職を持たないチャワラット副首相が首相代行を務める。
 政権側は解党判決に備えて新党を設立しており、活動禁止処分を受けていない議員は新党に移籍したうえで、新首相を擁立する構えだ。国民の力党の広報官は「8日の国会で新首相指名を目指す」との方針を示した。
 判決は「3党の役員は選挙違反の防止を怠り、公正な選挙を妨害した」との判断を示した。憲法では、選挙違反を政党ぐるみと判断した場合、当該政党に解党を命じ、役員の公民権を5年間はく奪すると定めている。
 憲法裁は9月、当時のサマック首相に対し、料理番組に出演して報酬を得たことが副業禁止規定に違反するとして失職の判決を下した。わずか4カ月の間に2人の首相が憲法裁判決で失職し、政府支持者の間には「司法による政治介入だ」との反発が強まっている。

◎タイのソムチャイ政権が崩壊、憲法裁、最大与党に解党命令(2008年12月2日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】タイの憲法裁判所は2日、選挙違反に伴う訴訟の判決で、ソムチャイ首相の所属する下院第一党、国民の力党に解党を命じ、ソムチャイ首相ら党役員の被選挙権を5年間剥奪(はくだつ)した。これにより、ソムチャイ政権は崩壊した。
 反政府市民団体「民主主義のための市民同盟」(PAD)はソムチャイ首相の退陣を掲げて、バンコクのスワンナプーム国際空港とドンムアン旧国際空港の占拠を続けている。政権崩壊で事態が収束に向かうかどうかが注目される。
 国民の力党などは憲法裁で解党命令が出されることを念頭に、すでにタクシン元首相派の新たな政党「タイ貢献党」を設立している。今回の判決で、多数が同党に合流するとみられ、新たな対立の火種となる可能性もある。
 一方、タイ政府報道官は同日、今月中旬に北部チェンマイで開催を予定していた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議を来年3月に延期したことを明らかにした。

◎タイ反政府派、バンコク新空港再開で当局と合意(2008年12月2日、日本経済新聞)
 【バンコク=三河正久】タイの首都バンコクの新旧2つの国際空港を占拠して閉鎖に追い込んでいた反政府勢力「民主市民連合(PAD)」の幹部は2日午後、空港当局との間で新空港(スワンナプーム空港)で旅客便、貨物便の両方を運航再開することで合意したと述べた。AFP通信や地元メディアが伝えた。
 空港を運営するタイ空港会社(AOT)によると、運航システムなどに技術上の問題がなければ、24時間以内にも第1便の離着陸が可能になる見通し。旧バンコク国際空港(ドンムアン空港)についても同様に運航が再開される見込みという。

◎タイ・ソムチャイ政権崩壊、憲法裁が最大与党に解党命令(2008年12月2日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイの憲法裁判所は2日、昨年末の下院選を巡る党ぐるみの選挙違反に問われた3与党に対する判決公判を開き、ソムチャイ政権を支える最大与党「国民の力党」の解党を命じた。
 同党党首のソムチャイ首相を含む同党幹部は、5年間の公民権停止。首相は失職し、内閣は総辞職することになり、ソムチャイ政権は崩壊した。

◎タイのソムチャイ政権崩壊、憲法裁、最大与党に解党命令(2008年12月2日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】昨年12月末の総選挙での選挙違反をめぐる裁判で、タイの憲法裁判所は2日、タクシン元首相派で最大与党の国民の力党(PPP)の解党と、ソムチャイ首相ら同党幹部の5年間の公民権停止を命じた。内閣は総辞職に追い込まれ、ソムチャイ政権は崩壊した。

◎タイ憲法裁、与党に解党処分命令へ、空港では爆弾事件(2008年12月2日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの憲法裁判所で2日午前、昨年12月末の総選挙での選挙違反をめぐり、最大与党・国民の力党(PPP)を含む連立与党3党の解党をめぐる裁判の最終弁論が始まった。裁判所は、3党への同日午後の判決の言い渡しを決めており、解党処分を命じるとみられる。
 解党処分でソムチャイ首相ら同党幹部の公民権も停止される見通しで、ソムチャイ政権は崩壊することになる。
 一方、タイの反政府団体・民主主義市民連合(PAD)が占拠しているバンコク近郊のドンムアン空港で2日未明、爆弾が撃ち込まれ、病院などによると1人が死亡、20人以上がけがをした。
 PADは1日、8月下旬から占拠、拠点としてきたバンコク中心部の首相府から撤収を始め、ドンムアン空港と新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)に、ほとんどの支持者を移動させた。爆発時には約2500人がドンムアン空港にいたとみられる。

◎タイ反政府派、首相府から撤収開始、人員不足で戦線縮小(2008年12月2日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は1日、8月から拠点としてきた首相府からの撤収を始めた。閉鎖中の新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)とドンムアン空港へ支持者を集めるため。国際空港の占拠から2日で1週間、過激な手段に国内外から批判が高まるなか、人員不足に陥った末の苦肉の配置換えとみられる。
 11月30日夜から1日未明にかけて国際空港を訪れると、すでに旅行者の姿はなく、空港職員も警備員も警官もいなかった。代わりに自警団がビルの入り口や周辺道路のすべてに検問を設け、警備にあたっていた。アジア最大級の巨大ターミナルビルでは、シンボルカラーの黄色いシャツを着たPAD支持者ら数千人が自由に動き回っていた。
 多くが集まる出発ロビーには、仮設の診療所が作られ、ボランティアの医師らが健康管理にあたっている。ロビーから外に出ると、炊き出しが行われ、毛布をひいて道路で休んでいる人たちに配られていた。その周辺を自警団が巡回する。PADの許可がないと空港に近づくこともできない。まさに空港はPADの基地と化していた。
 しかし、こうした行動は国内で支持されていない。先月30日のアサンプション大(バンコク)の世論調査では、76%が今の政治混乱を「国家的な恥」と答え、92%が、政府、PAD両サイドに法の支配を尊重するよう求めた。長引く政情不安に、国民の不満は高まる。過激化するPAD、事態収拾ができないソムチャイ政権の両方に批判が集まっている。
 これまでタイの政治情勢を「内政問題」として干渉を避けてきた国際社会からも非難が相次いでいる。米国務省は先月28日、「空港占拠は適切な抗議とは言えない。平和的な退去を要請する」との声明を発表。欧州連合(EU)も29日、「空港閉鎖はタイの国際的イメージを著しく傷つけた」と懸念を示した。
 25日夜から始まった国際空港の閉鎖は、PADがソムチャイ政権の退陣を求めて全国の支持者らに参加を呼びかけた「最後の戦い」の一環だった。軍筋によると、一時は2万人近くに達した参加者は、最近は約半分に減少。首相府を狙った爆弾事件が続く中、3カ所の警備、占拠を続けるには人手不足に陥り、首相府を手放して戦線縮小を強いられた形だ。
 一方、空港閉鎖による混乱は1日も続いた。タイ政府などによると、空港閉鎖でバンコクに足止めされた外国人旅行者は今も35万人おり、うち日本人は1万人以上とみられる。タイ政府は28日から1人当たり1日2千バーツ(約5千円)の割引をホテルから受けられる支援を始めたが、予算が限られており全員には行き渡っていないのが現状だ。
 経済的な打撃も大きい。オラーン副首相は29日の記者会見で、07年には1450万だった観光客が、08年は100万人減り、09年は半減するとの推計を発表。観光業界だけで100万人が失業する恐れがあると指摘した。

◎タイ:首相府で手りゅう弾爆発、49人負傷(2008年11月30日、日本経済新聞)
 タイのタクシン元首相派政権打倒を掲げる反政府市民団体「民主市民連合」が占拠を続ける首都バンコクの首相府に30日未明、手りゅう弾が投げ込まれ、病院当局者によると市民連合の支持者49人が負傷した。
 市民連合は25日にバンコク国際空港の占拠を始めたほか、旧バンコク国際空港も占拠し抗議活動を続けており、これに反発するタクシン派の犯行とみられる。30日午後には、タクシン派市民団体が大規模集会を計画しており、双方の衝突で混乱が広がる恐れがある。
 空港が占拠された25日以降、空港内やバンコク市内では小規模な爆発や銃撃などでけが人が出たほか、28日未明にもバンコクの市民連合系のテレビ局に手りゅう弾が投げ込まれ一人が負傷した。

◎バンコクの首相府で爆発、46人負傷(2008年11月30日、読売新聞)
 【バンコク支局】タイの反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」が不法占拠を続けるバンコクの首相府で30日、爆弾が爆発し、ロイター通信によると、46人が負傷した。
 首相府では、8月下旬から、タクシン元首相派主導の政権打倒を目標としたPAD支持者らが不法占拠。今月20日には、首相府占拠者が野宿する大テントに爆発物が投げ込まれて29人の死傷者が出るなど、PAD支持者を狙った爆発事件が数回にわたって発生している。
 PAD支持者は、スワンナプーム国際空港や国内線のドンムアン空港の2空港も不法占拠しており、ソムチャイ首相が非常事態宣言を発令したものの事態解決に至っていない。政府支持グループは大規模デモを行う構えで、PADとの衝突も懸念されており、緊迫した情勢となっている。

◎タイから日本人帰国、軍の空港から臨時便(2008年11月29日、朝日新聞)
 タイの反政府団体支持者が新バンコク国際空港など2空港を占拠しているため帰国できなかった日本人らが29日午前、バンコク南にあるタイ軍のウタパオ空港からタイ国際航空の臨時便で成田空港に到着した。
 東京都港区のホテル開発業森肇さん(54)はインドネシアでの仕事を終え、シンガポールからタイ経由で帰国しようとしたところ、新バンコク国際空港から出発できなくなった。
 知人の情報でウタパオ空港からの臨時便を知り車で向かった。空港は搭乗を求める人たちでごった返し、「難民キャンプのような状態だった」という。「2週間は閉鎖されるという話を聞いた。つくづく日本は平和な国だと思った」と語った。
 29日夜には日本航空と全日空の臨時便が、待機していた日本人客らを乗せて成田に到着する予定。(石平道典)

◎タイ首相、占拠2空港に非常事態宣言を発令(2008年11月28日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイのソムチャイ首相は27日夜、反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」が不法占拠を続けるスワンナプーム国際空港と国内線のドンムアン空港の2か所に非常事態宣言を発令した。
 暫定的とし、期限は未設定。軍は前面に出ず、警察が対応する。抗議活動を拡大し、国際空港を閉鎖に追い込んだPADに対し、政府がようやく対処に乗り出した形となったが、まず交渉による解決を図る。
 首相はテレビ演説で、「1兆バーツ(約2兆7000億円)もの損失が出て、国民が苦しんでいる」と述べ、現状に責任を持って対処する姿勢を示した。警察が一義的に現場の混乱収拾にあたり、海軍、空軍が補佐。さらに、陸軍が状況に応じて対処するとした。軍が主導的立場をとらないことで、実効性がどこまで保てるかが焦点となる。PAD幹部のスリヤサイ氏は、宣言発令の決定に「我々は人間の盾で対抗する」と述べ、占拠継続を誓った。
 PADは今月24日、ソムチャイ政権の打倒を掲げ、国会議事堂を包囲し、ドンムアン空港内の臨時首相府を占拠。翌25日にはスワンナプーム国際空港に侵入し、空港当局は全発着便の運航を停止。ドンムアン空港も閉鎖に追い込み、航空業務は機能不全に陥っている。

◎タイ首相、2空港に非常事態宣言(2008年11月27日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】タイのソムチャイ首相は27日、タイ北部チェンマイで緊急閣議を開き、反政府市民団体「民主主義のための市民同盟」(PAD)が占拠している首都バンコクのスワンナプーム国際空港とドンムアン空港(旧バンコク国際空港)を対象に、非常事態宣言を出す方針を決めた。フランス通信(AFP)が空港当局者の話として伝えたところによると、スワンナプーム空港は29日まで閉鎖される見通し。バンコクでは2カ所の空港がPAD支持者に占拠されたことで、空港機能が完全にまひしている。
 タイ民事裁判所は26日、PAD支持者に対してスワンナプーム空港からの退去を命じたが、応じないまま数千人が気勢を上げている。27日朝からは、国内線を主体とするドンムアン空港も機能を停止した。PAD支持者は閣議阻止のためバンコクから列車でチェンマイに向かっており、タクシン元首相派の市民と衝突する懸念も高まっている。
 一方、タイ英字紙ネーション(電子版)によると、ドイツを訪問中のソムポン副首相兼外相は27日、国内の混乱で12月中旬にチェンマイで予定されている東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議など一連の国際会議について、予定通り開催するかどうか首相と協議する考えを明らかにした。カンボジアなどはASEAN事務局に対して会議の開催延期を求めている。

◎バンコクの2空港に非常事態宣言へ、タイ政府(2008年11月27日、日本経済新聞)
 【バンコク=三河正久】タイのソムチャイ首相は27日夜、反政府派の市民団体「民主市民連合(PAD)」が閉鎖に追い込んだ新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)と旧バンコク国際空港(ドンムアン空港)の2空港とその周辺に限って、非常事態宣言を発令することを決めた。同日中に発令される見通し。政府はPAD支持者らの強制排除に踏み切る可能性が強まってきた。
 タイ首都圏での非常事態発令は、PADと政府支持派グループが衝突して死傷者が出たことを受けてサマック前首相が今年9月2日に発令して以来となる。前回はバンコク全体での発令だったが、市内の大半は平静だったにもかかわらず旅行客の大量キャンセルが相次ぎ、経済への影響が拡大。産業界からの批判が強かったため、今回は占拠された2つの空港周辺に限って発令したとみられる。

◎タイ首相、辞任も総選挙も拒否、国内線空港も閉鎖(2008年11月27日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイのソムチャイ首相の退陣を求めて新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)を25日夜に占拠した反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は26日、同空港での抗議活動を首相辞任まで続ける方針を示した。アヌポン陸軍司令官も同日、記者会見で首相に解散・総選挙を促したが、首相は同日夜、退陣や解散・総選挙を改めて拒否した。事態は手詰まり状態になっている。
 警察によると、PADの国際空港前での抗議活動は26日夕までに約1万人に膨れあがった。空港当局による発着便の全面停止措置の解除の見通しは立たず、日本人を含む観光客やビジネス客らの足に大きな影響が出ている。26日夜までに多くの旅行客がホテルなどへ移動した。PADは同日深夜、主に国内線用に使われているドンムアン空港にも詰めかけ、同空港当局は27日の運航を全面停止することを決めた。
 政治混乱を受けての記者会見でアヌポン司令官は、軍によるクーデターを改めて否定。「首相は国益を考え、国民に権限を戻すべきだ。これ以外に問題の解決策は見えない」として、首相に下院を解散し、総選挙をするよう促した。PADにも空港からの撤退を含むすべての抗議活動の収束を呼びかけた。
 これに対し、ソムチャイ首相は26日夜、北部チェンマイで国民向けにテレビ演説し、自らの政権を「選挙で選ばれた正統な政府」と強調。「首相職にこだわるつもりはないが、民主主義の維持が重要だ」と話した。
 さらに「すべての政府機関は力を発揮してほしい」と述べ、間接的な表現で軍に協力を促した。PADの行動は「国に大きな損害を与えている」と批判し、PADが占拠する首相府と国際空港の即時明け渡しも求めた。
 軍筋などによると、ペルーを訪問していた首相は26日午後6時(日本時間同8時)ごろ、当初予定していたバンコクの新国際空港から到着先をチェンマイに変更して帰国。車で同市内にある自宅にいったん戻った後、演説に臨んだ。
 タイの民事裁判所は同日夜、PADに国際空港の占拠をやめるよう求める命令を出した。PAD幹部のソンティ氏は国際空港前で支持者らに「ソムチャイ首相が辞任しなければ、政府との交渉には応じない」と述べた。
 PADは、タクシン元首相一族による株取引疑惑をきっかけに06年初めから反タクシンの運動を展開。対立が深まる中、同年9月に軍がクーデターでタクシン氏を追放したが、昨年暮れの選挙で再びタクシン派が政権を握ったため、PADが運動を再開した。

◎タイ:陸軍司令官が総選挙要求(2008年11月26日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイの反政府団体「民主市民連合」のデモでバンコク近郊のスワンナプーム国際空港が閉鎖された事態を受け、アヌポン陸軍司令官は26日、「民意を問うため、ソムチャイ首相に下院を解散して総選挙を行うよう求める」と述べた。政府広報官は「司令官の解散要求には応じない」と提案を拒否する意向を示し、タイの情勢はさらに混迷を深めている。
 首相は26日夜に訪問先のペルーから北部チェンマイに帰国した。今後、緊急閣議を開き公式に対応を決める。
 司令官はまた、「首相が要求に応じない場合、軍は政府に従わない」と発言。クーデターについては「国家に大きなダメージを与える」と否定した。
 司令官は市民連合にデモ隊の退去を要求したが、市民連合は「下院解散は解決策にはならない。政権退陣を要求する」と主張し、空港ターミナル前の路上で座り込みを続けた。政権支持派も市民連合に対抗し27日から街頭デモを始める。
 空港は26日も終日閉鎖され、すでに10万人以上の乗客に影響が出た。タイ航空は同社だけで1日5億バーツ(約14億円)の損失が出ると発表した。

◎非常事態宣言か、下院議会解散か、混迷のタイ 空港占領を継続(2008年11月26日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】タイの首都バンコクのスワンナプーム国際空港を占拠し、ソムチャイ政権の退陣を求めている反政府市民団体「民主主義のための市民同盟」(PAD)は26日も空港閉鎖を継続した。同日夜にペルーから帰国したソムチャイ首相は非常事態宣言の発令を視野に国防省などに事前に準備を指示、アヌポン陸軍司令官は全省庁の幹部と緊急協議を開いて事態への対応を検討した。
 空港は出発と到着のロビーとも閉鎖状態が続き、全便がキャンセルされた。アジアの空のハブ(拠点)として利用客は1日に約12万人に上るといわれるが、機能は完全にまひしている。到着便はバンコクのドンムアン空港や北部のチェンマイ空港など3空港に振り分けられる一方、出発便では乗客数千人が足止めとなった。在タイ日本大使館も職員を派遣して日本人利用客の混乱に備えた。
 市民同盟の支持者らは出発ロビー前の道路に数千人が夜通し座り込みを続行した。警察当局は衝突による流血の事態を恐れ、強制排除は行わないまま、警備を続けた。
 ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)を終えて帰国の途についた首相は北部チェンマイ空港内に着陸し、空港内の軍施設に向かった。首相の帰国を前に全省庁と対応を協議したアヌポン陸軍司令官は「下院議会を解散し、選挙による国民の判断を仰ぐよう首相に提案する」と述べており、首相は今後の事態への判断を迫られている。

・「民主主義のための市民同盟」のデモ
 サマック前政権がタクシン元首相派の与党の存続をかけて憲法の汚職罰則規定の緩和に動き始めたことに端を発して、5月末から始まった反政府デモ。8月に首相府が占拠され、サマック政権は退陣。だが、タクシン派一掃に向け、ソムチャイ政権発足後も続いている。一方、タクシン氏を支持する政府支持団体も団結し始め、対立の溝が深まっている。

◎新バンコク国際空港閉鎖続く、成田発便にも影響(2008年11月26日、日本経済新聞)
 【バンコク=三河正久】25日夜に新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)を閉鎖に追い込んだタイの反政府派市民団体「民主市民連合(PAD)」の座り込みは26日午前も続いている。空港閉鎖が終日続けば最大12万人以上に影響が出る見通しで、観光やビジネスに打撃が拡大する様相を見せている。同空港では26日早朝、3カ所で爆発があり、支持者2人が負傷、混乱が深まっている。
 ペルーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議から帰国するソムチャイ首相は26日夕、タイ北部チェンマイに入り、その後に軍用機でバンコクに入って対応を取る見通し。政府内には非常事態宣言の発令も検討しているとの情報もある。
 バンコクの空港閉鎖に伴い、成田空港では26日午前、バンコクに向かう航空機の欠航や出発予定時刻が決まらないなどの影響が出ている。2便が欠航を決定。全日本空輸便は出発したが、「搭乗客に『着陸できない状況となれば、成田に引き返す可能性がある』と伝えている」(同社)という。

◎タイ反政府勢力、国際空港を占拠、日本人含む5千人足止め(2008年11月26日、読売新聞)
 【バンコク=鶴原徹也】タイの反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」の数千人が25日午後9時(日本時間同11時)過ぎ、バンコク郊外のスワンナプーム国際空港に乱入し、旅客ターミナルビルを占拠した。
 空港当局は直後に出発便の運航を停止、26日午前4時(同6時)以降は到着便の運航も停止し、機能は完全にマヒした。600人近い日本人を含む、利用客ら約5000人が空港に足止めされ一夜を明かすなどした。タイの政情混乱は、ハイシーズンを迎えている、ドル箱の観光産業に飛び火した。
 PADはソムチャイ首相に対し、「無条件・即時内閣総辞職」を要求、総辞職まで空港施設占拠と空港封鎖を継続するとしている。
 ソムチャイ首相は26日夕、アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席で訪問していたペルーから帰国予定。同日中に緊急閣議を開き、国内治安法を発動し、軍に事態打開を指示するとの観測が流れている。
 ただ、10月7日、国会封鎖に出たPADに対し、警察が催涙弾発砲などで強制排除を行った結果、多数の死傷者を出した反省から、今回は強制排除には慎重な構えだ。辞任は重ねて否定している。
 バンコク周辺では26日未明から早朝にかけて、空港近辺など3か所で爆弾事件があり、少なくとも6人のけが人が出ている。

◎タイの国際空港、全便運行停止、反政府派が占拠(2008年11月26日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの新バンコク国際空港を占拠した反政府団体、民主主義市民連合(PAD)は26日、早朝からさらに千人以上の支持者らを空港に集めて抗議行動を強めた。爆発物による負傷者も出て混乱が深まっている。航空機の運航は全面停止し、多数の日本人を含む旅行客ら約1万人が空港で夜を明かすなど、アジア有数の拠点空港はマヒ状態に陥っている。
 警察によると、ターミナル前で同日朝、爆弾が爆発し、4人が負傷。PADが占拠した臨時首相府がある別の空港やバンコク市内の路上など3カ所でも小規模な爆発や銃撃戦があり、計6人以上がけがした。負傷者は、いずれもPAD関係者とみられる。
 国際空港前で座り込みを続けるPAD支持者の数は約5千人に膨れ上がった。空港当局は25日夜の空港閉鎖後も到着便や一部の出発便の運航を認めていたが、26日早朝から全面停止とした。これまでに100便以上が欠航した。
 日本大使館によると、26日未明までに、日本航空の4便と全日空1便が予定通りに日本へ向けて出発したが、それ以降の便はすべて欠航か延期となっている。多くの日本人観光客が空港内で足止め状態となっている。
 PADは、ペルーの国際会議から戻ってくるソムチャイ首相の入国を阻止するとしているが、首相は帰国経路を変更し、26日夜に北部チェンマイを経由してバンコクに入る見通し。その後、緊急閣議を開くなどして対応を検討するとしている。
 政府はPADとの衝突を避けるために強制排除には消極的な姿勢を続けている。市民からはPADへの対応を軍に求める声も出始めている。
 関西空港発着では、26日朝着のバンコク発の2便と、午前中の折り返しのバンコク行き2便が欠航した。日本航空は同日午後5時25分発のバンコク行きがあり、今のところ予定通り出発するという。
 福岡空港発着では、26日午前8時着のタイ国際航空と日本航空の共同運航便と、同11時45分発の折り返しのバンコク行き計2便が欠航した。
 中部空港(愛知県常滑市)では26日午前7時25分到着予定と、同10時25分出発予定の、いずれもタイ国際航空のバンコク便が欠航した。
 午後出発予定の日本航空のバンコク便1便にも、影響が出る見込みだ。

◎タイ反政府派、国際空港を一時占拠、出発全便キャンセル(2008年11月26日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの反政府団体、民主主義市民連合(PAD)は25日、バンコク郊外にある新バンコク国際空港付近に集結し、ターミナルビルの一部を一時、占拠した。空港は同日午後9時(日本時間同11時)ごろ閉鎖され、出発便は全便キャンセルとなっている。
 ソムチャイ政権の退陣を求め、24日に大規模な抗議行動に出たPADはこの日、ペルーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)から26日に戻るソムチャイ首相の帰国を阻止しようと空港に集結。約4千人が周辺の高速道路を占拠した後、一部が空港内に突入した。
 空港当局は「利用客の安全確保ができない」として空港を閉鎖。日本人観光客を含む大勢の利用客に、空港の外に出るよう呼びかけている。タクシーなどの交通の足は限られ、地元テレビは空港から約25キロ離れた都心に歩いて向かう大勢の旅行者の映像を流している。
 政府関連施設を標的としてきた抗議活動が、多くの旅行客を巻き込む事態に発展したことで、PADに対する批判が一気に高まっている。だが、政府は10月にデモ隊に催涙ガス弾を使用したことが国内外の批判を招いたため、今回は強制排除はしないとしている。デモ隊は25日深夜、ターミナルからは出た模様だ。
 同空港は1日に約700便が離着陸し、約12万人が利用するアジア有数の巨大ハブ空港。到着便は同夜の時点では受け入れている。

◎キヤノン、タイ工場で生産自動化、プリンター組み立てなど(2008年11月24日、日本経済新聞)
 キヤノンは海外工場の自動化を加速する。まずはタイにあるプリンター工場で生産ラインの自動化を進める。独自開発したロボットを導入するなど組み立て工程も自動化し、生産性を高めると同時に品質を安定させる。急激な円高や人件費高騰などのリスクを減らし、コスト競争力を高める。タイを皮切りに、他の海外工場でも自動化を進める。
 すでに交換用トナーカートリッジなど消耗品の工場で自動化を進めているものの、プリンターなど複雑な組み立てが必要な製品は人手を介していた。プリンターの海外生産でロボットを使った自動化ラインを導入するのは今回が初めて。

◎タクシン元首相に禁固2年判決、身柄引き渡し焦点に(2008年10月21日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの最高裁判所は21日、国有地を不正取得したとして汚職防止法違反の罪に問われたタクシン元首相夫妻に対する判決公判を開き、元首相に禁固2年の実刑を言い渡した。元首相の不正を問う一連の裁判で初の有罪判決で、現政権を元首相の「操り人形」と批判する反政府勢力が勢いづくのは必至だ。
 反政府派が、英国にいる元首相の身柄引き渡しを求めるよう政府に迫るのも確実。首相府の占拠が続き、陸軍司令官も首相退陣を求めるなど混迷が続くタイ政局は一層、出口が見えなくなってきた。
 判決は、9人の判事のうち5人の多数意見。ポチャマン夫人については不正への関与を認めず、無罪とした。「法の正義が期待できない」として8月に英国に渡り、亡命を求めているとされる元首相夫妻は出廷しなかった。
 判決によると、タクシン氏は首相時代の03年に、夫人がバンコク中心部の国有地を競売で購入した際に関与し、政治家の国有財産取得を禁じた法律に違反した。タクシン氏は判決後、AP通信などに「これは政治的な判決だ。世界はこれを民主主義とは認めないだろう」と述べた。
 検察は一族の資産約760億バーツ(約2450億円)の没収を求める訴えも最高裁に起こしており、今回の判決は一連の裁判に影響を与える可能性がある。
 今回の有罪判決を踏まえ、8月から首相府の占拠を続けている反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は、元首相の義弟であるソムチャイ首相への退陣圧力を強めるとみられる。政府が英国に対し、元首相の身柄引き渡しを求めなければ、ソムチャイ首相への風あたりが、さらに強まるのは間違いない。
 タクシン元首相や一族に対する一連の裁判は、06年9月の軍事クーデターで元首相が事実上の国外追放となった後に、軍主導の政権のもとで相次いで起こされた。
 昨年暮れの総選挙で元首相派の国民の力党が圧勝。元首相は1年5カ月ぶりに帰国したが、裁判所はこの間、元首相派に不利な判決を連発。元首相は危機感を抱き、出国を決意したとみられている。

◎タクシン元首相に汚職の罪で禁固2年の判決、タイ最高裁(2008年10月21日、CNN)
 タイ最高裁は21日、英国に亡命中のタクシン元首相に対し、首都バンコク中心部の国有地を在任時代に不正取得したとして、汚職防止法違反の罪で禁固2年の判決を言い渡した。取得はポッチャマン夫人が主導したものだが、夫人は無罪となった。
 最高裁の判事9人の合議では、5人が夫人の購入に元首相の関与があったと判断した。タイの法律は、政府の要職にある人物もしくは妻が在任中、政府機関と商取引を交わすことを禁じている。ポッチャマン夫人は、首相である夫の威光を借り、未開発の土地を相場の約三分の一で値段で購入している罪に問われていた。
 元首相は、2006年9月の軍部クーデターで政権を追われた後、一族の不正をただす複数の裁判訴訟に直面しているが、自身に対する判決は初めて。AP通信によると、タクシン元首相はロンドンの自宅で電話取材に応じ、禁固刑判決を非難。最高裁はクーデターによる産物であり、判決は政治的意図に満ちていると主張した。
 夫妻は今回の公判で無罪を強調。しかし、正当な判決は望めないとして、北京夏季五輪後、英国に逃亡し、公判は被告不在で実施された。元首相はミャンマーへの不正融資などでも起訴されたが、出廷しないため最高裁は逮捕状を発行している。タイ当局はただ、元首相の送還を求める手続きを始めていない。
 今回の有罪判決を受け、タクシン元首相派系の政権追放を求め首相府の占拠を今年8月下旬から続ける市民団体「民主市民連合」の抗議行動に弾みが付くのは確実だ。ソムチャイ現首相はタクシン氏の義弟に当たる。
 ただ、ソムチャイ首相は政府が果たすべき課題を挙げ、辞任の考えはないと言明しており、政局の膠着状態がさらに続く可能性もある。タイ政局はクーデター後、総選挙を経てタクシン氏系の最大与党・国民の力党(PPP)主導の政権が続いているが、資産凍結などもあり、元首相の求心力は落ちているとされる。

◎反政府派占拠のタイ首相府で爆発、1人死亡20人負傷(2008年11月20日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの反政府団体、民主主義市民連合(PAD)が占拠しているバンコクの首相府内で20日未明、爆発があり、地元テレビによると男性(48)が死亡、20人以上が負傷した。警察は、爆弾が爆発した可能性が高いとして調べている。
 首相府周辺では、10月30日にも爆弾が投げ込まれてPAD支持者ら10人が負傷する事件があり、それ以降も小規模な爆弾事件が続いていた。だが、プミポン国王の姉、ガラヤニ王女の葬儀が実施された14日から19日までの期間は、落ち着いていた。
 タイ軍筋などによると、爆発は午前3時過ぎ、PAD指導者らが支持者に語りかけるために設けられたステージから約20メートル離れた場所で起きた。首相府内には300人以上の支持者らがいたという。
 タクシン元首相の復権を警戒するPADは、元首相派主導の政権退陣を求めて8月下旬から首相府を占拠。元首相派支持者らとの対立が深まっている。

◎再審請求を断念、実刑確定、タイのタクシン元首相(2008年11月19日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】10月にタイ最高裁から汚職防止法違反の罪で禁固2年の実刑判決を受けた同国のタクシン元首相(海外逃亡中)は18日、判決を不服として検討していた再審請求を断念した。元首相の弁護人が同日、朝日新聞に明らかにした。元首相の実刑が法的には確定した。

◎黄金の山車に兵士数百人、タイ王女の葬儀、盛大に(2008年11月15日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイのプミポン国王の姉で、1月に84歳で死去したガラヤニ王女の本葬が15日、当地で始まった。最後の別れをと、黒い服を着た国民数万人が参列した。19日の納骨まで儀式が続き、葬儀費用3億バーツ(約8億4千万円)以上の盛大な葬儀となる。
 15日朝、棺(ひつぎ)の中に納められた王女の遺体が、黄金の山車に乗せられ、2キロ離れた火葬塔のある王宮前広場まで、伝統衣装の兵士ら数百人に引かれて移動した。

◎横浜ゴム、タイ南部に天然ゴムの加工工場(2008年11月12日、日本経済新聞)
 横浜ゴムは12日、約10億円を投じて、タイ南部のスラタニ県に天然ゴムの加工工場を建設すると発表した。生産能力は月3000トンの見込みで、2009年10月の稼働を目指す。同社はこれまで天然ゴムを輸入しており、自社で加工工場を持つのは初めて。治安情勢などに左右されず安定的に天然ゴムを調達できるとしている。
 工場建設に先駆け、9月にタイの天然ゴム加工会社テックフーと合弁で「ワイ・ティー・ラバー」を設立した。資本金は1億バーツ(約2億8000万円)で、出資比率は横浜ゴムが95%、テックフーが5%。

◎タイのタクシン元首相支持者ら、9万人が大規模集会(2008年11月2日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイの首都バンコクの競技場に1日、英国で亡命状態にあるタクシン元首相の支持者ら約9万人が結集し、タクシン派政権の支持を訴える大規模集会を行った。
 タクシン氏自身も国際電話を通じて、「司法の不当な扱いを受けた」などと、支持者にメッセージを送った。最大与党「国民の力党」下院議員や元閣僚らも参加した。
 警察は、約3000人の厳戒態勢で反政府勢力との衝突を警戒したが、混乱はなかった。
 タイでは、反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」が抗議活動を続けているが、政府支持の大規模集会は初めて。最大3万人規模のPADを数では圧倒した形だ。

◎タイでも検出、中国製「コアラのマーチ」(2008年10月25日、産経新聞)
 タイの食品医薬品局は25日、中国製のロッテのビスケット「コアラのマーチ」から有害物質のメラミンを検出したと発表、スーパーや小売店に販売を自粛するよう通知した。1キロ当たり3.16ミリグラムのメラミンを検出したとしている。
 中国製のコアラのマーチからは、香港やマカオ、シンガポールでもメラミンが検出されている。

◎“美女軍団”投入、標的は日韓の男性観光客、北朝鮮がプーケットにレストラン開業を計画(2008年10月25日、産経新聞)
 北朝鮮が、タイ・プーケット島に朝鮮料理専門のレストランを開業する計画を進めていることが判明した。東南アジア各地に朝鮮料理店を相次いで展開している北朝鮮。いずれの店舗も国家が育成した“美女軍団”による歌や踊りがウリで、人気は上々という。世界的リゾート、プーケットでの標的は「日韓の男性観光客」(韓国治安当局)。朝鮮料理店の進出は、財政難に苦しむ北朝鮮の新たな外貨獲得手段になるのか。各国情報当局の注目が集まっている。
入念な市場調査…派遣女性の選定も完了
 「出店に関与している組織の動静を監視中だ。今のところ、場所や開店の時期、店舗の規模などは明らかにできない」
 北朝鮮レストランのプーケット進出を探る韓国筋は声を潜めた。ただ、概要についてたずねると、少しずつ説明を始めた。
 「営業スタイルは、朝鮮料理を出し、北朝鮮女性による踊りと歌、楽器演奏に簡単な給仕サービスなどだ。基本的には、東南アジアで展開している他店舗を踏襲(とうしゆう)したものだが、プーケットについては、日韓の男性観光客をターゲットとしていることは間違いなく、かなりの外貨獲得を見込んでいるようだ…」
 プーケット島は、タイの本土から伸びるマレー半島西側のアンダマン海に浮かぶ。「真珠」と称される島の大きさは南北約50キロ、東西約21キロで、出雲市とほぼ同規模。
 海の美しさは世界的に有名で、早くから観光地として開発されてきたため道路やホテルなど観光インフラが充実している。日本をはじめ韓国、中国、豪州などから多くの観光客が訪れている。
 タイ政府観光庁によると、2006年の1年間だけで、約9万5000人の日本人観光客が訪れている。一方、韓国人は倍の約18万人が訪れた。
 「日韓からの観光客が多いことに着目、入念な市場調査を行い、出店計画を練ってきた。既に本国から派遣される女性従業員の選定や、寮の確保もメドをつけたようだ」(韓国筋)。
東南アジアで軒並み人気…“将軍系”が経営も
 北朝鮮はこれまでに、北京など中国の主要都市に朝鮮レストランを多数展開している。
 関係が悪化していた東南アジア各国との関係改善に成功した2000年ごろからは、タイのバンコクとパタヤ、ベトナムのホーチミン、ラオスのビエンチャン、カンボジアのシェムリアップ、インドネシアのジャカルタ−と、相次いでレストランをオープンしてきた。
 経営は朝鮮労働党が仕切る場合と、金正日総書記の資金を管理する特殊機関「39号室」が、傘下企業を通じて経営する“将軍系”があるという。
 それぞれの店舗ごとに統一されたマニュアルや経営方針があるわけではなく、各店舗が独自のノウハウとサービスで店の拡張を図っている。
 北朝鮮レストランの特徴は、料理以外に行われるショーだ。
 実際に東南アジア各地の店舗で食事をしたことがある日本人男性によると、「女性従業員は美女ぞろいでショーもなかなかのものだが、料理が高い」。
 バンコク・パタナカーンの「平壌館」では、最も高い魚料理が1200バーツ(約3400円)。プルコギ(焼き肉)は日本円で約1000円。一般的な町の食堂では100バーツ(約290円)で満腹になるというタイでは、「値段設定はかなり高く、明らかに観光客ねらい」という。
 だが、この男性によれば、「生演奏に合わせた踊りや歌、店によっては中国雑伎団のような軽業から、ポール・モーリヤの曲に合わせてのマジックショーまで見せるところもある。韓国人のツアーの定期コースにも組み込まれていて、予約は数日先までびっしりと埋まっている」とのこと。
接待要員は「代表級美女」…交際申し込む男性客も
 この男性は、英語での会話が弾んだ女性従業員から、退店間際に「平壌に帰ったらメールをするから」と、しつこくメールアドレスを聴かれたという。
 男性は結局アドレスを教えなかったが、韓国人の男性観光客の中には、女性従業員の肩を抱き寄せて迫り、従業員が「困ります」とまゆをひそめる姿も散見されるという。
 こうした現実に韓国情報筋は「金大中・元大統領が太陽(融和)政策を始める前であれば、『ハニー・トラップ(色仕掛け工作)』を疑う男性も多かったが、最近では同胞意識と外見やしぐさの清純さで、警戒心を抱く韓国人男性はいない。滞在中に同じ店に通い詰め、真剣に交際を申し込む男性までいる」とあきれ顔だ。
 同筋によれば、彼女らは工作員ではないが、基本的に平壌出身で、海外での接待要員を養成する旅行専門学校や音楽大学などを卒業。北朝鮮の国家観光総局などから派遣されて平均2年間赴任する。期間中、休日は1カ月に1日で、本国から送り込まれた指導員の厳しい監視の下で不自由な生活を余儀なくされる。
 派遣されるのは、容姿端麗で思想的にも、家庭的にも、勤務地で亡命する可能性がまったくない女性の中からえりすぐられた「国家代表級美女」だという。
 韓国筋は「プーケットに計画中の店は、韓国人のほか、大量にやってくる日本人観光客もターゲットに入る。日本語を話す従業員も送り込まれることになるだろうが、日本人男性に対して、外貨獲得以上の抱き込み工作なども行われる可能性がある」と話している。

◎タイ観光にかげり、反政府デモの影響も(2008年10月25日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】反政府デモが続くタイで、主要産業である観光業に陰りが見え始めた。8月以降、日本からのツアー客は急激に減少し、業界団体の予想では、10月は前年比で半減以上を記録する見通しだ。タイ国内の主要空港の旅客数も先月すでに2割減少しており、航空・旅行業界は厳しいセールスを迫られている。
 首都バンコクでは、市民団体が依然として首相府を占拠しているが、現場付近に居合わせない限り、暴行などに巻き込まれる危険性はほとんどない。だが、現地旅行業者の多くが「非常事態が宣言されるなど危機的なイメージが先行し、かなり客足に影響している」と話す。
 日本旅行業協会(東京都)が今月初めにまとめた、大手6社を対象とした統計によると、日本からタイへのツアー客は前年同月を100として、8月には74.9%、9月には57.9%を記録。10月の予想値は44.3%で、12月も64.8%と落ち込みは回復しない見込みだ。
 景気低迷が憂慮される中で、アジア地域では、韓国と香港・マカオを除いては客足が遠のく観光地が並び始めているが、特にタイは中国と並んで急減している。
 タイ国内の主要6空港の利用状況を見ても、9月の旅客数は国内、国際線とも20.2%減(タイ国営空港運営会社調べ)で、3年3カ月ぶりの低水準となっており、一向に安定しない政局や世界的な金融危機の余波を顕著に反映している。
 タイ観光庁は今月8日には計54カ国の旅行業者ら約1000人を招待して視察旅行を実施、来年は1500人規模に拡大し再度、誘致を図る予定だが、「デモだけでなく、燃料費の高騰など複数の要因がからみ、なかなか完全な回復は難しい」(タイ旅行業関係者)との声が早くも出ている。

◎タクシン元首相に禁固2年判決、身柄引き渡し焦点に(2008年10月21日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの最高裁判所は21日、国有地を不正取得したとして汚職防止法違反の罪に問われたタクシン元首相夫妻に対する判決公判を開き、元首相に禁固2年の実刑を言い渡した。元首相の不正を問う一連の裁判で初の有罪判決で、現政権を元首相の「操り人形」と批判する反政府勢力が勢いづくのは必至だ。
 反政府派が、英国にいる元首相の身柄引き渡しを求めるよう政府に迫るのも確実。首相府の占拠が続き、陸軍司令官も首相退陣を求めるなど混迷が続くタイ政局は一層、出口が見えなくなってきた。
 判決は、9人の判事のうち5人の多数意見。ポチャマン夫人については不正への関与を認めず、無罪とした。「法の正義が期待できない」として8月に英国に渡り、亡命を求めているとされる元首相夫妻は出廷しなかった。
 判決によると、タクシン氏は首相時代の03年に、夫人がバンコク中心部の国有地を競売で購入した際に関与し、政治家の国有財産取得を禁じた法律に違反した。タクシン氏は判決後、AP通信などに「これは政治的な判決だ。世界はこれを民主主義とは認めないだろう」と述べた。 検察は一族の資産約760億バーツ(約2450億円)の没収を求める訴えも最高裁に起こしており、今回の判決は一連の裁判に影響を与える可能性がある。
 今回の有罪判決を踏まえ、8月から首相府の占拠を続けている反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は、元首相の義弟であるソムチャイ首相への退陣圧力を強めるとみられる。政府が英国に対し、元首相の身柄引き渡しを求めなければ、ソムチャイ首相への風あたりが、さらに強まるのは間違いない。
 タクシン元首相や一族に対する一連の裁判は、06年9月の軍事クーデターで元首相が事実上の国外追放となった後に、軍主導の政権のもとで相次いで起こされた。
 昨年暮れの総選挙で元首相派の国民の力党が圧勝。元首相は1年5カ月ぶりに帰国したが、裁判所はこの間、元首相派に不利な判決を連発。元首相は危機感を抱き、出国を決意したとみられている。

◎タイ:タクシン一族、資産没収へ、最高裁、2200億円(2008年10月17日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイ最高裁は16日、政府が凍結していたタクシン元首相一族の資産760億バーツ(約2200億円)について、没収命令を求めた最高検の申し立てを受理し、審理開始を決定した。元首相が英国で事実上の亡命状態にあり反論が困難なことから、没収の決定が出るのは確実とみられる。
 06年9月タクシン政権が崩壊した後、資産調査特別委員会が元首相一族の不正蓄財を調査し、「不正疑惑がある」として、国内の銀行口座の総額760億バーツを凍結していた。
 一方、一族はクーデター前に資産の一部を海外に移していたとみられ、元首相は昨年6月にサッカーの英プレミアリーグのマンチェスター・シティーを買収。先月、アラブ首長国連邦の投資家グループに売却した。英紙は「8000万ポンド(約140億円)で買収し、2億ポンド(約350億円)で売った」と報じている。

◎カンボジア・タイ:銃撃戦 一時停戦に合意、国境付近、にらみ合い続く(2008年10月17日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】カンボジア・タイ国境にあるヒンズー寺院遺跡「プレアビヒア」付近で15日に起きた銃撃戦を巡り、両国軍の現地司令官が16日会談し、一時停戦に合意した。しかし、国境付近でにらみ合う緊張状態は解けておらず、紛争再燃の懸念は依然強い。
 カンボジア軍によると、「停戦状態を尊重し、それぞれの駐留位置から進出しない」ことで合意し、カンボジア側が拘束していたタイ兵士10人はタイ側に引き渡された。タイ軍によると、双方が領有権を主張する国境未画定地域で両軍が共同でパトロールを行うことでも基本合意し、21日に協議するという。
 一方、タイ外務省は16日、タイ兵士2人が6日に地雷を踏んで重傷を負った事件について「新規に敷設された地雷で、タイ軍が使用したことがない種類のもの」と発表。カンボジアが新規地雷の敷設を禁じたオタワ条約に違反した疑いがあるとして、国連に調査を求める方針を示した。
 15日の銃撃戦で重傷を負ったカンボジア兵士1人が新たに死亡し、死者は3人となった。また、カンボジアに滞在するタイ人約1500人のうち、タイ外務省による退避勧告を受けて約570人が出国した。

◎タイ・カンボジアが国境で交戦、30mの距離でにらみ合う(2008年10月16日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイ・カンボジア両国軍は15日午後2時半(日本時間同4時半)過ぎ、両国間で領有権紛争が再燃している国境地帯のヒンズー教寺院「プレアビヒア」遺跡周辺で交戦し、カンボジア政府によると、同国軍兵士2人が死亡した。
 同政府はタイ兵3人も死亡したとしているが、タイ側は否定している。また、双方で少なくとも計7人が負傷した。両国軍の交戦で死者が出たのは初めて。両国軍は、国境地帯の軍備を増強し、わずか30メートルの距離でにらみ合う展開となっており、緊迫した状況が続いている。
 タイ軍によると、交戦があったのは寺院近くの約1キロ・メートルにわたる紛争領域内。タイ兵約30人に対し、カンボジア軍が撤退を要求し、タイ側が拒むと、5分後にカンボジア側が発砲、約30分間の銃撃戦となったという。一方、カンボジア軍は、最初に発砲したのはタイ側で、ロケット砲が撃ち込まれたと主張。タイ兵20人を拘束した、としている。
 両国軍による交戦は3日の銃撃戦以来。タイ外務省は、カンボジアにいるタイ人約1500人に避難勧告を出した。

◎タイとカンボジア再び交戦、初の死者、国境の領有権問題(2008年10月15日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】世界遺産登録されたクメール寺院プレアビヒア周辺の領有権をめぐって争うカンボジアとタイの両軍は15日午後、係争地内で再び交戦し、カンボジア兵2人が死亡、タイ側7人、カンボジア側2人が負傷した。交戦は3日以来2度目で死者が出たのは初めて。両国は外交解決を目指して13日に副首相会談を開いたが不調に終わり、双方が部隊を増強するなど緊張が高まっていた。
 タイ軍筋によると、交戦は係争地内の2カ所で起き、約40分間続いた。タイ、カンボジア双方が「相手が銃撃を始めた」と主張している。カンボジア政府はタイ兵10人を拘束したと発表した。国境付近では両国の住民が避難を始めており、混乱が広がっている。
 寺院周辺では3日に銃撃戦があったほか、6日にはタイ兵2人が地雷を踏んで重傷を負った。タイ軍はカンボジア軍が最近埋設した地雷だとして反発。部隊の一部がカンボジア領内に進入した。これに対しカンボジアのフン・セン首相が13日、「24時間以内に撤退しなければ戦争になる」と警告。その部隊は後退したが、タイ軍は国境地帯の兵力は逆に増強していた。

◎タイ反政府団体の反逆容疑撤回、高裁、幹部の保釈認める(2008年10月9日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】タイの高等裁判所は9日、首相府を占拠する反政府団体・民主主義市民連合(PAD)幹部9人に出されていた逮捕状の容疑のうち、重い国家反逆容疑などを取り消す決定をした。PADが取り消し請求をしていた。騒乱の扇動など一部の容疑は残るが、拘束されていたチャムロン元バンコク都知事ら2幹部は同日保釈され、首相府に戻って反政府活動の継続を誓った。
 国家反逆罪は有罪なら死刑か終身刑の重罪。同容疑が取り消されない限り、PADは政府との交渉の席に着かず、首相府占拠を解くこともないとみられていた。このため政府が求める対話のきっかけになる可能性はある。
 しかし、サマック前首相を失職させるなど、政府に不利な判断を連発する司法は今回も、首相府占拠という違法行為が続いているにもかかわらず幹部の保釈を認め、PAD寄りの姿勢を一層鮮明にした。混乱打開に向けた政府の手段はさらに限られる一方、PADの活動には勢いがつきそうだ。
 警察はPADが首相府を占拠した翌日の8月27日、刑事裁判所から9幹部の逮捕状をとった。だがPADの請求を受けた高裁は9日、国家反逆や凶器準備集合など3容疑を「証拠不十分」として取り消し、最高禁固7年の騒乱扇動容疑など二つを有効とした。
 これを受けて、5日に逮捕されたチャムロン氏らが保釈を申請、認められた。チャムロン氏は警察で「政府が憲法改正をあきらめ退陣するまで活動を続ける」と話し、首相府へ戻った。首相府にいるほかの7幹部は10日に警察に出頭するとしている。こちらも保釈が認められる見通しだ。
 警察は7日、国会を取り囲んだPADの群衆を催涙弾で強制排除。2人が死亡、478人が負傷したことから、政府への批判が強まっている。首都圏で8日に実施された世論調査では、55%が警察の強制排除に反対し、47%が下院の解散を求めた。

◎タイ:バンコク知事に現職再選(2008年10月6日、産経新聞)
 タイのバンコクで五日投開票された知事選で、選挙管理委員会は6日未明に最終集計結果を発表、最大野党の民主党公認で現職のアピラック・コサヨティン候補(47)が得票率約46%で圧勝し、再選を決めた。二位の下院第一党、国民の力党公認のプラパット・チョンサヌアン候補(53)の得票率は25%だった。
 アピラック氏は民主党副党首で、再選は同党に追い風となりそうだ。
 有権者は約四百万人で、投票率は約54%と、前回知事選(2004年)の62.5%を下回った。

◎タイ首相府不法占拠、中心的指導者の元バンコク知事逮捕(2008年10月6日、読売新聞)
 【バンコク=鶴原徹也】タイ警察は5日、首相府不法占拠を続ける反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)の中心的指導者、チャムロン元バンコク知事を反逆などの容疑で逮捕した。
 PADはこれに反発し、占拠継続を表明した。ソムチャイ新政権のもとで模索の始まった対話解決の道は一層困難になった。
 チャムロン氏は同日朝、首相府を出て、バンコク知事選の投票のために訪れた投票所で逮捕された。
 同氏にはPADの他の指導者8人と同様、不法占拠開始翌日の8月27日、最高刑が死刑となる反逆などの容疑で逮捕状が出ていた。指導者の一人は今月3日、首相府を離れて逮捕されており、同氏が逮捕を想定していたのは確実。5日早朝、「祖国の恩に報いることが国民の義務」などとして反政府活動への結集を呼びかける声明を出していた。
 PADは“眼前の敵”だったサマック前首相の9月中旬の退陣後、明確な闘争目標を失っており、チャムロン氏の「不当逮捕」を新たな政権攻撃材料とするために仕掛けた可能性がある。

◎タイ:首相府占拠の指導者、チャムロン氏を逮捕(2008年10月5日、産経新聞)
 【バンコク藤田悟】タイ警察は5日、バンコクの首相府を占拠している反政府団体「民主市民連合」の指導者、チャムロン元バンコク都知事を反逆罪容疑などで逮捕した。市民連合の9人の幹部のうち逮捕は2人目。
 政府を「タクシン元首相のかいらい政権」と批判して8月26日から首相府占拠を続ける市民連合だが、当初は数万人に膨れ上がった座り込み参加者は1000人規模に減っている。チャムロン氏は自らが逮捕されることで、反政府運動を再び盛り上げる狙いがあったとみられる。
 チャムロン氏は午前、首相府を出てバンコク都知事選の投票に出かけたところを逮捕された。これに先だって市民連合に「我々は国家のために尽くす義務があるということを改めて訴えたい」との手紙を残した。
 もう一人の中心的指導者であるソンティ氏は「チャムロン氏は自らが犠牲になった」と述べ、行動の継続を呼びかけた。
 9月24日に発足したソムチャイ政権は、チャワリット副首相を交渉役に市民連合との話し合いの準備を進めていたが、チャムロン氏の逮捕で交渉は極めて困難となった。

◎首相の株保有、違憲の疑い、タイ選管が調査へ(2008年9月29日、産経新聞)
 タイ選挙管理委員会は29日、ソムチャイ首相が国営企業と取引関係があるインターネット会社の株を保有しているとして、憲法違反の疑いで調査に乗り出す方針を明らかにした。首相の株保有は、上院議員の指摘で判明した。
 タイの憲法は、国会議員やその家族が国の機関や国営企業と取引関係がある企業の株保有などを禁止。選管が憲法裁判所に判断を仰ぎ、下院議員でもある首相の株保有が違憲とされれば、ソムチャイ氏は首相と議員の両方の職を失うことになる。
 憲法裁判所はサマック前首相についてテレビの料理番組出演が閣僚の兼業を禁じた憲法に違反すると判断。サマック氏は今月9日に失職し、ソムチャイ氏が18日に首相に正式就任したばかり。

◎タイ・サマック前首相、名誉棄損で二審も実刑(2008年9月25日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイのサマック前首相に名誉を傷つけられたとして、元バンコク都副知事が前首相を訴えていた裁判の控訴審判決が25日、バンコクの高等裁判所であった。高裁は、禁固2年の実刑を言い渡した一審判決を支持し、前首相の控訴を棄却した。前首相は20万バーツ(約62万円)を納めて保釈され、最高裁へ上告するかどうか30日以内に判断する。
 判決によると、サマック氏は首相就任前の06年1月にテレビに出演した際、当時の副知事が建設会社からのわいろで高級車を買ったなどと、事実と異なる批判をした。

◎タイ新内閣スタート、首相府占拠のPAD、引く構えなし(2008年9月25日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】タイのソムチャイ新首相の内閣が25日、プミポン国王の前で宣誓し、正式にスタートした。「国民和解」を最大目標に掲げるが、1カ月にわたり首相府占拠を続ける反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は、引く構えを見せていない。与党は幹部の選挙違反で解党の危機にあり、タクシン元首相の影響力低下で亀裂も表面化。新内閣は短命との見方がもっぱらで、政局混迷の出口はなお見えない。
 バンコク中心部にある首相府。PAD幹部は25日も「元首相の取り巻きでつくる新政権は認められない」と繰り返した。8月26日の占拠開始以来、庭の芝生はすべてはがされ、「タイの顔」として賓客を迎えていた面影はない。
 演説や歌謡ショーで24時間使うステージと、参加者を収容するテントは豪雨に耐える頑丈な造りになった。敷地の一部には稲が植えられて田んぼに。「収穫まで居座る」との意思表示だという。
 しかし、占拠者や集会への参加者は減少気味だ。平日は1500人程度で、最盛期の数分の一。サマック政権退陣という当初の目標を達したうえ、挑発的な前首相から物腰の柔らかいソムチャイ首相に代わり、対応の見直しを迫られている。
 世論の支持も高くない。国会議員の一部を任命制にする「新政策」の策定作業を進め、求心力の維持に苦心するが、引くに引けない事情もある。幹部9人に国家反逆容疑の逮捕状が出ており、占拠を解けば逮捕されるからだ。
 一方、本来なら首相府に集まるはずの新閣僚36人は25日午後、郊外のドンムアン空港に集まった。2年前の新空港完成で国内線の一部だけの運用となり、空き室があったことから政府が800万バーツ(約2500万円)をかけて「臨時首相府」に衣替えをした。来週からは、ここで閣議が開かれる。
 今後の政局の節目の一つとなるのが、最大与党・国民の力党(PPP)の解党をめぐる裁判だ。すでに元副党首が選挙違反で有罪となり、憲法裁判所で解党と幹部全員の公民権停止が言い渡される公算が大きい。党員移籍の受け皿として21日に新党プアタイを旗揚げし、党首のスチャート副財務相を今回の組閣で財務相に昇格させた。
 だが亡命で資産が没収される見通しとなった元首相の影響力が低下するなか、党は分裂含みだ。今回の組閣では激しいポスト争いが表面化し、かつての一枚岩の姿はない。解党を防ぐには憲法を改正するしかないが、PADのさらなる抵抗は確実だ。
 状況を打開したいソムチャイ氏は首相に指名された直後に、PADのソンティ代表に直接電話して対話を呼びかけた。こうした姿勢に世論は好意的で首相支持率は7割を超えている。だが、PADがPPPの政権を認めない以上、妥協の余地は限られている。
 バンコクでは11月に国王の姉の葬儀、12月には東アジアサミットなどが予定されており、下院解散による状況打開も難しく、八方ふさがりの状況だ。

◎タイ:新政権発足、タクシン派が主要ポストに(2008年9月24日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのソムチャイ新首相は24日、プミポン国王の認証を得て新政権を発足させた。副首相兼外相にソンポン法相を充てるなど5人の副首相を置き、サマック前政権同様、タクシン元首相に近い人物が主要ポストを占めた。
 安全保障担当の副首相にベテラン政治家のチャワリット元首相、経済担当の副首相に著名な銀行家のオラン氏、財務相にはタクシン元首相の経済顧問的存在だったスチャート氏が就任した。国防相は首相が兼務する。
 反政府団体「民主市民連合」が首相府を占拠する政治混乱の中での新政権発足に、ソムチャイ首相は「多くの国民に受け入れられる人選をした」と説明した。
 しかし、市民連合は「タクシン氏のかいらい政権が続くことに変わりはない」と主張して首相府占拠を続け、政治対立が収まる見通しは立っていない。

◎タイ:首相府を空港に一時移転、占拠解決のめど立たず(2008年9月19日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのソムチャイ新首相は、首相府を現在のバンコク中心部から市内北部にある旧バンコク国際空港(ドンムアン空港)のターミナルビルに一時移転することを決めた。反政府団体の首相府占拠が解決のめどが立たないため。来週にも、前代未聞の「空港首相府」が誕生する。
 現首相府は8月26日から、「民主市民連合」が占拠。ソムチャイ新首相に対しても、「タクシン元首相のかいらい」と批判して座り込みを続けている。敷地内にはステージやテント、仮設トイレなどが常設され、芝生も荒れ放題。占拠が解除されても「補修に1〜2カ月はかかる」(首相府職員)という。
 首相府職員約1000人は、各省庁に分かれて仕事をしているが不便を強いられている。ドンムアン空港は06年9月、スワンナプーム新空港の開港に伴って国際便の大半が移り、現在は国内線の一部が発着するのみ。空き施設が多いため、利用が決まった。
 移転・改修費は800万バーツ(約2460万円)と、首相府の移転費用としては格安。06年9月のクーデターで政権を追われたタクシン元首相は英国で事実上の亡命状態にあるが、政治混乱に直面する新首相に対しても「空港に首相府があれば、いざという時に海外亡命しやすい」と皮肉る声も出ている。

◎タイ国王、ソムチャイ首相を承認(2008年9月18日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイのプミポン国王は18日、最大与党「国民の力党」副党首のソムチャイ首相代行を新首相として承認した。
 ソムチャイ首相は22日までに閣僚名簿を作成し、国王の承認を得て新内閣を発足させる。

◎タイ新首相にソムチャイ氏、タクシン氏義弟で反発必至(2008年9月17日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイ下院は17日、最大与党「国民の力党」副党首のソムチャイ・ウォンサワット首相代行(61)を新首相に指名した。
 ソムチャイ氏は、数日中にプミポン国王の承認を受け、正式に就任し、今月下旬までに連立6党による新内閣を発足させる見通し。
 ただ、ソムチャイ氏は英国に亡命したタクシン元首相の義弟で、タクシン派による政権運営を批判し、首相府占拠などの抗議活動を続ける反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」がこれまで以上に反発を強めるのは必至の情勢だ。今後、ソムチャイ氏が政治混乱の打開に向け、議会解散・総選挙にうって出るとの見方も出ている。

◎タイ:バンコクの非常事態宣言を解除、12日ぶり(2008年9月15日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのソムチャイ首相代行は14日、今月2日からバンコクに発令されていた非常事態宣言の解除を発表した。首相代行は解除の理由について、「暴力的な事態が収まった。宣言継続は経済などに悪影響を及ぼす」と述べた。
 サマック前首相は2日、デモ隊同士の衝突で死者が出たのを受けて非常事態宣言を発表。軍を動員して、反政府団体「民主市民連合」が首相府を占拠する事態を打開しようとしたが、軍が中立姿勢を保ったため、宣言は実効性を持たないまま終わった。
 経済団体などからは「投資や観光にマイナスの影響が大きい」として早期解除を求める声が高まっていた。
 最大与党「国民の力党」は、9日に失職したサマック氏に代わる新首相を自党から擁立する方針だが、市民連合は「国民の力党出身の首相は受け入れない」として首相府占拠を続ける構えで、政治混乱が収拾に向かう見通しは立っていない。

◎タイ:首相候補に代行のソムチャイ氏、国民の力党(2008年9月15日、毎日新聞)
 タイ下院第一党の国民の力党は十五日、サマック前首相の失職で空席となっている首相候補に、首相代行のソムチャイ副首相兼教育相を擁立することを決めた。

◎タイ非常事態宣言解除、首相府の不法占拠は継続(2008年9月15日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイのソムチャイ首相代行は14日、首都バンコクに発令されていた非常事態宣言を12日ぶりに解除した。
 しかし、反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」は首相府の不法占拠を継続し、失職したサマック前首相の後任選びににらみを利かせるなど、政治的緊張は続いている。
 ソムチャイ氏は、アヌポン陸軍司令官らと記者会見し、「深刻な状況は脱した。これ以上宣言を維持すれば、国益を損なう」と説明した。
 非常事態宣言は、PADと政府支持者の2日の衝突で40人以上が死傷した事態を受け、サマック前首相が同日、発令した。だが、軍は介入せず、PADも首相府から撤収しなかったため有名無実化していた。また、宣言発令後、海外からの観光客が激減するなど経済への影響が深刻化し、財界から解除を求める声が強まっていた。
 一方、PADは14日、記者会見し、「我々は、解除後も抗議活動を続ける」と主張した。

◎タイ首相、料理番組出演で有罪判決、失職・内閣総辞職へ(2008年9月9日、産経新聞)
 【イスラマバード=菅沢崇】タイ憲法裁判所は9日、サマック首相(73)が料理番組に出演し、報酬を得ていたことは首相の副業を禁じた憲法規定に違反するとして有罪判決を言い渡した。違憲判決によってサマック首相は同日、閣僚資格を失い失職、内閣も総辞職に追い込まれた。しかしサマック氏の議員資格は有効なため、最大与党、国民の力党からは、同氏を再び首相に推す声が上がっている。これに対し、首相府の占拠を続けている反政府市民団体などは猛反発しており、政情の一層の混乱は不可避の情勢だ。
 選挙管理委員会と上院議員らが7月、サマック氏に対し、首相就任後もテレビで料理番組に出演し、報酬を得ているとして提訴していた。同氏は首相就任前から、料理番組に出演していたことから、8日に同裁判所で行った答弁では「交通費や食材購入の名目で現金は受け取ったが、出演料ではなく番組制作会社との雇用関係はない」として容疑を否認していた。
 憲法の規定によれば、内閣は総辞職したが、次期首相が選出されるまで、閣僚は暫定的に業務を続行する。首相選出については、下院議会が30日以内に各候補者から投票で選出する。
 首相のテレビ出演が内閣総辞職という異例の事態に発展し、「国民の力党」を中心とする与党6党は10日に緊急協議を行い、新首相候補の選出などについて検討する。8日には同党のクテープ報道官が「サマック氏が失職した場合、同党は再度、同氏を首相に指名する」と述べている。
 ただ、違憲判決が連立与党に与える衝撃は大きく、今後各政党の協力関係が崩れる可能性も少なくない。
 今月2日からバンコクでは、反政府市民団体「民主主義のための市民同盟」(PAD)の抗議活動が原因で非常事態が宣言され、アヌポン陸軍司令官の指揮下で治安回復が図られているが、観測筋は「すでにサマック氏に対し、軍関係者は見切りをつけている。連立の他政党がこの判決を機に新体制を検討する可能性も十分にある」と指摘している。

・サマック首相をめぐる動き
2007年
 8月 タクシン元首相の支持政党「国民の力党」の党首に就任
12月 総選挙で国民の力党が第1党に
2008年
 1月 首相就任
 5月 改憲に向けた国民投票実施の意向表明。市民団体「民主主義のための市民同盟(PAD)」が改憲の動きに反発、反政府集会を始める
 6月 PADが内閣総辞職求め首相府前で座り込み。下院が首相不信任案を否決
 8月 内閣改造。PADがテレビ局を一時占拠し首相府内で座り込み開始。首相は辞任拒否
 9月 バンコクに非常事態宣言。憲法裁、首相のテレビ出演は違憲との判決

◎タイ首相が失職、副業で報酬、憲法裁が違憲と判断(2008年9月9日、朝日新聞)
 【バンコク=山本大輔】タイの憲法裁判所は9日、サマック首相が就任後も料理番組に出演して報酬を受け取っていたことが、閣僚の副業を禁ずる憲法に違反すると判断した。これを受け、サマック首相は同日、就任から7カ月で失職した。ほかの閣僚については、次の内閣の発足まで暫定的に職にとどまることが許された。
 下院が12日に新たな首相を指名する。ただ、今回の判決でもサマック氏の議員資格は残り、同氏が党首を務める最大与党「国民の力党」は同氏を改めて首相に指名する方針を決め、連立を組む5党にも協力を求める意向だ。
 一方、サマック首相の退陣を求め、首相府の占拠などを続けている反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は「サマック首相の再任なら受け入れられない」として、抗議行動を継続する方針を表明した。今回の首相失職で、政治混乱が解決に向かう見通しはまだ立っていない。
 判決によると、サマック氏は00年から自らが調理してタイ料理を紹介するテレビ番組を二つ持ち、今年2月の首相就任後も何度か出演。出演料や交通費、料理の材料費などを受け取った。憲法裁はこれが、憲法の禁じる閣僚の副業にあたると認定した。判事9人全員の意見が一致した。

◎タイ首相、続投を改めて強調(2008年9月7日、日本経済新聞)
 【バンコク=遠西俊洋】タイのサマック首相は7日、テレビ番組に出演し、反政府派による首相府占拠など政治混乱が続いていることについて「私は状況を解できる」と語り、事態収拾と政権継続に改めて強い意欲を示した。軍は中立的立場を崩しておらず、政府への支持・不支持を問う国民投票の実現も不透明だが、具体的な解決策には言及しなかった。
 首相は番組の中で、タクシン元首相が2006年9月、国連総会に出席するため外遊中に軍のクーデターで座を追われたことを引き合いに「私は(9月下旬に開く)国連総会で演説する」とも述べ、当時の状況との違いも強調した。
 事態が改善しない場合、軍によるクーデターが再び起きかねないとの懸念もあるが「軍は、クーデターを起こさないことが国を守る最善策だと信じている」と軍による政権転覆の可能性に否定的な見方を示した。

◎がけっぷちのタイ首相、生き残りかけ国民投票実施決める(2008年9月5日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイ政府は4日、緊急閣議を開き、サマック首相退陣を求める反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」による首相府占拠などの政治危機を打開するため、首相の信任を問う国民投票の実施を決めた。
 非常事態宣言下で軍が静観する中、辞任か議会解散かを迫られた首相が窮余の生き残り策で勝負に出た格好だが、実施には曲折が予想される。
 首相府報道官によると、8日から上院で国民投票の実施に関する法律の審議を始め、90日以内に制定。その後30日以内に投票を行うという。首相は、ラジオ演説で「投票実施までPADは首相府内を占拠してもかまわない」とした上で、「PADと政府のどちらが正しいかを国民に判断してもらう。結果には従う」と述べた。
 一方、PAD指導者の一人、ソムサック・コーサイスック氏は「首相の延命工作でしかなく、税金の無駄」と指摘した。
 首相は4日朝の演説で、「PADに屈する形で辞任や議会解散はしない」と、これまでの姿勢を堅持する方針を表明。与党・国民の力党幹部の一人は「タクシン政権時代は議会解散がクーデターを招いた。首相は二の舞いを避けたいはず」と語った。
 首相が国民投票実施を打ち出した背景には、昨年12月の下院選で連立6与党の得票率が6割を超えたことを踏まえ、過半数の支持を得られるとの自信がある。

◎タイ:政情不安、タクシン派VS反タクシン派、あくなき権力闘争(2008年9月4日、毎日新聞)
 タイの反タクシン派市民団体「民主市民連合」による首相府占拠は、流血の事態を招き、サマック政権との対立は泥沼化の様相を見せている。2年前に反タクシン政権運動を繰り広げた市民連合は今回、タクシン派の流れをくむサマック政権の崩壊をもくろみ、戦術をエスカレートさせた。タクシン派と反タクシン派の権力闘争は先鋭化し、社会混乱をはらんだ危険な局面を迎えている。【バンコク藤田悟】

◇冷めた国民、軍部も静観
 市民連合は06年9月のクーデターでタクシン政権が崩壊した後、いったん活動を停止していた。しかし、昨年12月の総選挙でタクシン派の「国民の力党」が勝利し、同党主体のサマック連立政権が発足したのを受けて活動を再開。今年5月から政権退陣を求めるデモや集会を開き、8月26日からは首相府占拠という過激な戦術に出た。
 市民連合を率いるソンティ氏は、ケーブルテレビ局や新聞を運営するメディアグループ経営者。かつてタクシン氏の協力も受けて国内のメディア支配を目指したが、経営につまずき、タクシン氏からの資金協力を絶たれたため、タクシン政権批判に回った。
 市民連合には、こうしたタクシン氏の政敵のほか、タクシン政権の腐敗や強権体質を批判した市民団体や、反政府色の強い労働団体が加わっている。市民連合の活動資金は、タクシン政権下で利権を奪われた旧支配層の企業家らが提供しているといわれる。
 市民連合の特徴は保守的な勤王派であることだ。自らも新興財閥のオーナーであるタクシン元首相は、旧貴族層による経済支配に挑戦し、利権構造を変化させた。市場主義を最大原則とする政治・経済改革を進め、王室を頂点とする伝統的社会構造に変革をもたらそうとした。
 市民連合による政権攻撃は、タイの伝統的構造を破壊しようとしたタクシン派に対する復讐(ふくしゅう)でもある。タイ政治に詳しいティティナン・チュラロンコン大准教授は一連の政治混乱を「旧エリート層と新エリート層の対決だ」と指摘する。
 06年のタクシン政権追放運動では、政権の腐敗体質を批判する数万人の学生や都市中間層がデモや集会に参加した。しかし今回、「国会議員の7割を任命制とすべきだ」という市民連合の保守的主張は共感を広げず、一般市民が同調する動きは極めて限定的だ。政争の長期化に国民の多くは倦怠(けんたい)感を抱いている。
 政界筋によると、2日未明に生じた市民連合と政権支持派のデモ隊による衝突は、与党内の強硬派が計画したという。衝突を機に非常事態を宣言し、軍を動員して一気に首相府占拠を強制排除するとのシナリオだ。
 サマック首相もこのシナリオに乗って非常事態を宣言し、アヌポン陸軍司令官を治安責任者に任命。しかし、06年9月のクーデターで国際社会の不評を買った軍は、矢面に立つことを嫌い、司令官は「軍は国民とともにある」と中立姿勢を保っている。首相は軍を動かすこともできず、収拾の見通しは立たない。
 3日にはテート外相が首相に辞表を提出。「家族の病気」を理由にしているが、首相の非常事態宣言に反発したとみられ、政権には大きな打撃となる。
 テート氏は7月の外相就任前は国王秘書顧問を務め、王室に近い人物で、辞表提出は王室周辺が非常事態宣言に不快感を示したとも受け止められている。
 ティティナン准教授は「当面の収拾策は、(サマック首相が)下院を解散して総選挙に臨み、民意を改めて問うしかないのではないか」と話す。

◆タイ首相府占拠後の動き◆
8月26日 市民連合、首相府の敷地になだれ込み占拠を開始
  27日 警察が市民連合指導者9人に逮捕状
  28日 国鉄労働組合が市民連合に同調しスト
  29日 市民連合、プーケットなど南部3空港を占拠し航空機の発着が不可能に
  30日 サマック首相、市民連合の辞任要求を改めて拒否
  31日 プーケット空港などの占拠を解除
9月 2日 市民連合と与党支持者が首相府付近で衝突し1人死亡。首相は非常事態を宣言し、アヌポン陸軍司令官を治安担当責任者に任命
   同  選管、首相率いる最大与党「国民の力党」が選挙違反に党ぐるみでかかわったと認定し、同党の解党処分を申し立てることを決定

◎軍は中立強調、でも先行き見えず、タイ非常事態宣言(2008年9月3日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】タイのサマック首相による非常事態宣言を受けて、アヌポン陸軍司令官は2日午後、記者会見し、首相府に立てこもる反政府団体・民主主義市民連合(PAD)を強制排除する考えがないことを明らかにした。同時に政府を転覆するクーデターの可能性も否定。事態収拾のげたを預けられた軍が中立を宣言した形だが、混乱が収まる道筋は一層、見えにくくなった。
 PADが実力行使を始めた8月26日以来、政府とPADは軍をめぐって綱引きを続けてきた。
 PADは放送局を占拠したほか、省庁への侵入やバンコクと地方を結ぶ主要道を封鎖、南部の空港に押しかけて閉鎖に追い込み、列車を運休させた。「民間版クーデター」(外交筋)ともいえる蜂起だったが、軍の決起だけが足りなかった。
 PAD代表の一人で軍出身のチャムロン元バンコク都知事らは、軍内部の「不満分子」を糾合しようとしたが、国防相を兼務するサマック首相がこれを事前に察知して、軍最高司令官室に駆け込んで反乱回避を要請して防いだという。
 首相は27日、いったん首相府占拠に対して法的措置をとる構えを見せながら28日に一転、強制排除はしない方針に転じた。関係者によると、首相が非常事態の宣言を提案したところ、アヌポン司令官が拒否。辞任か解散かを進言されて強硬策を思いとどまったようだ。今回は反政府派と政府支持派の流血衝突が宣言につながったが、軍側が持ちかけた形跡はない。
 首相は「PADは流血を招いてクーデターを呼びこもうとしている」と批判してきた。だがPADは2日未明の衝突について「与党議員が支持派をあおった」と指摘。非常事態宣言を引き出すために仕掛けたと主張する。
 PADはタクシン元首相追放をめざして06年に結成。同年9月のクーデターでその目的を達した。だが、07年末の総選挙で「元首相の代理人」を自任するサマック氏率いる「国民の力党」が大勝し政権を奪還した。PADとすれば、支持する野党・民主党が選挙で勝てない以上、06年のように街頭活動で軍が出動する状況をつくり出すしか道はない。
 しかし今回、軍を取り巻く状況は変化している。タクシン時代に軍は冷遇され、予算も削られたが、クーデター後は大幅に増額された。失った権益や天下り先も取り戻した。一方でクーデターとその後の政権運営の評判は内外で散々で、政治介入には「懲りた」状態だった。
 アヌポン司令官はタクシン氏と予備士官学校時代の同期生でサマック首相との関係も悪くない。今回、事態収拾への指揮権を委任され、国の命運を握る地位が転がり込んだ。だが、元首相派対反対派の社会対立が続くなか、解決の選択肢は限られる。
 話し合いで済むなら、そもそも非常事態宣言の必要はない。辞任も下院の解散も首相は拒んできた。解散、あるいは大連立ではPADは納得しない。時間がたつうちにストライキの拡大などで混乱が深まれば、結局、軍が首相の首をすげ替えざるを得なくなるシナリオも浮上する。

◎非常事態宣言のバンコク、陸軍司令官は「国民の側に立つ」(2008年9月3日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイの首都バンコクで反政府勢力と政府支持団体が衝突したのを受け、首都に非常事態宣言を発令したサマック首相は2日、非常事態委員会を設置し、アヌポン陸軍司令官を委員長に任命した。
 同司令官は記者会見で、首相退陣を求めて首相府を占拠する反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」の抗議活動について、首相とPADの話し合いでの解決を促し、慎重姿勢を示したが、緊張は続いている。
 アヌポン司令官は、「軍は衝突収拾に努めるのみ。軍は国民の側に立ち、兵士は武装せず、問題に対処する」と語った。また、「政治の対立は交渉で平和的に解消されるべき」と繰り返した。

◎タイ:混乱収束せず、サマック政権最大の危機(2008年9月2日、産経新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのサマック政権に退陣を迫る市民団体「民主市民連合」による首相府占拠は、政権支持者との衝突で流血の事態に発展した。サマック首相は非常事態宣言を通じ、8日間に及ぶ占拠の解除を要求したが、市民連合は徹底抗戦の構えを崩していない。混乱の中、選管が首相率いる最大与党の解党処分を求めて動き出すなど、サマック政権は最大の危機を迎えている。
 1日夜、首相府から約1キロ離れた旧国会議事堂前に集合していた政権支持者数千人が、「首相府を解放する」と行進を開始。2日午前1時ごろ、首相府近くで市民連合のデモ隊と衝突し、こん棒で殴り合ったり投石するなど騒乱状態となった。市民連合側の男性1人が頭部を強打されて死亡。双方で計44人が負傷した。警察によると、うち3人が銃弾を浴びていた。
 警官隊と軍部隊が動員され、衝突はいったん収まった。しかし、市民連合側は首相府占拠を続け、緊張状態が続いている。
 首相は非常事態宣言に伴い、アヌポン陸軍司令官を治安担当責任者に任命した。司令官は衝突の再発防止に全力を尽くすと表明。ただ、デモ隊の強制排除は「事態をさらに悪化させる」と指摘。「法と議会の制度に基づき解決されるべきだ」と述べ、当面は実力行使しない方針を示した。
 市民連合は「非常事態宣言を恐れる必要はない」と首相府の占拠継続を宣言。電気、水道、バスなど公営関連企業の労組に対し、3日から一斉ストに入るよう呼びかけた。首相府に近い学校は2日から休校となった。
 また、南部プーケットでは市民連合のデモ隊が県庁舎を占拠。ハジャイ空港にもデモ隊が押しかけ、2日から再び閉鎖された。
 野党・民主党は衝突について「非常事態宣言を出すために政権側が引き起こした」と政府を非難している。
 一方、選管が2日、最大与党「国民の力党」の解党処分に向け司法手続きに入ることを決定したことで、サマック政権の崩壊につながる可能性が強まった。政権は反政府的な街頭行動と司法手続きの両面で強い圧力にさらされ、不安定な状況に陥っている。

・バンコク日本人学校が休校
 非常事態宣言を受けて、バンコク日本人学校(小中学校児童・生徒2522人)は2日午後から3日まで休校になった。それ以降は状況に応じて判断するという。また、首相府に近い現地校も2日から休校になった。
 【ことば】民主市民連合 06年にタクシン元首相の追放運動を主導した団体。メディアグループ経営者や市民運動家らが率いる「市民団体」の体裁を取るが、タクシン政権時代に利権を失った企業家ら旧来の支配層から資金提供を受けているとされる。サマック政権を「タクシン元首相のかいらい」と批判し、退陣を要求している。

◎混乱のタイ「非常事態宣言」(2008年9月2日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】タイの首相府近くで2日午前1時(日本時間同3時)ごろ、タイの反政府市民団体「民主主義のための市民同盟」(PAD)と親政府組織「反独裁民主連盟」双方のメンバーが衝突し、PAD側の少なくとも1人が死亡、約40人が負傷した。流血事件を受けて、サマック首相は非常事態宣言を発令し、事態収拾に当たっている。首相府周辺の治安は一応の回復をみせているものの、国鉄が全面ストップするなど混乱は収まっていない。
 反独裁民主連盟の支持者は1日夜、主にバンコクの王宮前広場に集結していたが、首相府の敷地内で抗議を続けるPADの集会に向けて移動を始め、警察当局の制止を押し切り、敷地内で双方のメンバーが乱闘になった。ゴルフクラブや棍棒(こんぼう)、刃物を使用しての激しい乱闘のほか、発砲もあった。死亡したPAD支持者も銃で胸を撃たれたとみられる。
 乱闘の制圧は盾だけを所持した警官隊が行ったが、アヌポン陸軍司令官は兵士200人を動員し、警戒に当たっている。首相府敷地内や付近のスイ・アユタヤ通りなどには依然としてPADメンバーが座り込みを続け、敷地外には「反独裁民主連盟」の支持者らが集結している。
 PADは8月26日、反政府デモを開始し、バンコクの国営テレビ「NBT」を占拠したほか、警察本部前や首相府前でデモを展開。その後は首相府前に特設ステージを設置し、幹部らが抗議の演説を繰り返しながら、南部の空港へ乱入するなどした。国鉄では便乗デモに加わる職員も出て、一部路線が運休。
 政府側はサマック首相が「デモに屈する形で辞任はしない」と再三にわたって言明。警官隊を動員し、解散の説得を続けたが一向に沈静化せず、8月31日に実施された上下両院による特別会議でも連立6党の与党と民主党の野党が非難合戦を展開するだけで、解決のめどは立たないままだった。
 首相はこれまで、デモの拡大と深刻化を懸念し、非常事態宣言も軍の動員も行わないと語っていた。しかし、2日未明には乱闘の結果、死者が出たうえ、3日には国営企業の水道、電気会社がそれぞれ、バンコクでの供給を止める計画を打ち出すことにしているなど、これ以上の混乱の拡大を抑制するため、宣言に踏み切ったとみられる。

◎バンコクに非常事態宣言、市民衝突で1人死亡(2008年9月2日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイのサマック首相は2日午前7時(日本時間同9時)、首都バンコクに非常事態宣言を発令した。
 首相の退陣などを求めて抗議活動を続ける反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」と政府支持団体が首相府付近で衝突し、1人が死亡、45人が負傷したことを受けたもの。先月26日から続くPADの首相府占拠などの抗議活動拡大を抑えられず、市民同士の衝突という最悪の事態を招いた首相の責任問題が浮上するのは必至だ。
 首相は、事態収拾の責任者に軍トップのアヌポン陸軍司令官を任命。声明の形で発表された非常事態宣言は、軍と警察が現場の混乱収拾にあたり、バンコクで5人以上の集会を禁止するとした。アヌポン司令官は、兵士約400人を現場に投入し、現在、事態は沈静化している。ただ、PAD指導者の一人、チャムロン元バンコク都知事は首相府内で、抗議活動の継続を表明しており、軍が今後、強制排除に動く可能性もあり、予断を許さぬ状況だ。
 サマック首相は記者会見で、「残念なことだが、国のために決断した。PADには即時撤収を求める」と述べた。
 衝突は、2日午前1時(同3時ごろ)、首相府そばの橋付近で発生。棒やナイフを持った政府支持グループが、PADのデモ参加者を襲い、PAD側が応酬。政府支持側の男性(53)が死亡した。
 在タイ日本大使館は、在留邦人に対し、衝突が起きた首相府付近に行かないよう注意喚起した。

◎バンコクに非常事態宣言、首相府近くで衝突、1人死亡(2008年9月2日、朝日新聞)
 タイのサマック首相は2日朝、国営放送を通じて、首都バンコクに非常事態を宣言した。タイでは反政府行動が過激化し、同日未明には反政府市民グループが占拠を続けるバンコクの首相府近くで、同グループと政府支持派が衝突し、少なくとも1人が死亡した。

◎首都警察本部長を更迭、タイ首相府占拠1週間に(2008年9月1日、産経新聞)
 タイのパチャラワット警察長官は8月31日、反タクシン元首相派の市民団体「民主市民連合」がバンコクの首相府を占拠した事件の対応に当たってきたアスウィン首都警察本部長の更迭を決めた。占拠事件への対応のまずさで責任を問われたとみられる。
 市民連合側の占拠開始から1日で1週間が経過したが、依然1万人以上の支持者が首相府に座り込んでいる。
 事態打開のための上下両院緊急合同会議は1日未明、決議などを採択できないまま終了した。最大野党、民主党のアピシット党首は妥協策として下院解散を求めたが、サマック首相は「市民連合への屈服を意味する」として、拒否した。(共同)

◎タイ:首相府占拠、首相、辞任要求改めて拒否、デモ激化、与党に勇退促す動き(2008年8月31日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのサマック首相は30日行われた式典のあいさつで「脅しによって私をやめさせることはできない」と述べ、首相府占拠を続ける市民団体「民主市民連合」の退陣要求を改めて拒否した。首相はプミポン国王の助言を得たうえで事態打開策を決定するとみられるが、市民連合の抵抗姿勢は強く、困難な選択を迫られている。
 首相は「私には国家を平和的に前進させる責任がある」と述べ、辞任の可能性を否定した。これに対し、市民連合は「我々は抗議行動を続けるだけだ」と宣言した。
 市民連合は要求を「政権退陣」の一点に絞り、一切の交渉に応じない姿勢だ。このため首相の選択肢としては(1)デモ隊の強制排除(2)首相辞任(3)下院解散・総選挙−−のいずれかが想定される。
 デモ参加者は4万人規模に増え、強制排除という手段を取れば流血は不可避となる。また、軍が介入に難色を示しているといわれ、場慣れしていない警察を強制排除に使えば混乱を広げる恐れがある。一方、首相が党首を務める最大与党「国民の力党」の中では、党を傷つけないために首相に勇退を促そうとの動きも出始めている。地元紙の多くは事態を収拾できない首相に対して辞任を求める論調を強め、首相に対する圧力は増している。

◎タイの抗議活動3万人に拡大、軍も首相に辞任勧告か(2008年8月31日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイのサマック首相の退陣を求める反政府勢力「市民民主化同盟(PAD)」によるバンコクの首相府などでの抗議活動は30日、5日目に入り、政府筋によると、全土で3万人規模に膨れあがった。
 南部プーケットなど2空港では、デモによる封鎖で110便以上が欠航し、影響が深刻化。事態打開に苦慮する首相に対して政権内部からも辞任を求める声が浮上し、首相は窮地に追い込まれている。
 PADは、タクシン元首相派のサマック内閣を打倒し、政治の舞台から“タクシン色”を根絶するのが目標。一方、サマック首相は30日、南部ホアヒンの離宮でプミポン国王に情勢を報告したが、その後、バンコクでの記者会見をキャンセルし、姿をくらませた。軍関係者の間で「辞任を促された」とのうわさが広まる一方、「国王に激励された」との情報もある。
 首相はこれまで、PADの座り込みに対し、「強制排除はしない」と自主的退去を求めてきた。だが、29日夜、アヌポン陸軍司令官らとの会談後、「楽観的なムードが一変した」(陸軍筋)。首相側近は「協力関係にある軍側から辞任を打診されたようだ」とみる。
 アヌポン司令官は、2006年の軍事クーデターにタイする国内外の批判を考慮し、軍の出動の可能性を繰り返し否定している。首相は、軍が出動可能な非常事態宣言の発令というカードを切りづらく、また、警察による対処も進まない中、辞任の提案に衝撃を受けた模様だ。
 一方、連立与党6党は30日夜の会合で、31日開催の上下院臨時合同会議で首相を支持し、PADへの対応を協議することを確認。だが、与党内に首相辞任を示唆する発言もあり、会議が紛糾する可能性もある。

◎タイ首相、国王と面会後姿くらます、連立与党、続投確認(2008年8月31日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】タイの反政府団体・民主主義市民連合(PAD)が首相府や南部の空港の占拠を続けるなか、サマック首相は30日、「辞任はしない。圧力には屈しない」と話し、連立与党も続投を確認した。首相は情勢を説明するためプミポン国王と面会した。過去、政治的難局で国王が決定的な役割を果たしており、発言が注目されたが、その後首相は姿を現さず、面会の中身は不明だ。
 関係者によると、首相は29日深夜、中部ホアヒンに滞在中のプミポン国王を訪ね、未明まで粘ったが、面会できず、30日午後、再度面会を申し入れ、受け入れられた。
 同日夜、連立与党幹部が29日に続いてバンコクに集まった。国王と面会後にサマック首相も合流する予定で設定されたが、首相は結局、姿を見せなかった。
 協議後に記者会見したスラポン国民の力党幹事長は「政権は継続する。首相は辞めない。非常事態宣言や下院の解散で状況が打開できると思わない。31日に上下両院の特別会議を開き、解決策を話し合う」と説明した。
 連立与党が新しい策を打ち出さなかったのは、協議の場に首相が現れず、国王の意向がつかめなかったためとみられる。与党内部には首相に辞任を求めるべきだとの声も強い。選挙準備や資金の手当てが出来ず、下院の解散には消極的な党が多い模様だ。31日の特別会議での首相の発言に関心が集まりそうだ。
 一方、PADは30日も終日、南部のプーケット、クラビ両空港の占拠を続けたほか、新たにスラタニ空港に支持者を送り、閉鎖に追い込んだ。プーケットだけで約110便がキャンセルとなり、日本人を含む約1万5千人が足止めを食った。31日も再開のめどは立たず、ツアーの多くも中止となった。
 国鉄職員の事実上のストで列車も多数が運休。交通網は大きな影響を受けている。
 首相府でPADのメンバーはこれまで庭に座り込んでいたが、30日、玄関を破って一部の建物に侵入。幹部の部屋などとして使用している。大型のステージ、診療テントやシャワーも設営。参加者には食事や飲料水のほか、下着なども配布している。
 一方、政権支持派もバンコクの王宮前広場に集結し、数千人が気勢を上げている。

◎タイの反政府デモ拡大、首都では1万人以上が「国を救え」(2008年8月29日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイのサマック首相の退陣などを求め、バンコクの首相府で座り込みを続ける反政府勢力「市民グループ連合(PAD)」の抗議活動は29日、国営鉄道のストライキや地方空港の一部占拠など全土に拡大した。
 首相は「強制排除はしない」と自主退去を求める姿勢を崩していないが、PADは今週末にさらに動員する構えで、混乱が拡大する可能性がある。
 PADは、首相府出入り口7か所をブロックなどで封鎖。中央の芝生はテントとブルーシートで埋め尽くされ、生ゴミが異臭を放つ中、29日も1万人以上が「国を救え」と叫び続けた。
 南部チュンポン県から来た農業の男性(31)は「汚職まみれのタクシン(元首相)を支えるサマック内閣は消えるべき」と声を荒らげた。首相府では同日、警官隊と座り込み参加者との間で小競り合いがあり、10数人が逮捕された。
 民事裁判所は、27日にPADに即時撤収を命じる仮処分を出したが、PADは拒否。指導者の1人、ソンティ・リムトンクン氏は29日、本紙に対し「土曜、日曜の我々を見てほしい」などと語り、政府側を挑発する姿勢を示している。
 首相は、国軍最高司令部を“臨時首相府”として警察などと断続的に協議。警察はすでにPAD指導者ら9人の逮捕状を取っているが、「さらなる混乱を招く」(政府筋)と執行を保留している。
 一方、抗議活動はバンコク以外にも拡大。南部のプーケット、ハジャイなど3空港では、それぞれ数千人のデモ隊が施設内に侵入し、空港閉鎖を要求。一部が滑走路を横断するなどしたため、空港関係者が一時的に空港の使用停止を決めた。
 国鉄労働組合も28日夜から、PADの活動に同調してストライキを敢行。バンコクと北部を結ぶ鉄道などが運休している。

◎タイの反タクシン派、指導者らに逮捕状(2008年8月27日、日本経済新聞)
 【バンコク支局】タイの民主化が再び正念場を迎えている。タイ警察は27日、サマック首相辞任を求めて首相府で座り込みを続けている反タクシン元首相派の指導者ら9人の逮捕状を取得した。指導者らは逮捕に抵抗しない意向だが、反タクシン派の反発は強まりかねない。2006年の軍事クーデター後に選挙で選ばれた現政権をデモで倒そうとする動きには批判の声も高まっており、両者の対立と混乱が長引けば再び国際社会の信頼を失う可能性が大きい。
 逮捕状が出たのは反タクシン派の市民団体「民主市民連合(PAD)」の幹部でチャムロン元バンコク知事ら9人。チャムロン氏は一緒に首相府内にとどまる数千人から2万人ともされる支持者らに「逮捕すればいい。抗議活動は続ける」と強調。周辺を約2000人の警官隊が取り囲み、政府側とにらみ合いを続けている。

◎タイ警察が首相府を包囲、強制排除も視野(2008年8月27日、日本経済新聞)
 【バンコク支局】タイの反タクシン元首相派の市民団体「民主市民連合(PAD)」がバンコク中心部の首相府を占拠している問題で、タイ警察は27日、周辺に警官隊約2000人を配備した。警官と市民団体の間で本格的な衝突は起きていないが、政府側は強制排除も視野に事態収拾にあたっている。
 PADは26日午前、サマック政権打倒を掲げ、政府系テレビ局「チャンネル11」を占拠。同日午後から首相府敷地に乱入し、約8000人がとどまっている。

◎タイ、首相府で座り込み 反政府デモ、1万人以上(2008年8月26日、日本経済新聞)
 【ハノイ=長谷川岳志】反タクシン元首相派の市民団体「民主市民連合(PAD)」が26日、サマック政権打倒を狙い過激な抗議行動に出ている。1万人以上が首相府敷地内に突入し座り込みを始めた。サマック首相は首相府に入れない状況で、閣議も開けず政策の執行に支障を来す恐れも出ている。警官との衝突は起きていないもようだが、首相は「法に基づいた措置を取る。政府の忍耐は限界に近づいている」と警告した。
 政府は首相府に侵入したデモ隊に対して同日午後6時(日本時間同午後8時)までに退去するよう通告し、それ以降は強制排除の可能性も示した。ただ、時間を過ぎてもデモ隊が退去する兆しはない。政府側も強硬手段は控える姿勢をみせており、膠着(こうちゃく)状態が続いている。
 PADメンバーは現政権をタクシン元首相寄りであると批判し、サマック首相の辞任を求めて抗議活動を活発化。同メンバー百数十人が占拠した首都バンコクの政府系テレビ局「チャンネル11」は一時、放送が中断した。メンバーは同局からは自主的に退去し、首相府の抗議活動に合流したもよう。

◎タイの反政府団体、首相府内に突入、サマック首相の辞任要求(2008年8月26日、日本経済新聞)
 【ハノイ=長谷川岳志】反タクシン元首相派の市民団体「民主市民連合(PAD)」が26日、サマック政権打倒を狙い政府系テレビ局を占拠したのに続き、1万人規模のメンバーが首相府敷地内に突入した。サマック首相は混乱に乗じたクーデターの観測について否定し「法に基づいた措置を取る。政府の忍耐は限界に近づいている」と警告。混乱収拾に向けた対策に乗り出す考えを示した。
 PADメンバーはサマック首相の辞任を求めて抗議活動を活発化。同メンバー百数十人が占拠した首都バンコクの政府系テレビ局「チャンネル11」は一時、放送が中断した。午後には首相府周辺で1万人規模のデモを展開していたPADメンバーの一部が首相府敷地内に進入、現在も座り込みを続けている。
 現時点ではデモ隊と警察との間で衝突は起きていないものの、過激な行動に出た一部のPADメンバーが拘束されたとの情報がある。サマック首相はコウィット副首相兼内相に早期に混乱を収拾するよう指示した。さらに首相はPAD幹部5人に対して法的措置を取ることを明らかにした。

◎タイで反政府勢力がTV局占拠(2008年8月26日、日本経済新聞)
 ロイター通信によると、タイの反政府市民団体が26日、首都バンコクにある政府系テレビ局を一時占拠し、放送が中断した。ただ、間もなくかかわっていた80人が治安当局に拘束された。けが人などは出なかった。
 市民団体は銃やナイフなどで武装してテレビ局に侵入した。サマック政権への抗議行動の一環で、ほかに数千人が政府のビルなどを取り囲んで職員が出勤するのを阻止する行動もとった。

◎実刑不可避と判断か、タクシン氏「亡命」、保釈金は没収(2008年8月12日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】汚職防止法違反罪の公判中に最高裁の許可を得て出国していたタイのタクシン元首相は11日、英国から「裁判所には法の正義が期待できない」との声明を出し、帰国しない意向を明らかにした。事実上の亡命とみられる。最高裁は同日が出頭期限だったことから、拘引状を出すとともに、元首相夫妻が支払った計1300万バーツ(約4300万円)の保釈金を没収した。
 元首相は最高裁から出国許可を得て訪日、続いて五輪開会式出席のため、同じく保釈中のポチャマン夫人と北京に滞在していた。だがタイには帰国せず、3人の子供とともに英国に向かった。
 元首相は11日、「司法は政敵に支配され、暗殺の危機もある。民主主義を尊重する英国にとどまる」との手書きの声明をタイの国営テレビにファクスした。
 ポチャマン夫人は株取引にからむ脱税の罪で先月末、バンコクの刑事裁判所から禁固3年の判決を受けた後、保釈されていた。3件の刑事裁判を抱える元首相にとっても予想以上の厳しい判決だったとみられ、来日の際、朝日新聞記者らに、自身の裁判の行方も楽観できないことを認めていた。他に捜査中の案件もあり、亡命は、実刑判決を逃れることが困難と判断した結果とみられる。
 タイの憲政史上最大の政治勢力を率いた元首相が事実上亡命したことで、06年以来続く政局混乱に終止符が打たれるとの期待が経済界などに広がり、11日、株価は急騰している。
 しかし01年の総選挙で大勝して以来、政界最大のキーマンだった元首相の退場で政局の行方は混沌(こんとん)としそうだ。最大与党・国民の力党(PPP)の事実上のオーナーである元首相の不在は、政界再編のひきがねとなる可能性が高い。ティティナン・チュラロンコン大学准教授は「元首相の求心力は低下し、党は早晩分裂するだろう」と分析する。
 元首相の出身地の北部や最大の人口を抱える東北部で農民や貧困層を中心に今も絶大な人気を誇る元首相の支持者らが不満を強め、反タクシン運動を先導した団体や都市部の中間層との社会的な対立は解消されない恐れも強い。
 06年1月、元首相一族の株取引疑惑をきっかけに反タクシン運動が広がり、外遊中の元首相は9月のクーデターで追放された。タイでは32年の立憲革命以来、十数回のクーデターが企てられたが、追放された権力者でその後も徹底抗戦したのはタクシン氏だけ。07年12月の総選挙ではPPPが圧勝、元首相も今年2月に帰国し、復権も現実味を帯びるかにみられた。
 しかし軍主導の前政権から指名された判事が主流を占める裁判所が、元首相と現政権に厳しい判断を示す傾向が続き、元首相の思惑通りにことは進まなかった。

◎タクシン元首相夫妻に逮捕状、タイ最高裁「保釈違反」(2008年8月11日、朝日新聞)
 【バンコク=小暮哲夫】タイ最高裁は11日、タクシン元首相と妻のポチャマン夫人への逮捕状を出した。国有地取引をめぐる汚職防止法違反に問われて保釈中の元首相夫妻は、最高裁の許可を得て出国していたが、帰国せずに、英国に入ったことが明らかになったためだ。
 夫妻は、最高裁の出国許可を得て、五輪開会式のため北京を訪問。その後帰国し、11日に最高裁に出廷することになっていたが、地元メディアによると、予定を変更して10日中に英国に到着。11日に「現在の裁判所には法の正義が期待できない」と声明を出し、英国にとどまることを表明した。
 最高裁は「両被告が期限までに出廷しなかったことは、保釈の条件に違反する」として、逮捕状を出した。

◎タクシン元首相夫人に脱税で禁固3年、直ちに保釈(2008年7月31日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】バンコクの刑事裁判所は31日、株取引にからむ脱税に問われたタクシン元首相のポチャマン夫人とその兄に、禁固3年の実刑判決を言い渡した。夫人らは500万バーツ(1バーツ約3.3円)ずつ保釈金を払い、直ちに保釈された。夫人らは控訴する見通し。
 06年9月のクーデター後に刑事訴追された元首相一族に判決が出たのは初めて。元首相は国有地取引をめぐる汚職防止法違反などに続いて30日、ミャンマー(ビルマ)への通信衛星売却にからむ政府資金不正融資の罪で起訴されており、厳しい状況が続く。

◎タイ軍兵士がカンボジア領侵入、国境論争の世界遺産遺跡付近(2008年7月15日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】カンボジア政府当局者は15日、タイとの国境に近い北部のヒンズー寺院遺跡「プレアビヒア」付近で、タイ軍兵士約40人が国境を越えカンボジア側に侵入したと非難した。タイ陸軍幹部は兵士はあくまでタイ側に駐留しているとしており、双方の主張は食い違っている。遺跡は歴史的に領有権争いの舞台となってきただけに、事態の拡大が懸念されている。
 タイの地元メディアによると、軍の越境問題とは別に同日早朝、タイの僧侶ら3人が同遺跡は自国のものであると抗議するため越境し、カンボジア当局者に拘束されていた。
 現地からの情報によると、タイの兵士約100人がカンボジア軍兵士とにらみ合いになっているが、衝突には至っていない。
 同遺跡をめぐってカンボジアは先に、タイとの外交交渉を経て世界遺産への登録を単独で申請し、7日には国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が申請を認めた。だが、タイ側では、野党民主党などが反発し、交渉に当たったノパドン外相が辞任に追い込まれるなど政府の責任が問われている。

◎カンボジア国境、寺院領有めぐり緊張、タイが軍動員(2008年7月15日、朝日新聞)
 【バンコク=柴田直治】カンボジア警察は15日、ユネスコの世界遺産登録が決まったクメール寺院プレアビヒアの境内に無断で侵入したとしてタイ人僧侶ら3人を拘束した。これに対しタイ軍が兵士を動員して3人の解放を要求。カンボジア側はタイ軍の行動は「国境侵犯」だと非難。タイ側はこれを否定し、にらみあいが続いている。
 カンボジア側は6月下旬、同寺院の領有権を主張して世界遺産登録に反対するタイのグループが抗議活動を続けたことから寺院を閉鎖していた。15日朝、3人がフェンスを乗り越えて侵入したため拘束した。タイの国旗を立てようとしたとの情報もある。
 タイ側は軍部隊を動員して解放を要求。3人は数時間後に釈放されたが、タイ軍は調書や指紋原票の返還を求めている。さらに数百人の兵士が近くの国境紛争地帯に住むカンボジア人の追い出しを始めた。また、タイ軍兵士1人が途中で地雷を踏んで重傷を負った。アヌポン陸軍司令官は同日夜、「国境の治安確保のため部隊を増強した」と話した。
 同寺院は62年、国際司法裁判所がカンボジア領と認定したが、周辺の領有権争いが続いた。カンボジアは昨年単独で寺院の世界遺産登録を申請。タイ政府は先月、登録にいったん同意したが、国内から強い反発を受けて撤回。それでも今月、登録が決定し、外相が辞任に追い込まれた。
 一方のカンボジア側では遺産登録を祝う大規模な集会が催されるなど、双方でナショナリズムが高まっている。

◎国境未確定地域の寺院が世界遺産に、タイ・カンボジア(2008年7月8日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】カナダのケベックで開かれているユネスコの世界遺産委員会は7日、タイ・カンボジア国境に位置するカンボジアの歴史遺産「プレアビヒア寺院遺跡」を世界遺産リストに登録することを決めた。
 寺院周辺はカンボジアとタイの間で領有権争いがあったことから今も国境線が画定しておらず、カンボジアの単独申請にタイ政府は同意していない。
 9〜12世紀に建立されたプレアビヒア寺院と周辺一帯は、両国間で長年、領有権が争われてきたが、1962年に国際司法裁判所がカンボジア領と裁定。だが、その後も両国間でトラブルが続いていた。
 タイ政府はいったん、同寺院の敷地に絞ったカンボジア側の遺産登録申請に同意したが、タイ国内の反政府勢力や野党が猛反発。ノパドン外相は急きょケベックを訪問し、世界遺産委員会に同意撤回を説明していた。
 登録にタイ側がいっそう反発するのは確実で、国境付近は予断を許さぬ状況となりそうだ。

◎タイ:タクシン元首相、香港から帰国、亡命1年半ぶり(2008年2月28日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】06年9月のクーデターで政権を追われて海外生活を続けてきたタイのタクシン元首相は28日午前、滞在先の香港から航空機でバンコクに到着した。汚職容疑で逮捕状が出ている同氏はバンコク到着後、裁判所に出頭して保釈を申請し、同日中に保釈される見通しだ。
 バンコクのスワンナプーム空港には多くの支持者が集まり、タクシン氏の帰国を待ち受けた。約500人の警官が動員され、混乱の警戒に当たっている。
 タクシン氏は昨年12月の下院選でタクシン派の「国民の力党」が勝利したのを受け、「新政権成立後に帰国したい」と表明していた。同党を主体とする政権が発足し、安全に帰国できる条件が整ったと判断したとみられる。
 タクシン氏に対しては、国有地の不正取得や資産隠しなどの疑いで最高裁から逮捕状が出されている。
 香港で27日、タイのテレビインタビューに応じたタクシン氏は「無実を証明するために帰国する」と述べた。また、政界からは身を引く考えを表明し、「大学で教壇に立ちたい」と話した。1カ月程度タイ国内にとどまった後、裁判所の許可を得てビジネスのため再び海外へ出国する計画という。
 タクシン氏は、昨年5月の旧与党「タイ愛国党」に対する解党判決に伴い、5年間の政治活動禁止処分が課されており、当面は表立った政治活動はできない。しかし、サマック政権の閣僚にはタクシン氏に近い人物が多く、タクシン氏は水面下で政権に影響力を行使するとみられる。
 クーデターを起こした軍内の勢力やタクシン政権追放運動を繰り広げた市民団体などはタクシン氏が復権の動きを見せることを強く警戒しており、同氏の帰国が国内に政治的緊張をもたらすことは避けられない。

◎タイ新首相にタクシン前首相派のサマック氏指名(2008年1月28日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイ下院は28日、昨年末の総選挙で第1党となったタクシン前首相派の「国民の力党」党首、サマック・スントラウェート氏(72)を新首相に指名した。
 同氏は一両日中にもプミポン国王の承認を受け、正式就任する。2月上旬にも、6党連立の新政権が誕生する見通し。
 首相指名投票で、サマック氏は総投票数の約3分の2を占める310票を獲得、民主党のアピシット党首(163票)に大差をつけた。
 2006年9月の軍事クーデター以降、軍主導の暫定体制下にあったタイは、1年5か月ぶりに民政復帰を実現する。だが、国外亡命状態にあるタクシン前首相の「名義人」を公言するサマック氏の首相就任は、前首相の傀儡(かいらい)政権との批判もあり、今後は、5月にも帰国するとされる前首相の「復権」も含めた政権運営が焦点となる。
 サマック氏は近く、35人以下の閣僚名簿や政策綱領を発表し、新政権樹立に向けた準備を進める方針。
 昨年12月の下院選では、前首相が率いた旧与党「タイ愛国党」(解党処分)の元党員が大量移籍した国民の力党が過半数に迫り、今月19日、民主党を除く6党で連立することで合意していた。

◎タイ全土のナイト・スポット全面禁煙へ、ASEANで初(2008年1月16日、読売新聞)
 【バンコク=鶴原徹也】タイ全土のパブなどナイト・スポットが2月11日から全面禁煙になり、違反した喫煙者に2000バーツ(約7400円)、店側に2万バーツの罰金が科せられることになった。
 タイ保健省によると、こうした夜の飲酒施設で禁煙に踏み切るのは、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国中、初めて。
 タイは2006年12月、政府庁舎、駅、病院、競技場など公共施設での禁煙を導入した。今回は、多くの外国人観光客が集まるナイトクラブやカラオケ・バー、ディスコといった施設にも対象範囲を広げた。

◎タイ総選挙、旧タクシン派「国民の力党」が圧勝(2007年12月24日、朝日新聞)
 民政移管をめざすタイの総選挙(定数480)は23日、投開票された。選挙管理委員会の非公式集計(開票率約95%)によると、去年9月のクーデターで追放されたタクシン前首相派が主力の「国民の力党」(PPP)が半数近い議席を獲得して圧勝。他党との連立協議を始めた。クーデターとその後の政権運営に対する極めて厳しい審判となった。
 午後11時(日本時間24日午前1時)現在、各党の議席数はPPPが228、旧最大野党の民主党が165、旧野党の国民党が39、新設の4党が26〜5を得た。
 PPPのサマック党首は23日夜、「クーデターで自由を失った国民の勝利だ。私が首相になる」と勝利宣言。すでに他党党首2人と連立協議を始めたことを明らかにした。同党首はさらに、政権をとった場合、選挙違反を理由とした前政権与党タイ愛国党幹部111人の公民権停止処分を解除すると表明した。
 タクシン前首相は、PPP中心の政権ができれば2月に帰国すると表明している。汚職防止法違反などで起訴されている前首相が帰国すれば収監されるとみられるが、PPPや支持者と、クーデターを主導した軍・反タクシン勢力との間で緊張が一気に高まりそうだ。
 過半数近くを獲得し政権に近づいたPPPだが、10人以上の候補者が選挙違反で失格になるとの情報が流れている。さらに公民権停止中の前首相が同党を応援するビデオを配布したなどの選挙違反容疑で捜査が始まっており、裁判所が解党を言い渡す可能性もある。
 一方、民主党がPPP以外の党を糾合する形で政権につく余地も残されている。ただ、巨大野党を相手にする多党連立となり、不安定な政権運営は避けられない。
 今回の選挙は全国8ブロック(各10議席)の比例区と中選挙区(157選挙区400議席)で争われた。これまでは小選挙区と全国一区の比例代表制だったが、前政権与党のタイ愛国党のような巨大政党の出現を防ぐため、8月施行の新憲法で選挙制度を改めた。
 今年5月の愛国党の解党や前首相の資産凍結など一連の「タクシンつぶし」にもかかわらず、PPPが圧勝したことはクーデター主導勢力に大きな打撃となった。連立協議とともに軍や反前首相派の対応が注目される。

◎タイ総選挙、各党が「タクシン政策」、経済低迷が背景(2007年12月16日、朝日新聞)
 タクシン前首相を追放した昨年9月のクーデター後、初めて実施されるタイの総選挙(定数480)は23日に投票される。大きな焦点は旧タクシン派の伸長だが、元最大野党で対抗軸となるはずの民主党を含め、各政党の公約にはタクシン前政権の政策が並んでいる。背景には現政権の数々の失政と、それがもたらした経済の低迷がある。
 「タイ経済は政策のミスで再び危機に瀕(ひん)している」。旧タクシン派でつくる「国民の力党」のサマック党首は、党員を集めた先月29日の会合でこう訴えた。
 バンコクに10線の鉄道を建設するメガプロジェクト、地方に手厚く財政資金を配分する「農村基金」の復活――党が掲げるのは、タクシン氏がかつて率いた「タイ愛国党」の政策そのものだ。
 だが現政権に近く、タクシン政権下の最大野党だった「民主党」の政策も、メガプロジェクトや農村の所得向上など、旧タクシン派とさして変わらないものばかり。他の小政党でも似たり寄ったりな状況だ。
 バラ色の青写真を描こうとする理由の一つが、最近の経済の停滞だ。国際通貨基金(IMF)による今年の成長率見通しは4.0%。ベトナム(8.3%)、フィリピン(6.3%)、インドネシア(6.2%)などに後れを取り、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国の中でも昨年に続き、最も低い伸びにとどまる見通しだ。
 原因として指摘されるのが、暫定政権による政策転換。経済自由化を進める一方、格差是正のために積極的な財政政策をとったタクシン政権について、現政権は「ばらまき政策」と批判。景気後退期にもかかわらず、メガプロジェクトの見直しに着手し、中央銀行の主導で急進的な資本規制も敷いた。
 さらに外資企業への締め付け強化を狙い、外国人事業法の改正を目指す方針を打ち出した。外国人投資家の間では「何をするかわからない政府」との見方が広がった。
 チュラロンコン大学のティティナン准教授は「現政権はクーデターを正当化するためだけに前首相の政策を否定したが、かえって混乱を招いた」と分析する。
 このため民主党でさえ、外国人事業法の改正案の撤廃や資本規制の撤廃を訴えざるを得なくなっている。

◎国王80歳の誕生日祝い水上パレード、タイ(2007年11月6日、朝日新聞)
 タイのプミポン国王の80歳の誕生日(来月5日)を祝う王室御座船パレードが5日、バンコクのチャオプラヤ川であり、伝統衣装に身を包んだ海軍兵ら2098人が52隻に乗り込んだ。だが主役の国王は、脳の血流障害で先月13日から川沿いの病院に入院中で、欠席した。
 タイ海軍によると、国王が46年に即位して以来、御座船パレードは16回目。国王は13回船に乗り、昨年6月の即位60年記念時など2回は健康上の理由で観覧席に座ったが、欠席は初めて。名代としてワチラロンコン皇太子が船に乗った。

◎タイで「輸入契約詐欺」多発、日本の中小企業狙い10件(2007年10月30日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイを舞台に日本の食品関連中小企業を狙った国際商取引詐欺が多発している。
 架空の在タイ日系商社を名乗る日本人が、「日本食ブームのタイに商品を輸入したい」と持ちかけ、諸経費を振り込ませる手口。6月以降で10件に上り、タイのホテルで社長が監禁される事件も発生。被害拡大の恐れもあり、外務省などが警察庁と連携し、注意を呼びかけている。
 在タイ日本大使館と日本貿易振興機構(JETRO)バンコクセンターによると、被害にあったのは、東京や大阪、福岡など9都府県の食品関連会社10社。8社が、「三把(さんわ)トレーディング」と名乗る男からメールや電話で取引を持ちかけられ、数社がタイで商品売買契約を締結。印紙代などの名目で諸経費を振り込んだ。
 しかし、その後の商品発注がなく、連絡が途絶えたという。メール添付で送られた会社概要には「本社・マレーシア」とあったが法人登記はなく、連絡先はタイのプリペイド式携帯電話だった。
 他の2社には違う社名で同じ中身の概要が送られていた。被害総額は1000万円を上回り、さらに拡大する可能性がある。
 大阪府門真市の食品卸会社の社長(34)は8月上旬、三把から豆腐製造機300台(約4000万円相当)の発注相談を受け、タイへ。空港で出迎えた社長、タイ人用心棒らが、社長をバンコクの北約100キロ・メートルのアユタヤ近郊に連れ出し、ホテルの一室に数時間監禁した上、不利な内容の契約書にサインさせた。社長はすきを見て逃走し、無事だった。
 7月には、同様に三把と契約した東京都の食品卸会社が、タイの銀行口座開設費名目などで計約270万円を振り込まされた。口利き料として数百万円を支払った会社もあるという。
 外務省は、海外で商取引経験のない中小企業を標的とした、日本人を含む手慣れた詐欺集団の犯行とみて、警察庁に事案を報告した。
 アジアやアフリカでは、日本企業に架空取引を持ちかけ送金させる詐欺事件が増加傾向にあり、JETROへの今年の相談件数は、9月末現在で70件と昨年1年間の59件をすでに上回っている。

◎タイ、最低賃金を引き上げ(2007年10月23日、朝日新聞)
 タイ政府の中央賃金委員会は、一部の県を除き、08年1月から最低賃金を引き上げることで合意した。バンコクの1日の最低賃金は3バーツ引き上げられ、1.57%増の194バーツ(約740円)になる。公務員の給料は今年10月から4%引き上げられたが、バーツ高の影響で衣料品など輸出産業の競争力が低下していることから、民間最低賃金の引き上げは小幅にとどまった。

◎タイ:クーデターから1年、国軍と前首相派の対決構図(2007年9月17日、毎日新聞)
 【バンコク浦松丈二】タクシン前首相を追放したタイの国軍主導のクーデターから19日で1年を迎える。軍を支持母体とするスラユット暫定政権は、今年12月に総選挙を実施して民政に移管する方針だ。軍は総選挙後に反タクシン勢力の旧野党・民主党を軸とする政権構想を描くが、タクシン陣営は巻き返しに動いており、双方の対決構図が強まっている。
 「この1年間、前首相の疑惑は何一つ有罪になっていない」。16日、「国民の力」党のサマック党首はそう強調し、暫定政権を批判した。
 タクシン政権当時の与党で、憲法裁判所によって解党処分を受けたタイ愛国党の幹部が同党に集結している。サマック氏は総選挙で勝利した時には前首相ら愛国党元幹部の恩赦を申請すると約束し、タクシン派の復権に意欲をみせた。
 旧野党の民主党はタクシン氏の金権腐敗体質の暴露に力を入れる。同党のステープ幹事長は同日、「タクシン前首相から閣僚ポストを示され、愛国党に合流するよう誘われたことがある」と述べ、前首相の切り崩し工作の一端を明らかにした。前首相が私財100億バーツ(約340億円)を投じて復権に動き出したとの情報も付け加えた。
 バンコク大学が主要都市で実施した世論調査によると、総選挙で民主党を支持するとの回答は43%、「国民の力」党は21%。しかしタクシン支持層が厚い地方を含めれば、支持率は拮抗(きっこう)する。
 スラキアット元副首相ら一部の旧愛国党幹部は、「国民の力」党に加わらずに独自の政治グループを結成した。12月の総選挙で両陣営とも過半数を確保できない状況を見越し、「第3極」として政局の主導権を握ろうとの思惑がある。

◎ポルノ撮影した容疑で日本人7人逮捕、タイ(2007年9月6日、朝日新聞)
 タイ警察当局は5日夜、同国中部チョンブリ県バンラムン地区でポルノ映画の撮影をしていた日本人の男女7人をわいせつ映画作製の現行犯で逮捕した。
 地元メディアなどによると、逮捕されたのは日本人の男5人と女2人、タイ人の男3人。男女らは同日夜、海岸の仮設小屋の中で性行為の場面を撮影していた際、警官らに急襲されたという。

◎タイ新憲法案が国民投票で承認、年内に総選挙実施へ(2007年8月20日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイで19日、新憲法案の賛否を問う初の国民投票が行われ、即日開票された。
 同日午後11時(日本時間20日午前1時)の中間発表(開票率95%)によると、賛成が58・24%を占め、新憲法案は承認された。
 新憲法は国王の署名を経て9月に公布され、民政復帰に向けた総選挙が年内に実施される。投票率は56・63%。最終結果は20日午後に確定する。
 スラユット暫定首相は19日夕、「国民の過半数が投票してくれたことに感謝する。12月の国王の誕生日(5日)の後に、総選挙を行う」と述べた。暫定政府の民政移管プロセスは、国民の信任を得た形となった。しかし、タクシン前首相支持者の多い東北部では、反対が過半数を占めた。
 タイでは、軍部が昨年9月にクーデターを決行し、最も民主的とされた1997年制定の憲法を廃止した。暫定体制下で作成された新憲法案は、下院定数を削減し、上院のほぼ半数を任命制にするなど、前政権与党「タイ愛国党」のような巨大政党の出現を阻止し、政治家の力を弱める内容。反政府勢力は、「軍部や官僚の権力強化につながり、民主主義が後退する」と指摘していた。投票は、全土の約半数の県が戒厳令下の状態で行われた。

◎クーデターに「批判の矢を」、タイで反政府勢力がデモ(2007年8月10日、朝日新聞)
 昨年9月の軍事クーデターで発足したタイの現政権に反対するグループが9日、バンコクの中心部でデモをし、政府や軍に「批判の矢」を放つパフォーマンスで道行く人たちに支持を呼びかけた。
 いにしえの兵士を模した衣装の10人ほどを先頭に、約100人が行進。クーデターを主導した軍人らでつくる国家安全保障評議会の退場、19日の国民投票で政府が可決を目指す新憲法への反対などを訴えた。
 デモ隊は陸軍司令部の前でもスローガンを書いた矢を放つ予定だったが、警官隊に阻まれた。

◎衝突の負傷者106人、タイ警察、抗議行動の過激化を警戒(2007年7月23日、産経新聞)
 タイ警察は23日、プレム枢密院議長宅前で22日夜に起きた市民と警察官らの衝突による負傷者が市民28人、警察・軍78人の計106人に上り、これまでにデモの指導者ら6人を逮捕したことを明らかにした。負傷者は足を骨折した警察官1人を除いてはいずれも軽傷だった。
 治安を担当する国家治安評議会は、反政府集会への参加者が増え続け、次第に激しくなっていることを警戒。23日の会議で対策を協議したが、新たな規制策などは打ち出さなかった。
 国軍や暫定政権を批判する市民は、プレム議長を「クーデターの黒幕」と非難、同議長が辞任するまで抗議行動を続けるとしている。

◎バンコクで反政府集会、警察が催涙ガス、100人けが(2007年7月23日、朝日新聞)
 22日夜、バンコク中心部で反政府集会を開いていたグループと警察がもみ合いになり、警察が催涙ガスを発射。その後も深夜までに計3度にわたってぶつかり合いが繰り返され、双方あわせて約100人のけが人が出た。
 昨年9月のクーデター後、政治集会で大規模な衝突があったのは初めて。今後の政局にも影響を与えそうだ。
 タクシン前首相支持グループ約5千人が同日午後、プミポン国王の側近であるプレム枢密院議長宅前で、「クーデターの黒幕はプレム氏だ」として議長辞任を求めて集会を開いた。辞任まで解散しないと宣言したことから、警察は午後9時(日本時間午後11時)ごろ、集会のリーダーらの拘束に乗り出した。反発した参加者が投石などを始めたため、警察が催涙ガス弾を撃った。
 集会を排除しようとする警察に参加者がペットボトルなどを投げて対抗。混乱は午後11時(同23日午前1時)過ぎ、とりあえず収束した。
 タイでは、クーデターで政権を握った軍が92年、反政府集会参加者に発砲して多数の死者が出て、その後の政変につながった。

◎タイの来年度国防費、クーデター前の昨年度比で7割増要求(2007年6月30日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】軍主導の暫定体制下で年内に総選挙を実施し民政復帰を進めるタイで、国防省が来年度(2007年10月〜08年9月)の国防予算として今年度比24.3%増の1430億バーツ(約5140億円)を要求し、「お手盛り」との批判が高まっている。
 クーデター前の昨年度と比べると7割増で、軍部が民政復帰後も既得権拡大を図ろうとする意向が見え隠れする。
 同省によると、国防予算は、97年のアジア通貨危機以降大幅にカットされ、800億バーツ前後で推移。しかし、昨年秋のクーデター直後の予算編成で前年度比33.8%増の1150億バーツを計上。今月下旬に検討された来年度予算は、南部イスラム過激派のテロ対策などを理由に、さらに増額された。予算全体に占める割合も1.3ポイント増の8.6%、過去5年間1%台前半で推移した対GDP比も1.57%に跳ね上がる。
 アジアで国防費が大幅に増えているのは、10年間で2倍となった中国やインドなど少数だが、同省報道官は、「東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国にはGDP比3%を超える国も多く、タイは突出していない。通貨危機以前の水準に戻っただけ」と説明した。外交筋は「予算増額は軍部が影響力を誇示する仕組みを整える手段」と指摘している。

◎タイで爆弾テロ、2人死亡(2007年6月28日、産経新聞)
 タイ南部ヤラ県の市街地で27日午後、市場付近に仕掛けられた爆弾が爆発し、市民2人が死亡、約20人が負傷した。地元警察が明らかにした。南部のイスラム武装組織による爆弾テロとみられる。
 飲食店近くに止めたバイクに、遠隔操作の爆弾が仕掛けられていたという。南部では、タイからの分離・独立を掲げる武装組織の襲撃が続き、治安当局は今月、掃討作戦を展開。組織への関与が疑われる多くの容疑者を拘束している。

◎バンコクで反軍部デモ、クーデター後では最大規模(2007年6月24日、読売新聞)
 【バンコク=太田誠】タイの首都バンコク中心部で23日、昨年9月のクーデターで実権を握った軍主導の国家治安評議会(議長・ソンティ陸軍司令官)メンバーの辞任を求めるデモが行われた。
 タクシン前首相支持者や民主活動家らで組織する「反独裁民主連合」が主催したもので、1万数千人が参加。クーデター後では、最大規模の反軍部デモとなった。
 参加者は、バンコク中心部の王宮前広場から陸軍司令部前までの約2キロを「軍部は出ていけ」などと叫びながら行進した。司令部前では座り込みも行った。警官約2000人が沿道で警戒に当たったため、大きな混乱はなかった。
 デモに参加した北部チェンマイのクリーニング店経営、アカラデーンさん(42)は「我々は民主主義を望むだけ。デモでは軍部を追放できないかもしれないが、最初の一歩になる」と話した。

◎タクシン前首相を起訴、帰国が今後の焦点に、タイ(2007年6月21日、朝日新聞)
 タイの検察当局は21日、タクシン前首相夫妻が国有地を不正に取得したとして、汚職防止法違反などの罪で最高裁判所に起訴した。前首相本人への訴追は、昨年9月のクーデター以降初めて。裁判が始まれば出廷を求められる可能性が高く、国外を転々とする前首相の帰国問題が今後の焦点になりそうだ。
 前首相夫妻はタクシン政権下の03年に夫人名義で国有地を取得。これが政治家や夫人の国有財産取得を制限する法に違反したとされる。裁判所は7月10日に受理するかどうか決めるが、受理はほぼ確実と見られている。
 前政権の腐敗を理由にクーデターを起こした軍や現政権は、ここに来て前首相への攻勢を強めている。一族の預金口座を次々に凍結し、19日には法務省特別捜査局が、証券取引法違反の疑いで夫妻に出頭を命じた。
 前首相の弁護士は「身の安全の保証がない」として、現時点では前首相の帰国に慎重な姿勢を示している。帰国が実現すれば、支持者らによる反政府運動が勢いづく可能性がある。

◎世界王座の女囚ボクサー、刑期短縮勝ち取り釈放へ、タイ(2007年6月5日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】麻薬密売の罪でタイの刑務所に服役中の今年4月、世界ボクシング評議会(WBC)女子ライトフライ級の世界タイトル戦で王座に輝いたシリポン・タウィスク選手(24)が、勝利の“ご褒美”として、特赦扱いで残り3年の刑期を短縮され、釈放されることが5日、決まった。
 釈放は今月13日の予定。
 タイ矯正局などによると、同局が設置した元検察官らで構成する特別委員会が「これまでの刑期もまじめに務めており、特赦に値する」と判断し、1か月に1度の活動報告を義務づけ釈放を認めた。シリポン選手は「ボクシングをずっと続ける」と話しているという。

◎タイ:憲法裁、旧与党に解党命令、旧最大野党は無罪、昨年の選挙違反(2007年5月31日、毎日新聞)
 【バンコク浦松丈二】タイ憲法裁判所は30日、昨年4月の下院総選挙をめぐり政党法違反罪に問われた旧与党・タイ愛国党を解党処分とする有罪判決を言い渡した。旧最大野党・民主党は無罪とした。昨年9月のクーデターで失脚したタクシン前首相が率いた愛国党は消滅し、今年12月に予定される総選挙に向けて大規模な政界再編が必至の情勢となった。
 解党処分となった愛国党の役員118人は、被選挙権が5年間はく奪されるほか、新党設立も禁止される。無罪となった民主党は存続し、役員49人も総選挙に立候補できる。このため、旧タクシン勢力の主要人物は政界から排除され、国軍を基盤とする暫定政権と民主党を軸にした新たな政権構想が浮上する可能性が高い。
 判決は、民主党がボイコットした昨年4月の総選挙で、愛国党の党首だったタクシン前首相らが自党の候補者を当選しやすくするため、小政党を買収して対立候補を擁立したと認定した。単独候補の場合にのみ適用される法定得票率の規定を免れるための工作だったとされる。買収された小政党3党も解党処分を命じられた。
 総選挙をめぐる不正とその後の混乱は、タクシン首相派と反首相派の対立を激化させ、国軍のクーデターにつながった。
 判決を前に、地方から数千人規模の愛国党支持者がバンコクに動員されており、判決に対して抗議行動を展開する可能性もある。暫定政権は抗議デモを警戒し、バンコクの王宮前など主要個所に1万人以上の兵士を配置。憲法裁判所付近の学校11校を休校にしたほか、テロや扇動に使われないよう裁判所周辺で携帯電話の電波を遮断するなど警戒を強めている。
 治安維持権限を持つ国家安全保障評議会のソンティ議長(陸軍司令官)とスラユット暫定首相は30日、判決結果によって混乱を招いた場合、非常事態宣言を発令する方針を発表した。
 愛国党は、98年7月にタクシン副首相(当時)らが設立。北部、東北部を中心に党員1400万人(推定)。資金力を背景に01年1月の総選挙で第1党に躍進し、タクシン政権の母体となった。05年2月の総選挙では4分の3の議席を占め、タイの政治史上初めて単独政権を樹立した。

<タイ憲法裁判決までの経緯>
2006年
 2・24 タクシン首相が反対勢力封じ込めで国会(下院)を解散
 4・02 下院総選挙実施。野党がボイコット。首都バンコクでは不信任の白票が与党票を上回る
 4・04 タクシン首相が辞任表明
 4・25 プミポン国王が「1党だけの総選挙は民主的でない」と発言
 5・08 憲法裁が総選挙を無効に
 5・20 タクシン首相が職務復帰表明
 7・06 最高検察庁がタイ愛国党と民主党を含む5党を政党法違反の罪で起訴
 9・19 国軍がクーデター
10・01 スラユット暫定首相が就任
12・31 バンコクの連続爆破テロで3人死亡

2007年
 4・18 新憲法草案を公表
 5・24 プミポン国王が「政党を解散させても、存続させても問題は起きるだろう」と懸念を表明
 5・30 憲法裁が判決

◎爆弾テロで、兵士や市民計15人死亡、タイ南部(2007年6月1日、産経新聞)
 【バンコク=岩田智雄】イスラム武装勢力によるテロが続くタイ南部のヤラ県で5月31日午後、政府の準軍隊の車両が通行中に爆弾が爆発し、兵士10人が死亡した。この直後、南部ソンクラ県のモスクで礼拝を終えた市民が武装勢力の銃撃に遭い、5人が殺害された。南部では2004年初め以降、テロや銃撃事件で2100人以上が死亡している。

◎タイ愛国党に解党処分、憲法裁判所が選挙違反で買収認定(2007年5月31日、朝日新聞)
 タイの憲法裁判所は30日、昨年4月の総選挙での選挙違反に問われたタクシン政権時代の与党・タイ愛国党に対する判決公判で、一部の幹部による買収行為を認め、解党処分を言い渡した。これによって、政局が一気に流動化するとの見方が強まっている。政府は前首相支持者らによる大規模デモなどを警戒し、厳戒態勢を敷いている。
 愛国党への判決言い渡しは、午後6時半(日本時間同8時半)から始まり、午後11時(同31日午前1時)を過ぎても続いた。昨年4月の総選挙で、愛国党の幹部が「小政党に資金を渡して買収した」と認定、解党を命じた。党首だったタクシン前首相ら党役員に対する5年間の政治活動禁止処分にまで処分が及ぶかどうかが注目される。
 約120人いる党役員全員が選挙に出られない事態になれば、近年のタイ政界を担ってきた有力政治家が軒並み退場することになり、政界の再編は避けられない。解党処分が下ったことで、昨年9月のクーデターで追われた前首相の支持派によるデモ行動が激しくなる可能性もある。
 これに先立って、憲法裁は同じく選挙違反に問われた最大野党・民主党に無罪を言い渡した。タクシン首相(当時)に汚名を着せたり、愛国党に買収行為をさせるため小政党を利用しようとしたりしていなかったと判断。全罪状について無罪としたうえで、「解党する法的根拠はない」とした。
 愛国党に解党処分が出たことにより、前政権時代の与野党へ正反対の判決が下ったことになる。前首相の支持者らが反政府活動を繰り広げる恐れもある。スラユット首相は判決公判の前、混乱が手に負えなくなれば「非常事態の宣言もあり得る」と警告。軍人や警察官ら約1万3000人をバンコク周辺に配置し、厳重な警備態勢を敷いた。
 裁判所も携帯電話を使って遠隔操作する爆弾を使ったテロを警戒し、周辺一帯で携帯電話の電波が遮断された。前首相の支持者らは30日夜、約2000人が裁判所の近くで集会を開き、31日にも大集会を呼びかけている。
 タイでは9月に新憲法の制定に向けた国民投票を控えているが、判決の内容しだいでは、前首相支持派や反クーデターの市民団体らが、否決に向けた運動を繰り広げる可能性がある。12月に予定される総選挙も予断を許さない状況だ。

◎タイ前首相らの政治活動禁止、旧与党勢力に壊滅的打撃(2007年5月31日、朝日新聞)
 昨年4月のタイ総選挙の際の選挙違反をめぐる裁判で、タイの憲法裁判所は30日夜、タクシン政権時代の与党・タイ愛国党に解党処分を下したのに加え、タクシン前首相を含む当時の役員ら111人の5年間の公民権停止も命じた。旧与党勢力は壊滅的な打撃を受けることになり、タイ政界は大再編を免れない情勢だ。
 判決は、愛国党の幹部2人による小政党への買収が、個人ではなく党のための行為だったとして党自体を解党処分。そのうえで、当時の役員らの被選挙権のはく奪などを決めた。
 下院の議席の4分の3を占め、党員数約1400万人(公称)を誇った愛国党は、タクシン氏の失脚に続き、最高幹部らが軒並み政界からの退場を余儀なくされたことで、大きな岐路に立たされた。
 判決後、タクシン氏は英BBC放送に対して「判決を尊重する」と述べた。同氏の顧問弁護士は「タクシン前首相は判決を知って悲しんでいる」とコメントした。
 一方で、愛国党のチャトゥロン党首代行は「予想外の判決だ。民主主義の後退を懸念する。この国はいま独裁者によって支配されている」などと反発。31日朝には、旧与党勢力を結集した新党の設立を目指す考えを示した。
 タイ政界は今後、同じく選挙違反に問われながら、30日に憲法裁で無罪判決を受けた旧最大野党・民主党を軸に動く可能性が高いが、愛国党の解党で政局の流動化は必至だ。判決に反発する前首相支持派の動向しだいでは、混乱が起きる可能性もある。

◎タイ南部で連続爆発、4人死亡(2007年5月28日、朝日新聞)
 タイ南部ソンクラー県で28日午後、市場で爆発が起き、4人が死亡、26人がけがをした。警察当局はテロ事件とみて背後関係を調べている。27日夜には、同県の中心都市ハジャイにあるホテルやショッピングセンター前の路上など7カ所で相次いで爆発があり、13人が負傷した。
 ハジャイでは05年4月に空港など3カ所で爆発が起き、2人が死亡。昨年9月にも6カ所の連続爆発でカナダ人を含む4人が死亡、約70人が負傷した。

◎タイ:南部ハジャイで同時爆発7人負傷、武装集団のテロか(2007年5月28日、毎日新聞)
 【バンコク浦松丈二】タイ南部の中心都市ハジャイで27日夜、デパートや非政府組織(NGO)事務所前など4カ所で相次いで爆発が起き、少なくとも7人が負傷した。治安当局は、タイからの分離独立を目指すイスラム武装集団のテロとみて捜査を進めている。
 調べによると、同日午後9時(日本時間同11時)過ぎ、地元の中国系住民が運営するNGO事務所前で爆発が起き、通行人ら7人が負傷した。ほぼ同時に近くのデパートやホテル、飲食店付近でも爆発が発生した。地元警察が詳しい被害状況を調べている。
 タイ南部では04年1月に治安当局と武装集団が衝突して以降、軍や警察、学校を標的にしたテロが相次ぎ、2000人以上が死亡している。

◎タクシン一族に710億円を課税へ、タイ政府調査委要請(2007年4月24日、朝日新聞)
 タクシン前首相の脱税疑惑を追及しているタイ政府の資産調査特別委員会は、前首相の長男と長女に約210億バーツ(約710億円)の納税義務があると判断し、国税局に徴税を要請した。前首相が英バージン諸島に設立した資産管理会社も、タイの法律に基づいて課税対象になると判断したためで、同社を経営していた長男、長女に納税義務があるとした。
 課税の対象になるのは、資産管理会社「アンプル・リッチ」が99年以降に行った株売買に伴う利益や配当の受け取りなど。同委員会は「同社は海外に登録されているが、実際の取引はタイの関係者間で行われており、納税義務がある」としている。
 同社は、タイの通信持ち株会社シン・コーポレーションの株式を所有し、いったん前首相一族に安値で売却した後、シンガポールの企業に売却した。一連の取引で、前首相一族はほとんど税金を納めておらず、昨年9月のクーデターを引き起こす要因になった。

◎タイ:バンコク旧空港、国内線利用で再開(2007年3月26日、毎日新聞)
 【バンコク浦松丈二】バンコクの旧国際空港(ドンムアン空港)で25日、一部国内線の利用が再開された。昨年9月に開港した新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)の滑走路や誘導路に100カ所以上の亀裂や陥没がみつかり、補修のため一部国内線を旧空港に移すことになった。
 ドンムアン空港に移されたのは格安航空ノック・エアやタイ国際航空の一部国内線など77便。新旧両空港は直線距離で約30キロ離れているため、乗り継ぎが不便になっている。タイ暫定政権は半年後に旧空港への国際線乗り入れを含めて利用方法を再検討する方針だ。

◎バンコクでタクシン派数千人がデモ、暫定政府を批判(2007年3月24日、産経新聞)
 【バンコク=岩田智雄】クーデターが起きたタイのバンコクで23日夜、クーデターで発足したスラユット暫定政府や軍主導の国家治安評議会を批判するデモが行われ、過去最大の数千人が参加した。参加者はタクシン前首相の支持者とみられ、国民の支持離れが加速している暫定政府への攻撃を強めている。
 主催した衛星テレビ局PTVによると、会場の王宮前広場に1万人が集まった。タイ英字紙は参加者を1500〜3000人と報道している。PTVはタクシン氏の旧与党タイ愛国党の党員が設立した衛星テレビ局で、放映は暫定政府に差し止められている。デモ前、地元政府職員が舞台を取り除くよう要求、警官が付近を取り囲み、一時にらみ合いとなった。
 PTVはタクシン氏の支持集会ではないとしているが、壇上には元首相府報道官ら愛国党党員が上り、タクシン氏の支持者がデモを主導したのは明らか。参加者はスラユット暫定政府を独裁政権と批判。民主主義の回復を訴えた。

◎タイ:北部国境、脱北者流入3.6倍増(2007年3月1日、毎日新聞)
 【バンコク浦松丈二】タイに流入する北朝鮮難民(脱北者)に関する国際調査団が1日、バンコクで記者会見し、タイ北部で逮捕・拘束される脱北者が急増していることを明らかにした。北部国境のメーサイ入管事務所によると、06年(通年)に拘束された脱北者は前年の3.6倍にあたる367人に上った。
 同事務所が収容した脱北者は、03年に40人▽04年に28人▽05年に100人だった。今年も2月末までに87人を収容し、昨年同期を上回るペースとなっている。調査団によると、入管の予算が不足し、収容された脱北者たちが劣悪な環境に置かれているという。
 団長の加藤博・北朝鮮難民救援基金理事長は、「脱北者は犯罪者ではなく、国際法に基づく難民だ。タイ政府と協力して問題解決に努力していきたい」と訴えた。調査団は脱北者のための通訳や日用品提供などを検討しているという。

◎タイ南部で連続テロ50件超、9人死亡(2007年2月19日、読売新聞)
 【バンコク=田原徳容】タイ警察によると、分離独立を求めるイスラム過激派のテロが多発しているタイ最南部4県で、18日夜から19日にかけ、爆破や放火、銃撃が連続50件以上発生し、少なくとも9人が死亡、50人以上が負傷した。
 昨年9月のクーデター以降では、一度のテロとしては最多の犠牲者。
 暫定政権は、タクシン前政権の強硬策を見直し、過激派に対し対話路線に転じたが、成果は出ていない。
 各県中心部でカラオケバーやガソリンスタンド、ホテルなどで仕掛けられた爆弾が相次いで爆発。パッターニ県では発電所が爆破され、県内全域が数時間停電した。ナラティワート県では学校10数校が放火されたほか、ヤラ県では陸軍幹部宅が襲われ、幹部が死亡した。
 警察は、中国の春節(旧正月)で人が集まるのを狙った犯行と見ており、関与した可能性のある若者数人の身柄を確保した。タイ南部ではテロで2004年1月以降、2000人近くが犠牲になっている。

◎タイ南部の30カ所で連続爆発、放火、襲撃、7人死亡(2007年2月19日、朝日新聞)
 イスラム過激派によるとみられるテロが続くタイ南部で18日夜から19日朝にかけて、4県の約30カ所で爆発や放火、襲撃が相次ぎ、少なくとも7人が死亡、50人以上が負傷した。政府は前政権の強硬路線を見直し、対話を呼びかけることで事態の打開を模索しているが、テロが収まる兆しはない。
 警察当局によると、ヤラー県やナラティワート県などではホテルやカラオケ店、給油所などで爆発があり、4人が死亡した。パタニ県では変電所などが爆破されて停電が起き、3人が路上で射殺された。各地で学校への放火も相次いだ。

◎バンコク新空港に不備多数、やむなく旧空港再開へ(2007年2月7日、産経新聞)
 タイ暫定政府は6日、バンコク新空港の開港に伴い定期便の運航を停止していた旧バンコク空港(ドンムアン空港)を国際空港として再開させることを閣議決定した。新空港では昨年9月の開港後、滑走路に亀裂が見つかったほか、座席やトイレ不足などの不備が指摘されており、問題個所の修復のため一部路線をドンムアン空港に移すよう国営空港会社が政府に求めていた。(

◎タイ:バンコクで爆発、けが人なし(2007年1月30日、毎日新聞)
 【バンコク浦松丈二】30日午前1時半(日本時間同3時半)ごろ、バンコクのタイ語日刊紙「デーリー・ニュース」本社前と隣接するラマ・ガーデン・ホテル駐車場の2カ所で爆発が起きた。けが人はなかった。
 バンコクでは年末年始に3人が死亡する連続爆破テロが起きたばかり。現場は昨年9月まで国際空港だったドンムアン空港から近く、高速道路に隣接している。警察は高速道路から爆弾が投げられた可能性があるとみている。
 連続爆破テロでは、タイ警察が26日に容疑者として拘束していた18人を「証拠不十分」で釈放、捜査の不手際が批判されている。

◎首都バンコクなどの戒厳令を解除、タイ政府(2007年1月26日、朝日新聞)
 タイ政府は26日、昨年9月の軍事クーデターで全土に布告した戒厳令を、首都バンコクなど中部を中心とする41県で解除した。タクシン前首相の地元の北部や、テロが続く南部などの35県では今後も継続される。バンコクでは昨年暮れに連続爆弾事件が起きたが、政府側は「別の方法で対処できる」としている。

◎タイの戒厳令、バンコクなど41県で解除(2007年1月26日、読売新聞)
 【バンコク=太田誠】昨年9月のタイ軍事クーデター以降、全土に敷かれていた戒厳令が、26日付でバンコクを含む41県で解除された。
 国境沿いなど35県では継続される。暫定政府が解除の方針を昨年11月に打ち出していたが、実施のため必要なプミポン国王の署名が遅れていた。

◎軍人含む15人を拘束、年末のタイ連続爆弾事件(2007年1月21日、朝日新聞)
 タイの警察当局は20日、昨年末にバンコクで起きた連続爆弾事件に関与した疑いがあるとして、軍人を含む15人を拘束した。政府は事件の背後に、クーデターで追われたタクシン前首相派がいるとの見方を示しているが、拘束した軍人らと前首相とのつながりについては明らかにしていない。
 警察は同日朝、バンコクや周辺の18カ所を一斉に捜索した。具体的な容疑は不明。政府は事件後、犯行の手口などから「軍や警察の一部が関与している」との見方を示していた。
 昨年末に9カ所で起きた爆弾事件では3人が死亡、外国人を含む約40人が負傷した。

◎タイ政府、「外国企業」の定義見直し、相次ぐ規制強化(2007年1月9日、朝日新聞)
 タイ政府は9日、「外国企業」の定義を見直して、国内産業保護や安全保障のための出資規制を強化すると発表した。タイでは、中央銀行が金融市場で外国人投資家に厳しい資本規制を設けるなど、海外企業に対する規制が強まっている。
 現状では、小売りなどサービス業で外国人持ち株比率が50%を超えることは認められていない。多くの外国企業で、議決権のないタイ人名義の優先株を発行して表面上の持ち株比率を下げて、事実上は経営権を握る手法が慣例化してきた。今後は、議決権ベースで過半を超える企業は外国企業とみなされ、事業が制限される。
 対象は、すべての小売業、広告業、法律事務所など。すでにタイ国内で事業を展開している企業については、政府への登録を条件に事業の継続を認めるという。軍事やメディア、航空産業なども対象だが、外国企業が参入している例はほとんどない。
 9日の閣議で承認され、立法議会での審議を経て施行される。
 日本や米国、欧州、豪州などで組織する外国人合同商工会議所は8日、「外国企業の定義は(タクシン前政権までの)政府や裁判で何度も確認されてきた。見直しは海外からの投資に深刻な影響を及ぼす」と反対を表明していた。

◎タイ:一連の爆破テロ、バンコクでさらに厳戒態勢(2007年1月2日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】先月31日に4カ所同時爆破テロが起きたバンコクと近郊で同日夜から1日未明にかけて、さらに4回の爆発があった。一連の事件の死者は3人、負傷者は43人となった。タイ治安当局はさらにテロが計画されている可能性もあるとして首都で厳戒態勢を敷いている。
 1日午前0時過ぎ、バンコク中心部の繁華街にあるゲイソン・プラザ前の公衆電話と近くの海鮮料理店で爆発があり、外国人観光客9人が負傷した。被害者に日本人はいなかった。
 スラユット暫定首相は1日、「政治的利益を失った者たちが政治・社会の混乱を狙った事件だ」と述べ、昨年9月の国軍クーデターで追放されたタクシン前首相を支持する一派による犯行との見方を示した。治安を担当する国家安全保障評議会はタクシン前政権時代の秘書官や法相ら前首相の側近と目される人物を事情聴取のため召喚した。
 一方、中国で事実上の亡命生活を送るタクシン前首相は2日、地元メディアなどにあてた書簡で事件への関与を否定し、「あらゆる非難と対決するため帰国する用意がある」と主張した。
 治安当局は市民や観光客に不要な外出を避けるよう呼びかけている。ショッピングセンターでは客の手荷物や車を検査し、鉄道の駅やバスターミナルを兵士がパトロールするなど厳戒態勢が敷かれている。
 クーデターを受けて昨年10月に発足したスラユット暫定政権は当初は8割前後の支持率を誇ったものの、タクシン前政権の路線を明確に軌道修正する政策が打ち出せず、求心力は低下傾向にある。南部のマレーシア国境近くでイスラム武装組織によるとみられる爆弾テロが続いているのに加え、首都で治安悪化を招けば政権にとって大きな打撃となる。

◎バンコクでまた連続爆弾テロ、外国人ら10人重軽傷(2007年1月1日、朝日新聞)
 爆弾事件が起きたばかりのタイの首都バンコクで1日未明(日本時間同)、新たに爆弾が2カ所で爆発し、外国人を含む約10人が重軽傷を負った。警察当局は同時爆弾テロ事件とみて、12月31日にバンコクでほぼ同時に発生した6件の爆弾事件との関連などを調べている。日本大使館によると、死傷者の中に日本人はいない。スラユット暫定首相は、「(事件は)政府の信用を落とすことを狙ったものだ」と主張した。
 1日の事件は、新年を迎えた直後の午前零時すぎにほぼ同時に発生。バンコク中心部の高級百貨店前の公衆電話ボックスと、約200メートル離れた海鮮料理店付近で、それぞれ爆弾が爆発した。負傷者には英国人やハンガリー人など外国人9人が含まれる。
 2つの現場周辺では例年、新年を迎えるカウントダウンが行われ多くの人が集まるが、今年は31日に爆弾事件が発生したため、急きょ中止された。
 また、多くの外国人観光客が集まるカオサン地区とルンピニ・ナイトバザールでも爆発物が発見される騒ぎがあり、警察が客らを避難させた。
 スラユット首相は1日、緊急安全保障会議を開いた後、記者会見し、今回の事件について「政治絡みだ。『現政府は治安状況を統制できない』と示そうとしたものだ」と主張した。

◎バンコクで同時テロか、7カ所で爆発(2006年12月31日、日本経済新聞)
 【バンコク=長尾久嗣】タイの首都バンコクの繁華街など7カ所で31日夜、ほぼ同時に爆発が発生した。組織的なテロ事件とみられるが、死傷者数など被害の詳細は不明。タイでは最南部でテロが頻発しているが、バンコクでの同時多発的なテロは初めて。
 爆発があったのは市内の大規模ショッピングセンター「シーコン・スクエア」や独立記念塔、低所得者が多く住む「クロントイ」地区など。多くは繁華街や人口密集地で、新年を前に人々でにぎわっていた。同ショッピングセンターなどには避難命令が出ている。
 負傷者は午後7時(日本時間同9時)過ぎの警察発表で20人以上。一部には、2人が死亡したとの情報もある。
 タイでは最南部で2004年初めからイスラム分離独立派とみられる武装勢力のテロで多数の死者が出ている。スラユット暫定政権は「年末年始にテロが増加するとの情報がある」として国軍を最南部に増派しており、「警備の手薄となった首都が狙われた」などの観測が浮上している。

◎タイ:バンコクで同時爆弾テロ、2人死亡(2006年12月31日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】31日午後6時(日本時間午後8時)ごろ、バンコク中心部の戦勝記念塔付近など5カ所でほぼ同時に爆弾が爆発し、数十人の負傷者が出た。少なくとも2人が死亡したとの情報もある。タイ警察は同時爆弾テロ事件として捜査している。バンコク市内での爆弾テロは極めて珍しい。
 爆発があったのはほかに、▽ルンピニ公園に近いクロントイ地区の路上▽スクムビット通り62の交差点▽サパン・クワイ地区のスーパーなど。バンコク中心部を東西に走るスカイトレイン(BTS)スクムビット線にほぼ沿った場所がターゲットとなった。ゴミ箱などに仕掛けられた爆弾が爆発したほか、スーパーに手榴(りゅう)弾が投げ込まれたとの目撃情報もある。
 タイでは06年9月19日、タクシン前首相の追放を目的に国軍がクーデターを決行。タクシン政権は崩壊し、国王の信任が厚い枢密院議員のスラユット氏が暫定首相に就任した。しかし、タクシン氏の地盤である北部などでは依然としてタクシン支持層が多く、クーデターに伴って全国に布告された戒厳令はまだ解除されていない。
 このため、事件は親タクシン勢力による暫定政権揺さぶりを目的としたテロとの見方が強く、新年を直前にした事件は暫定政権に大きな打撃となる。一方、南部のマレーシア国境近くでイスラム武装勢力によるとみられるテロ事件が相次いでいるが、こうした勢力が首都バンコクに浸透して同時テロ事件を起こす力はないとの見方が一般的だ。
 年末年始のこの時期には日本人も多数バンコクを訪れているが、日本人が事件に巻き込まれたかどうかは不明だ。

◎バンコク中心部で同時多発テロか、20人以上負傷(2006年12月31日、朝日新聞)
 31日午後6時(日本時間午後8時)ごろ、バンコク中心部の数カ所で相次いで爆発があり、少なくとも20人以上が負傷した模様だ。年越しの買い物客や外国人観光客が訪れる場所などが狙われており、警察当局は同時多発テロとの見方を強めている。
 警察や地元メディアによると、爆発があったのは、多くの外国人観光客が訪れる戦勝記念塔近くのバス停や、週末に数十万の人を集めるチャトゥチャック市場付近の交番、日本人が多数住むスクンビット通り、スラムが密集するクロントイの市場など。百貨店客を避難させたとの情報もある。31日は年越しのカウントダウンイベントへ向かう人で、中心部はごった返していた。
 タイでは昨年9月の軍によるクーデター以降、学校などへの放火が各地で相次ぎ、軍と政府はタクシン前首相支持派による犯行の可能性を示唆していた。また、イスラム教徒の多数住む南部では、爆破や銃撃テロが収まらず、政変前より事態は悪化している。
 タイでは昨年9月19日、ソンティ陸軍司令官をリーダーとする「民主改革評議会」が、クーデターを起こした。同評議会は翌日、憲法を停止して全土に戒厳令を布告、「権力を掌握した」と発表した。
 同評議会の中心勢力は国軍で、軍によるタイでのクーデターは91年以来、15年ぶりだった。
 一方、イスラム教徒が多く住むタイ南部では04年初めから、分離独立を掲げるイスラム過激派によると見られるテロが続いている。
 このため、タイ政府は南部3県で非常事態宣言を続けている。クーデター後の新政府は対話による解決を呼びかけてきたが、テロは収まっていない。

◎タイの株価14.8%の急落、アジア危機時を上回る(2006年12月20日、読売新聞)
 【シンガポール=菊池隆】19日のバンコク株式市場は、タイ中央銀行が前日発表した通貨バーツの投機買い規制を嫌気し、主要株価指数(SET指数)の終値は前日比14.8%安と、1997年のアジア通貨危機時を上回る過去最大の下落幅となった。
 19日には下落幅が10%を超えた時点で30分間取引を停止したが、再開後も下落に拍車がかかった。昨年夏から上昇を続け、18日に9年半ぶりの高値水準となったバーツの対米ドル相場も下落に転じた。
 タイを含め高い経済成長を続けるアジア市場は、昨年から中東のオイルマネーなど世界の余剰資金が集まり、通貨や株式市場で高値が続いている。9月にクーデターが起きたタイも、タクシン政権下で続いた政局の混乱が収束したことで、投機資金の流入が加速していた。
 バーツ高騰に懸念を強めたタイ中銀は18日、外国人投資家が貿易や直接投資など実需を伴う取引以外で2万ドル以上のバーツを買う場合、取引額の30%を外貨のまま最低1年間、中銀に預けさせる規制を発表した。1年以内に資金を引き揚げる場合は中銀が一部を没収するとの内容で、外国人投資家の反発を招いた。

◎タイ戒厳令、バンコクなど一部解除(2006年11月29日、朝日新聞)
 タイ政府は28日の閣議で、全土に布告されていた戒厳令について、首都バンコクなど中部を中心とする41県で解除することを決定した。国王の承認を得て近く発効する。9月19日のクーデター以来約2カ月半ぶりの解除だが、タクシン前首相の地元チェンマイなど北部やテロが下火にならない南部、国境地域などは据え置かれ、対象は全国の約半分にとどまった。
 バンコクは解除されないとの見方が強かったが、ブンロート国防相は閣議後、「国際的な批判と観光への影響を考慮した」と理由を説明した。
 無血クーデター後、全国的に治安は安定していたが、前首相の帰国や支持者の巻き返しをめぐる軍や政府首脳の警戒心は強く、解除時期をめぐる発言は揺れに揺れていた。国際社会から早期解除を求める声が次第に強くなり、来月5日の国王の誕生日が一部解除のめどと見られていた。

◎脱北者か、タイ中部の民家に潜む59人拘束(2006年11月29日、読売新聞)
 タイ中部のパトムタニ県の警察は28日、民家に潜んでいた59人(うち子供9人)を密入国の疑いで拘束した。「北朝鮮から来た」と語っており、警察では脱北者とみて、本格的に調べる。
 警察によると、59人は身分を示す書類をまったく持っていないという。

◎資生堂、タイに研究開発拠点を新設(2006年11月5日、日本経済新聞)
 資生堂はタイに商品の研究開発拠点を新設した。バンコクの「タイ国立遺伝子・生物工学センター」内に「東南アジアリサーチセンター」を設置。消費者の動向や化粧品原料となる現地のハーブなどを研究するほか、化粧品成分に関する法規などを調査する。日本の化粧品大手がタイに開発拠点を設置するのは初めて。
 資生堂は2005年、中国の研究開発拠点「資生堂(中国)研究開発中心」の総面積を約10倍に拡大するなど既存拠点の整備を進めてきた。今後は現地専用ブランドを立ち上げる体制を整え、仏ロレアルなど巨大メーカーが強い欧米での売上高拡大を目指す。05年度に3割弱の海外売上高比率を10年度までに4割に引き上げる計画。

◎脱北者百人をバンコク周辺で拘束、有力脱出ルートに(2006年10月24日、朝日新聞)
 北朝鮮から逃れてきた脱北者とみられる96人が、20日から24日にかけてバンコク周辺でタイ当局に拘束された。脱北者を支援する韓国の教会関係者が24日、明らかにした。タイでは8月にも脱北者175人が一斉に拘束されており、タイが有力な脱出ルートになっている実態が改めて浮かび上がった。
 関係者によると、脱北者らはそれぞれ中国などを経由してタイ国内に入った後、バンコクにある韓国の教会の保護のもとでアパートなどに潜んでいた。20日に10人が、24日に86人が不法滞在などの疑いで警察・入管当局に連行されたという。
 ほとんどが韓国行きを希望しているといい、タイ当局は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力して韓国に送るとみられる。

◎タクシン前首相、資産持ち出し?スーツケース114個(2006年9月26日、読売新聞)
 【バンコク=川辺徹】AP通信やタイ各紙によると、タクシン前首相がクーデターで政権を追われる前、航空機で大量のスーツケースを運んでいた疑惑が浮上している。
 クーデターの動きを事前に察知した首相が、資産の一部をすでに海外に持ち出した可能性も指摘されている。
 タイ国際航空職員がAP通信に明らかにしたところでは、前首相はアジア欧州会議(ASEM)出席のため9日にバンコクを出発。フィンランドに向かった際、航空機には58個の大型スーツケースやトランクが積み込まれたという。
 また、外遊を続ける前首相と合流するために送られた後発機もスーツケース56個を運んでいたという。同機はクーデター2日前に出発したとされるが、職員によると、追加便が必要だった理由は明確でないといい、疑惑に拍車をかけている。

◎タイ・クーデター:内幕、前首相の非常事態宣言察知、決行(2006年9月24日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟、浦松丈二】タイ国軍による19日夜のクーデターは、タクシン首相が20日に非常事態宣言を予定しているとの情報を国軍が入手し、先手を打って前夜に決行されたことが23日分かった。国軍関係者が毎日新聞に明らかにした。クーデター決行が1日遅れていれば、タクシン氏による非常事態宣言が発効してクーデターが未然に防がれていた可能性が高く、政権と国軍による水面下でのぎりぎりの駆け引きが行われていたようだ。
 国軍関係者によると、クーデターを首謀したソンティ陸軍司令官ら軍高官は、政治混乱を終わらせるため、今月初めにクーデター計画を決め、決行のタイミングを計っていた。
 ところが、タクシン氏がクーデター計画を事前に察知。20日夜に首相退陣を要求する市民団体の集会が予定されていたのに合わせ、首相支持の住民や警官隊を動員して集会参加者との衝突状況を作り出し、混乱収拾を名目に非常事態を宣言して権力維持を図るとのシナリオを描いたという。
 これに対し、ソンティ司令官らは数日前に非常事態宣言の情報を入手し、宣言が予定された前夜というぎりぎりのタイミングを選んでクーデター決行に踏み切った。
 19日夜、国連総会出席のためニューヨークを訪問していたタクシン氏は、国軍によるクーデターを知り、同日午後10時(日本時間20日午前0時)過ぎにテレビを通じて非常事態を宣言し、クーデターを阻止しようとした。しかし、この時点では既に国軍は首相府や国会議事堂など主要個所に戦車や兵士を動員して首都バンコクを制圧しており、非常事態宣言は手遅れとなって効力を発揮しなかった。
 国軍がクーデターを計画した理由は(1)タクシン氏に王室を軽視する発言が目立ち、王室を擁護するためには首相の排除が不可避だった(2)タクシン政権の汚職体質が深刻化していたのに、ばらまき型政治によってやり直し選挙でも与党勝利が予想され、クーデター以外にタクシン政権を断ち切る手段がなかった−−という判断が強く働いたという。

◎タイ:新国際空港28日開港、アジアのハブ空港争いし烈に(2006年9月25日、毎日新聞)
 タイ政府がバンコク郊外に建設している「スワンナプーム新国際空港」が完成、28日に全面開港する。現在のドンムアン空港の5倍の敷地を持つ大空港で、アジアの空港では羽田に次ぐ年間4500万人の利用客を見込む。新空港の開港によりアジアでのハブ空港争いは一層、し烈さを増すことが予想される。【バンコク藤田悟】
 先週のクーデターで実権を握った「民主改革評議会」は24日の会合で、新空港の「28日開港」の日程に変更がないことを確認した。すでに15日から国内線を手始めに一部移転が始まっており、28日から全面開港する。
 「スワンナプーム」はタイ語で「黄金の地」を意味し、プミポン国王が命名した。バンコク中心部から東に約35キロ。この地に空港を建設する構想は半世紀近く前からあった。だが、政治混乱やアジア経済危機などで実現は遅れ、着工したのが2000年。当初は昨年9月の開港予定だったが、手荷物検査機の発注を巡る不正疑惑や工事の遅れで再三延期された。
 全面ガラス張りの華麗なターミナルは7階建て延べ56万3000平方メートル。ドンムアン空港の2倍近くで、一つの屋根に収まるターミナルとしては世界最大を誇る。国際線と国内線のターミナルを一体化し、乗り継ぎの便を図った。滑走路は4000メートルと3700メートルの2本を備え、1時間に76便の離着陸が可能だ。
 ドンムアン空港は既に利用客の取り扱い能力を超えていた。タイ政府は08年の年間空港利用客を4500万人と見込んでいる。ターミナルはさらに年間5400万人が利用できるように拡張し、将来的には滑走路を4本にして年間1億人が利用できる巨大空港へと拡大する構想もある。
 タイの新空港登場を意識し、アジアのハブ空港争いを演じる周辺国もそれぞれ対抗策を打ち出している。シンガポールのチャンギ国際空港は第3ターミナルを建設中で08年に完成予定だ。昨年3月からは、設備を簡素化して利用料を低く抑えたバジェット・ターミナルを開設し、格安航空会社の誘致に努めている。
 98年に開港したマレーシアのクアラルンプール新国際空港では、ターミナルの拡張によって08年には年間3500万人が利用可能となり、さらに拡張する計画だ。
 タイ旅行業者協会のアピチャート会長は「タイは現在、シンガポールや中国、ベトナムなど周辺国と厳しい観光客の争奪戦を演じている。新空港の開港は観光客を引き寄せる有利な材料となるが、外国語が話せる人材の育成など、サービスの向上を伴う必要がある」と指摘する。

◎クーデター主導者、タイ国王が評議会議長に任命と発表(2006年9月21日、読売新聞)
 【バンコク=太田誠】タイのクーデターで実権を掌握した「民主改革評議会」は20日夜、テレビを通して声明を発表し、クーデターを主導したソンティ陸軍司令官(59)がプミポン国王(78)から評議会議長に任命されたと発表した。
 声明が事実であれば、クーデターは国王の承認を受けたことになり、今後の政治改革を推進する正統性を得たことになる。
 クーデター後、国王の意向が間接的とはいえ示されたのは初めて。声明によると国王は、「国民は平穏を保ち、政府職員はソンティ将軍の命令に耳を傾けるべきである」とも述べた。
 同司令官はこれに先立ち20日昼、バンコクの陸軍司令部で外交団や記者団などと会見し、「2週間以内に暫定憲法を制定し、暫定首相を選んだうえで、文民政府に権限を移譲する」と表明した。
 司令官は、新憲法の起草については、「1年程度かかるだろう」と述べ、総選挙の実施と本格的な民主政権の誕生は、来年9月以降になるとの考えを示した。
 暫定首相について、地元メディアは、タイ中央銀行のプリディヤトーン総裁が有力と報じている。
 一方、タイの英字紙ネーション(電子版)によると、ニューヨーク滞在中に首相の座を追われたタクシン氏は、側近とともにロンドンに向かうのに際し、記者団に対し、「こんなことになるとは予想しなかった」としたうえで、「民主改革評議会と話し合う機会があると信じている」と述べた。

◎タイクーデター、司令官が暫定首相(2006年9月21日、産経新聞)
≪2週間内に文民政権移行≫
 【バンコク=岩田智雄】軍事クーデターにより実権を掌握したタイのソンティ陸軍司令官は20日、2週間以内に暫定新憲法を制定したうえ文民政権に権限を移譲し、1年以内に総選挙を実施すると表明した。また、プミポン国王は同日、ソンティ司令官が、軍や警察のリーダーによる「民主改革評議会」の議長となり、タクシン首相に代わる暫定首相に就任することを承認した。
 国連総会出席のため、ニューヨークに滞在していたタクシン首相は19日、予定されていた国連演説を中止し、邸宅のあるロンドンに向かい、2001年に誕生したタクシン政権は外遊中のクーデターで崩壊した。
 タイでのクーデターは91年以来15年ぶりだが、1932年の立憲革命以降、20回以上のクーデターが起こっている。
 20日午前、テレビを通じ国民に向けた声明を発表したソンティ司令官は、クーデターが国の安定のためであることを強調。タクシン首相を「国王に対し不敬罪に近い言動を繰り返してきた」と強く非難した。軍は同日、チャチャイ副首相兼法相とプロミン首相首席補佐官、首相の義弟であるソムチャイ法務次官らを拘束した。
 ソンティ司令官は同日午後には、バンコクの陸軍司令部で日本を含む駐タイ大使ら各国の外交関係者らに事情を説明した。同司令官は当面、暫定首相を務めるが、2週間以内に文民政権に権力を譲ることを明言。その後、文民政権の下、1年以内に新憲法が制定され、総選挙が実施されるとの見通しを示した。
 タクシン首相はクーデターが発生した19日、ニューヨークからテレビを通じ非常事態宣言を発令し、ソンティ司令官を解任、ルアンロー国軍司令官が陸軍司令官を兼務すると発表したが、軍はそのまま政府施設やテレビ局を占拠した。
 ソンティ司令官ら評議会首脳部はクーデター直後の20日未明、プミポン国王に拝謁。国王は同日、同司令官を正式に民主改革評議会の議長に任命した。

◎タイ次期首相候補に4人の名、国王に近い人物ら(2006年9月21日、朝日新聞)
 軍のクーデターでタクシン政権が崩壊したタイで、全権を掌握した「民主改革評議会」が次期首相の人選を進めている。同評議会は「立憲民主主義を尊重する人物が適当」とだけしているが、地元メディアではすでに、中央銀行総裁や枢密院議員ら4人の名前が取りざたされている。
 地元メディアが「候補」と報じているのは、タイ中央銀行総裁のプリディヤトーン氏、枢密院議員のスラユット氏、王室系の財団事務総長のスメット氏、最高行政裁判所長官のアカラトーン氏。
 中央銀行総裁のプリディヤトーン氏は、90年代に商務副大臣も務めた。地元記者は「政争やクーデターで信頼を失いかねない経済のかじ取りへの期待」がある、とする。
 スメット氏も過去に国家経済社会開発庁長官を務め、経済政策に明るいうえ、王室系財団事務総長として国王にも近い。
 スラユット氏は陸軍司令官、国軍最高司令官を歴任し、国王側近のプレム枢密院議長に近い。改革評議会がクーデターの理由の一つに、タクシン首相の国王への「不敬」を挙げていることから、「国王に近いほど安心感がある」との声も出ている。
 最高行政裁判所長官のアカラトーン氏は、過去に憲法起草作業にもあたった経験がある。
 改革評議会は次期首相を2週間以内に選出するとしている。ただ、次期政権は新憲法を制定する暫定内閣となる予定で、1年以内に総選挙が実施され、再び新たな首相が選ばれることになる。

◎タイ陸軍のクーデター、84%が支持、世論調査(2006年9月21日、朝日新聞)
 バンコクの公立大が約2000人を対象に20日実施した緊急世論調査では、軍のクーデターへの支持率が約84%に達した。理由として「政治的な混乱が収まる」を挙げた人が多かった。一方で、約16%が「国のイメージダウンになる」「政治への信頼が低下する」などの理由から反対と答えた。
 また、約75%が政治が「改善に向かう」と答え、「後退する」の4.7%を大きく上回った。
 街には装甲車や銃を持った軍人の姿があるものの、衝突もなく平穏だ。首相府の近くで雑貨店を営む男性(30)は「クーデターといっても静かだし、これで政治の混乱が収まるんであればその方がいいよ」と話す。
 陸軍司令部前では、警備に当たる兵士にバラの花を渡す若い女性や、「市民は軍の行動を支持する。クーデターがなければ我々が抗議デモをしただろう」と叫ぶ男性の姿などが見られた。
 一方、ビルの清掃を仕事にしている女性(43)は「私は首相をずっと支持していた。貧しいものの味方だから。なぜこんな結末になるのかわからない」と、顔を曇らせた。

◎タイ投資熱に冷や水、工場停止も、クーデター影響(2006年9月21日、朝日新聞)


 タイで発生したクーデターを受け、進出している日本企業の一部は工場の操業を止めるなどの対応を迫られた。タイは、日本の自動車や電機産業の一大生産拠点。今のところ経済への影響は長期化しないとの見方が多いが、「政治リスク」が高まれば投資意欲にも影響しかねない。日本政府がタクシン政権との間で大筋合意していた経済連携協定(EPA)の先行きに、不透明感が出てきたとの見方もある。
 タイ政府が自動車産業育成策「アジアのデトロイト」構想を掲げていることもあり、日本の自動車各社はタイでの現地生産に力を入れてきた。
 トヨタ自動車のタイの生産拠点は日米に次ぐ規模。20日の日中は通常通り工場を操業したが、夜間は停止。21日は未定という。渡辺捷昭社長は20日、今後の影響について「どの程度かは様子を見ないと分からない」と述べた。日産自動車、いすゞ自動車は20日の操業を止め、21日以降の見通しも立っていないという。ホンダは20日の日中の操業を中止したが、夜には通常に戻る。
 松下電器産業はタイにグループ会社が21社あり、日本から社員160人が出向している。白物家電や電子部品などの生産拠点としているが、20日は全社を休業にし、タイへの出張も禁止した。
 日立製作所は、バンコク市内に本社を構えるエレベーター製造などグループ16社に限って休業とした。ソニーなどのように、同市内にある販売会社だけ休ませ、市外の工場は通常通り稼働させたメーカーも多かった。
 05年のタイへの国外からの直接投資額(認可ベース)は9775億円。97年のアジア通貨危機以来最高になり、日本はこのうち半分強の5154億円を占めた。日本企業は中国への投資を急速に増やした中でも、タイ重視の姿勢を続けてきた。それだけに政情不安は投資に水を差しかねない。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)が今年3月、東南アジアとインドに進出している日系企業に「中長期的に最適な生産拠点」をアンケートしたところ、タイが25%で最も多かった。中国は反日意識の高まりなどが懸念される一方、タイを支持する理由の筆頭は「政治・社会の安定性」だった。
 北城恪太郎・経済同友会代表幹事は「クーデターが早く終了して安定した政権ができることは、日本にとっても重要だ」と語る。
 タクシン首相の主導で昨年9月に大筋合意にこぎつけたEPAにも暗雲が漂う。
 今年4月には署名式の日程まで固まっていたが、タイの政局混乱の余波で突然延期。その後も署名のチャンスを探ってきたが、経産省幹部は「これでいつ署名できるか分からなくなった」とあきれ顔だ。
 しかも、合意内容はタクシン首相主導でまとめられたもので、タイ経済界には見直しを求める声もある。日本では「新政権の方針次第では内容が覆される可能性がある」との見方も出ている。

◎2週間で暫定憲法、新首相に権限移譲、タイ・クーデター(2006年9月20日、朝日新聞)
 タイで19日夜にクーデターを起こした「民主改革評議会」は20日、リーダーのソンティ陸軍司令官がプミポン国王に当面の行政府の長として承認されたとの声明を出した。評議会は同日、記者会見し、停止した現行憲法に代わる暫定憲法を2週間以内に制定し、文民の新首相に権限を移譲する方針を明らかにした。新政権下で1年以内に新憲法を制定、総選挙を実施するという。軍が権力を完全に掌握したことで、5年にわたったタクシン政権は崩壊した。
 タクシン首相は20日、国連総会に出席するため滞在していたニューヨークを空路で離れた。英外務省はロンドンに向かったことを確認した。
 民主改革評議会は陸海空3軍の司令官、国軍最高司令官、警察長官ら6人で構成する。ソンティ司令官は、「起草メンバーを選んで暫定憲法を制定し、評議会は2週間で役割を終える」と速やかな権限移譲を明言。「新内閣の人選は新たな首相に委ねる」と述べた。
 クーデターの理由については「首相の権力乱用や腐敗に国民の不満が高まっていた。収拾がつかなくなる前に行動する必要があった。国民の要望に応えるのが軍の使命だ」と正当化した。
 タクシン首相の帰国については「問題ない」とする一方で、「法に基づいて適切な扱いを受けるだろう」と述べ、脱税などで逮捕・訴追される可能性を示唆した。
 会見に先立ち、ソンティ司令官は各省の幹部を呼び通常通りの業務を指示、各国の駐在外交官には「外交政策に変更はない」と説明した。
 一方、評議会はチッチャイ副首相兼法相とプロンミン首相首席補佐官らタクシン首相の側近を陸軍司令部内で拘束した。首相の義弟のソムチャイ法務次官も拘束されているとの情報もある。

◎タイでクーデター、陸軍が実権掌握と発表(2006年9月20日、読売新聞)
 【バンコク=川辺徹】タクシン首相(57)の進退を巡って政治危機が続くタイで、陸軍が19日夜(日本時間20日未明)、地元テレビ局を通じ、「プミポン国王を長とする政治改革のための委員会が実権を掌握した」と発表した。
 首都バンコクの首相府付近には、戦車が展開し、軍が首相府を占拠したとの目撃証言もあり、陸軍によるクーデターとみられる。地元テレビは静止画像で放映しているほか、テレビ各局に軍兵士が入ったとの情報もある。
 タクシン首相はこの日、国連総会出席のため米ニューヨークに滞在中。首相府を通じて同日午後9時15分(日本時間同11時15分)、首都バンコクに非常事態宣言を発令するとともに、ソンティ陸軍司令官を解任すると発表した。首相は急きょ帰国の途についた。首相と反首相勢力がそれぞれ正統性を主張している状態で、タイの政治混乱は激しい権力闘争に発展した。
 タイ政府のスポークスマンは本紙に対して、「一部グループがクーデターを計画、憲法に基づく正統な政府を転覆しようとしたため」と非常事態宣言の発令理由を述べた。一方、陸軍関係者によると、午後11時(日本時間20日午前1時)現在、バンコクの陸軍司令部に幹部が集まり、緊急会議が開かれている。
 ロイター通信は、戦車10台が首都バンコクに向け移動を開始し、首相府を取り囲んでいると伝えた。英字紙ネーション(電子版)は、北部を管轄する第3、南部を管轄する第4管区の一部陸軍部隊が移動したとしている。市中心部では19日夜までに大きな戦闘は目撃されていない。
 タイ国軍は、タクシン首相の軍予備学校同級生を中心とする親首相派と、首相に批判的な反首相派に分かれている。
 タイは1932年に立憲君主制に移行後、未遂を含め16回のクーデターが起き、政治危機が深まると軍が政治に介入してきた歴史がある。今回の政治危機でも、クーデターや首相暗殺計画などの情報が頻繁に流れていた。

◎タイでクーデター、軍が全権掌握、憲法停止、戒厳令布告(2006年9月20日、朝日新聞)
 タイで19日夜にクーデターを起こしたソンティ陸軍司令官をリーダーとする「民主改革評議会」は20日未明、憲法を停止して全土に戒厳令を布告、「権力を掌握した」と発表した。さらに同評議会メンバーは同日午前、テレビで「国の統一を取り戻すためだ」として国民に支持を訴えた。国連総会出席のためニューヨーク滞在中のタクシン首相は、テレビを通じて非常事態を宣言したものの対抗しきれず、極めて厳しい立場に追い込まれた。
 バンコクでは、20日も首相府周辺などに戦車や装甲車が出動しているが、発砲などの混乱は起きていない。
 軍によるクーデターは91年以来15年ぶりで、ソンティ司令官らはすでに陸海空軍を統帥するプミポン国王にも面会し、情勢を報告したとしている。
 同評議会は陸海空3軍の司令官、国軍最高司令官、警察長官らで構成され、20日午前9時(日本時間同11時)に5人がテレビに出演し、政局の混迷による「国の分裂状態をコントロールする必要がある」と述べた。
 また、これに先立つ声明で「現政権は国内に分裂をもたらした」「腐敗に国民の不信が広がっている」などと首相の政治手法を厳しく批判した。
 同評議会は憲法の停止とともに、憲法裁判所や全閣僚、上院議員、下院議員の機能停止も併せて発表。新たな政府が樹立されるまでは、同評議会のリーダーが首相の役割を果たすとしている。
 一方で、「我々が国を統治するつもりはない。できるだけ早く主権を人民に返す」とし、選挙も近く実施されるとの見通しを示した。各省庁の高官らを20日午前9時から陸軍司令部に集めており、今回の事態や今後の方針について説明しているものとみられる。
 タクシン首相は19日夜、テレビを通じて非常事態を宣言し、ルアンロー国軍最高司令官に事態を掌握するよう指示したが、クーデター派の動きを封じ切れなかった模様だ。首相は、現地時間の19日夜に予定されていた国連総会での演説もキャンセルした。
 また、AFP通信によると、チッチャイ副首相が同評議会によって拘束されたとの情報がある。
 バンコクの中心部では20日も、軍の戦車や装甲車が政府庁舎の周辺などを封鎖している。同評議会が20日を「休日」としたことから、役所や銀行、証券取引所なども閉鎖されたままで道路を走る車の数、人通りともに少ない。街の要所に銃を持った軍人らが配置されているが、通行する車への検問などもなく平穏を保っている。
 また、19日夜から通常番組を取りやめ、断続的に出される同評議会の声明を放映していた各テレビ局は、20日午前の同評議会の会見放映後から通常の番組に戻った。CNNやNHKなど海外からのテレビ放送は一時映らなくなり、地元メディアのウェブサイトもつながりにくい状態になった。

◎現行憲法を停止、全土に戒厳令、タイ陸軍が発表(2006年9月20日、朝日新聞)
 クーデターを決行したタイ陸軍は20日未明、現行憲法を停止し、全土に戒厳令を敷いたと発表した。クーデターを主導したソンティ司令官は声明で「国の分裂を招いた」とタクシン首相を非難するとともに、権力を速やかに国民に返還する考えを表明した。バンコクの中心街には戦車や装甲車が出動しているが、クーデターに伴う暴動や衝突などは発生していない。

◎「バンコクを掌握」と宣言、タイ陸軍、テレビ各局を占拠(2006年9月20日、朝日新聞)
 タイ陸軍は19日夜、テレビ各局を占拠し、「陸軍と警察により、行政の改革を行う」と発表した。ソンティ陸軍司令官を中心とする事実上のクーデターで、「短期間で政権を国民に返す」としている。バンコク市内では暴動などは起きていない。同国で陸軍によるクーデターは15年ぶり。
 陸軍はテレビで「バンコクなどを掌握した」と宣言。「国が分裂し、行政の汚職も起きている」と行動を起こした理由を説明した。首相府や旧国会議事堂前には装甲車や部隊などが集結した。
 この宣言は、タクシン首相が外遊先の米国からテレビ局を通じ、「クーデター阻止」を理由としてバンコクに非常事態宣言を発令した後に発表された。

◎混迷政局に軍介入、反タクシン派が強行(2006年9月20日、朝日新聞)
 2月から続いたタイの政局混迷は、軍の介入を招いたことで、最悪の展開に突入しようとしている。タクシン首相派と反首相派による政争は選挙や国王による「仲裁」を経ても一向に収まる気配を見せず、軍の一部にフラストレーションがたまっていた。軍の人事への介入をはかる首相への反感もあいまって、タイの政治は過去の悪習を再び繰り返そうとしている。
 タイの政治は過去、政局が混迷するたびに軍がクーデターを起こすという繰り返しだった。しかし、92年、軍事政権と民主化を求める市民が衝突して多くの犠牲を出し、プミポン国王が裁定して民主政権が発足して以降は、軍は政治への介入を控えてきた。タクシン政権の誕生以降もそれは続いてきた。
 その状況を変えるきっかけをつくったのは、首相一族の株取引疑惑だった。度重なる国王の「忠告」にもかかわらず強引な政治手法を続ける首相の姿勢に対して、市民の間に一気に不満が高まり、首相派と反首相派の対立は抜き差しならなくなった。
 このころから、「社会対立の解消」を口実にした軍による介入のうわさが絶えなくなった。これに対し、首相は軍の人事への介入で対抗をはかり、自分の側近だけで軍幹部を固めようとした。この動きが最終的に、軍内部の反タクシン派を直接行動に走らせたとみられる。
 首相は首都に非常事態を宣言し、軍内の親タクシン派を総動員して事態を収拾しようとしているが、市内では両派の衝突がすでに起きているという情報もある。
 ただ、政局の混乱の中でもクーデターを望む市民は少なく、軍の行動が支持を得る可能性は少ない。軍の介入で一層、社会が混乱に向かう可能性も否定できない。

◎タイでクーデターか、首都に非常事態宣言発令(2006年9月20日、朝日新聞)
 タイのタクシン首相は19日夜、国営テレビを通じてバンコク市内に非常事態宣言するとともにルアンロー国軍最高司令官に陸軍司令官を兼務する辞令を出した。ソンティ陸軍司令官によるクーデターに対抗するためだとしているが、テレビでは「陸軍司令官がバンコク全域を掌握している」と放送している。解任された形のソンティ氏が軍を掌握している模様だ。バンコク市内では、首相府周辺など主要な交差点に戦車が出動しており、政局の混乱が続くタイ情勢は極めて緊迫している。
 スメット・チャイパタナ財団事務総長が次期首相に就任するとの説が流れている。同財団は王室に属している。
 タクシン首相は国連総会に出席するため、ニューヨークに滞在中。テレビでは電話を通じて「バンコクは今、非常に危機的な状況にある」と述べ、非常事態を宣言するとともに、国軍最高司令官に事態を掌握するよう指示した。
 ロイター通信などによると、バンコクの中心部で19日夜、タイ軍の戦車が政府庁舎の周辺を封鎖した模様だ。タイ中心部にある首相府を含む官庁街で、戦車10台が展開しているのが目撃された。高級ホテルやオフィスが並ぶ中心部のビジネス街でも、軍の装甲車などが走行し、部隊の移動が行われているという。
 AP通信によると、バンコクの官庁街のほかビジネス街など主要拠点数カ所に兵士数百人が配置された。クーデターに関与した部隊の兵士か、タクシン首相の非常事態宣言によって動員された兵士かは分からない。AFP通信は、政府庁舎の一部を兵士が占拠していると報じた。
 また、陸軍系のテレビ局では19日夜から、通常番組の放送を停止し、タイ王室の映像と厳粛な音楽を流し続けているという。中国国営の新華社通信は、バンコクの軍事筋の話として「クーデターが行われる寸前だ」という情報を配信した。
 タクシン首相は、国連総会に出席のためニューヨークに滞在中だったが、急きょ帰国の途についたとの情報もある。タイの国連代表部によれば、首相は現地時間の19日夜に国連総会で演説し、20日夜、バンコクに戻る予定だった。
 タイでは、首相一族の株取引をきっかけに政局が混乱し、同首相は2月に下院を電撃解散した。4月の下院選は、主要3政党がボイコットする中で行われ、与党・タイ愛国党が過半数の票を得たものの、大量の白票による定員割れを受け首相はいったん、退陣を表明した。その後、憲法裁判所がやり直しを命じた。今年中にやり直し選挙が行われる見通しだが、首相は自らの去就について明言を避け、政局は不透明な状況になっている。

◎タイ:スワンナプーム新国際空港、一部運航を開始(2006年9月15日、毎日新聞)
 タイ政府がバンコク郊外に建設しているスワンナプーム新国際空港で15日、一部路線の運航が始まった。28日には現在のドンムアン空港からの移行が完了し、全面開港する。

◎タイ:ビザなし滞在90日限度に、長期滞在の抜け道ふさぐ(2006年9月17日、毎日新聞)
 タイの入国管理当局は15日、日本や米国など41カ国の外国人を対象とする査証(ビザ)免除制度を10月1日から改正し、ビザなしで滞在できる日数について、6カ月当たり90日を限度とすると発表した。出入国を繰り返すことで、ビザを持たないまま長期滞在が可能になる現行制度の抜け道をふさぐ狙い。
 入管当局によると、これらの国の外国人がタイを訪れる場合、30日以内の観光目的に限りビザを免除してきた。しかし、滞在期限が切れる直前に隣国カンボジアなどに出国、すぐに再入国して新たに30日の滞在資格を得る外国人が後を絶たない。
 出入国を繰り返して長期滞在し、英語教師などとして不法就労する欧米人や日本人も多いという。(バンコク共同)

◎タイ南部の中心都市で爆弾数個さく裂、4人死亡(2006年9月17日、読売新聞)
 【バンコク=川辺徹】タイ南部の中心都市ハジャイのショッピングセンター前などで16日午後9時(日本時間同11時)ごろ、数個の爆弾がさく裂し、4人が死亡、30人以上が負傷した。警察当局者が地元テレビに語ったところでは、計5か所で約5分おきに次々と爆発が起きたという。
 タイ南部では、分離独立を求めるイスラム過激派によるとみられる爆弾事件などが続発している。陸軍司令官はこの日、テロ警戒を強めるよう指示を出したばかりだった。

◎銀行20カ所で同時テロ、1人死亡30人負傷、タイ南部(2006年9月1日、朝日新聞)
 タイ南部のヤラー県で31日、銀行の支店20カ所で相次いで爆発があり、1人が死亡、約30人が負傷した。約2年半で1400人を超す犠牲者を出している同地域のテロ事件ではこれまで単発的な爆発や銃撃が多かったが、6月以降、犯行グループが組織力を誇示する形の同時多発型の爆破事件が続いている。
 現地警察などによると、爆弾は銀行のごみ箱や駐車場などに仕掛けられ、死傷者の多くは、現金自動出入機(ATM)から現金を引き出すために並んでいたという。月末で混雑していた。学生服を着た若い男たちが本に隠した爆発物を置き去ったとされ、10歳代の4人が逮捕されたという。
 31日は分離独立を掲げるイスラム教徒反政府組織「ベルサトゥ」の設立記念日でもあり、タイ当局は関連を調べている。
 タイ南部では8月初旬、100カ所に及ぶ同時多発テロがあり、警官ら3人が死亡。6月にも約50カ所で同時爆発があり、2人が死亡した。犯行グループが組織力を増していることは確実だ。

◎タイ最南部4県、爆破・放火テロが連続127件(2006年8月2日、読売新聞)
 【バンコク=太田誠】タイ警察当局によると、イスラム武装勢力の反政府活動が続くタイ最南部の4県で、1日夜から2日にかけ、爆破や放火が連続して計127件発生した。
 タイ最南部では、タイからの分離独立を求めるイスラム過激派が2004年1月以降、頻繁に銃撃や爆破などを続けているが、一度に行われたテロ行為としてはこれまで最多となった。
 ソンクラー県では鉄道橋が爆破され、線路の安全点検に加わっていた警官3人が死亡した。軍当局者は2日、容疑者4人を逮捕したことを明らかにした。
 警察当局によると、04年1月以降の最南部での死者は1423人に上る。

◎国王の回復願い、タイ国民が祈り(2006年7月21日、朝日新聞)
 タイのプミポン国王(78)が20日夜、バンコクの国立シリラート病院で椎間板(ついかんばん)の手術を受けた。10年来、歩くときに痛みを感じていたとされる。病院の周りには、国王を敬う黄色のシャツを着た市民多数が集まり、早期の回復を祈った。反タクシン首相派の市民団体は「全快まで」と、近く再開を予定していた街頭抗議活動を延期した。
 全国の寺にも多くの人が集まり一斉に祈りをささげた。政府は全国に設けた記帳所に1000万人以上が訪れるとみている。
 国王は先月、即位60年の式典をすませたあと、王宮内で転倒、肋骨(ろっこつ)を痛めた。今回の手術との関係は明らかになっていない。今回の手術は成功し、経過は順調とされるが、回復までに数週間かかるとみられている。

◎タイ検察庁、与党など5政党を起訴(2006年7月7日、産経新聞)
 【バンコク=岩田智雄】タイ検察庁は6日、タクシン首相率いる与党・タイ愛国党や最大野党・民主党など5政党を政党法違反で憲法裁判所に起訴した。憲法裁は、13日に事件を受理するかどうかを判断するとしている。
 愛国党に対しては、4月2日に行われた下院選を成立させるため、小政党に資金提供して立候補者を擁立させた疑いが持たれている。民主党については、下院選をボイコットしたり、小政党に資金提供を行い、愛国党を告発させたことなどが同罪に当たるとされている。
 憲法裁は下院選の無効とやり直しの裁定を下し、出直し選挙は10月に実施される予定。裁判で愛国党や民主党に解散命令が下されれば、政局が再び混迷する可能性もある。

◎タイ南部で3日連続の爆弾テロ、ホテル従業員1人死亡(2006年6月18日、日本経済新聞)
 【バンコク18日共同】タイ南部ヤラ県ヤラのホテル内にあるカラオケラウンジで17日夜、爆弾が爆発、女性従業員1人が死亡、居合わせた客ら2人が負傷した。ヤラ県など南部では15日から爆弾テロが3日連続で発生、死者は計3人、負傷者は20人以上になった。
 捜査当局は、一連の爆弾テロは南部の分離独立を主張するイスラム武装勢力の犯行とみている。地元紙は、背後に大規模な麻薬組織の介在を指摘、麻薬組織がイスラム過激派の資金源となっている可能性も出てきた。
 タイ南部のヤラ、ナラティワット、パタニの3県では、15日から警察署や繁華街などで爆弾テロが続発。警察によると、爆弾が仕掛けられた場所は3県で約50カ所に上るという。
 南部では2004年1月からイスラム過激派の犯行とみられる爆弾テロや射殺事件が激化しており、これまでに約1200人が死亡したとされる。

◎タイ首相が批判勢力を告訴・訴訟、「休戦」から政局混迷へ(2006年6月18日、朝日新聞)
 タイのプミポン国王の即位60年を祝う行事が終わった途端、タクシン首相が野党やマスコミを名誉棄損で訴えた。批判勢力への告訴や訴訟は、かつて国王にたしなめられた戦術。国王が「国民の結束」を呼びかけたにもかかわらず、反首相派との対立が再燃するのは必至の情勢だ。
 首相が訴えたのは、「国から搾取する亡霊」などと首相を批判した最大野党・民主党の幹部や、発言を報じた地元3紙の発行人ら。祝賀行事が終わった翌14日に名誉棄損で告訴し、8億バーツ(約24億円)の損害賠償を求める訴訟も起こした。
 首相はその数時間前に「国が平和なら国王は安心されるだろう」と述べ、対立陣営に和解を呼びかけたばかりだった。「祝賀休戦」のムードだった野党側からはさっそく「国王の助言に反する」と批判の声があがった。
 首相は昨年、批判的なメディアに対して告訴や訴訟を連発。国王にたしなめられ、すべて取り下げた経緯がある。
 政局は再び混迷に向かいそうな様相。「政治家は国王のメッセージに留意すべきだ」(バンコク・ポスト紙社説)と、自制を呼びかける声があがっている。

◎両陛下、タイ国王即位60年式典にご出席(2006年6月13日、産経新聞)
 【バンコク=河嶋一郎】天皇、皇后両陛下は12日午後、バンコクのアナンタ・サマーコム・ホール(旧国会議事堂)で開かれた、プミポン国王(78)の即位60年を祝う式典に出席された。
 両陛下は、参列25カ国の王族らのうち、22番目に会場に入り、国王と笑顔で握手を交わされた。
 旧知の王族らとも和やかにご歓談。続いて国王夫妻を中央に、参列者全員で記念撮影された。タイのタクシン首相の祝辞のあと、国王は「世界各国から、平和と協調のためにいらしてくれたことに対してお礼を申し上げます。皆さんとタイ国民すべてをあらゆる災害と災厄から守り、幸福であるように心から祈ります」と述べた。
 このあと、両陛下は王宮そばを流れるチャオプラヤー川で、伝統的な王室船のパレードを各国の王族らとともにご覧になった。
 バンコクでは、いたるところに国王の大きな写真が掲げられており、王室を表す黄色の服やリストバンドを身につけた市民が多く見られ、祝賀ムードに包まれた。

◎タイ:国王即位60年行事、タクシン首相が存在感を回復(2006年6月11日、毎日新聞)
 【バンコク浦松丈二】タイのプミポン国王即位60年の祝賀式典が12、13の両日、バンコクに世界25カ国の王族・皇族らを迎えて行われる。先週後半からの各種記念行事では、退任表明・休養宣言したタクシン首相が公務に復帰して仕切り役を務め、急速に存在感を回復してきた。首相の「復権」を警戒する市民団体はデモを再開する構えで、祝賀行事が一段落する今週後半に政治対立が再燃しそうな様相だ。
 「タイが危機を乗り越え、安定を維持できているのは国王の献身のおかげだ」。タクシン首相は9日、国王即位60年の祝賀に集まった国民に向けて演説した。映像は全国にテレビ中継された。
 首相は4月4日、辞任要求運動の高まりを受け、首相代理を任命して休養を宣言。しかし、「即位60年式典の準備」を理由に5月22日から公務に復帰し、記念行事の主催役を務めている。
 11日には天皇、皇后両陛下をはじめ大勢の王族・皇族がバンコク入りした。記念行事は12日の王室御座船運航と13日の国王主催晩さん会がハイライト。こうした華やかな演出の陰で、政争は「小休止」状態だが、賓客が帰国する今週後半には再び表面化するとみられる。

◎タイ北部、大雨で32人死亡(2006年5月24日、産経新聞)
 タイ北部を中心に降り続いた雨でウタラディット、スコタイなど5県で23日から洪水や土砂崩れが発生、救助当局によると24日までに32人が死亡、300人以上が行方不明となった。
 地元メディアによると、死者は100人以上に上る恐れがある。また5県で、計2000世帯以上が家屋を失った。政府は各地に救助隊を派遣したが、洪水などで道路や送電線などが寸断されており、救助活動は難航している。職務に復帰したばかりのタクシン首相も24日朝、スコタイなど被災地を視察した。(共同)

◎タイ総選挙やり直し、政治空白さらに2カ月(2006年5月9日、日本経済新聞)
 【バンコク=長尾久嗣】タイ憲法裁判所の総選挙やり直し判決は同国政局の混迷打開へ一つの道筋を示した。だが、早くとも7月初めとされる新政権発足までさらに2カ月以上は続くとみられる政治空白が、周辺国との経済連携など国策の停滞を招くのは必至。そうした中、いったん辞任を表明したタクシン首相の続投シナリオが浮上する兆しもあり依然、波乱要因も残る。
 やり直し選の期日は早期に設定できない事情がある。選挙日程の決定は選挙管理委員会の権限だが、憲法裁の14裁判官のうち6人が4月の総選挙の違憲理由に「解散から投票までの日数が37日間と短い」ことを挙げたためだ。

◎タイ総選挙やり直しへ、裁判所「無効」判断、野党も参加(2006年5月9日、朝日新聞)
 タイの憲法裁判所は8日、主要野党のボイコットで混乱が続いていた4月2日投票の下院選挙を「憲法違反があり、無効」と判断し、やり直しを命じた。この決定を受け、与野党はともにやり直し選挙への参加を表明した。タクシン首相が率いる与党が勝利するとの見方が強く、退陣を表明した首相の「復帰」も取りざたされている。
 選挙の有効性をめぐる訴訟を審理していた憲法裁はこの日、14人の裁判官が投票を実施した。その結果、投票所で記入台が他人から見える位置に置かれ、投票の秘密が侵された▽投票日が不当に早く設定された――との点を違憲と認める判断が8人で過半数を占めた。
 やり直し選挙の投票日は確定していないが、6月上旬から中旬にかけてプミポン国王の即位60年記念行事があるため、それを避ける形で設定される見通しだ。
 選挙をボイコットした主要野党は「裁判所の判断を歓迎し、やり直し選挙に参加する」と表明した。ただ、国内には与党・タイ愛国党が優勢との見方が強く、最大野党・民主党の幹部も「与党に勝つのは厳しい」と認めている。
 タクシン首相は投開票の直後に「混乱を回避する」として退陣を表明したが、与党内からは「選挙がやり直しになれば復帰は可能」との声が出ている。
 首相退陣を求める街頭デモを続けてきた市民団体は「首相が約束を守らなければ、再び混乱が起きるだろう」としており、首相が自らの去就をどう判断するかが今後の政局の大きな焦点になりそうだ。
 タクシン首相は一族の株取引疑惑に端を発した退陣要求の中で、2月下旬に下院を電撃解散。主要3野党はボイコットと白票投票の呼びかけで対抗し、再選挙を経ても法定得票割れで一部の議席が埋まらず、残りの議席は与党がほぼ独占する異常事態となった。
 この状況について国王が4月25日に「民主主義ではない」と批判し、裁判所に打開を求めていた。

◎タイで射殺の日本人、警察当局が身元を発表(2006年4月23日、朝日新聞)
 バンコク近郊で3月末に2人の日本人の射殺体が見つかった事件で、タイの警察当局は22日、2人の身元を東京都内の貿易商小島善雄さん(53)と、都内の会社社長久金辰也さん(52)と発表した。
 小島さんは知人に「誘拐された」と電話をしており、警察当局は2人が事件に巻き込まれたとみている。検視の結果、小島さんは3月25日ごろ、久金さんは同27日ごろに殺害された可能性が高いという。

◎タイの反首相派、繁華街でデモ攻勢・選挙まで1週間(2006年3月26日、日本経済新聞)
 【バンコク=長尾久嗣】4月2日のタイ下院選まで1週間となった26日、タクシン首相辞任とプミポン国王の仲裁を求める市民団体の支持者1万人余りがバンコクの目抜き通りをデモ行進した。3月中旬から占拠を続ける首相府周辺での大集会は25日が最後で、今後は市内各地でのデモ攻勢で退陣圧力を強めるという。
 市民団体は東南アジア最大規模の複合商業施設「サイアム・パラゴン」前などを行進し、周辺の交通が一時マヒした。指導者のひとり、新聞社経営のソンティ氏は「丁重な辞任要求はこれが最後だ」などと演説した。
 27日には首相の不正を追及するため警察本部へデモ行進し、29日にはサイアム・パラゴン前で徹夜集会を開く予定。市内での抗議行動を通じ、バンコク市民に退陣要求の正当性をアピールする。

◎タイ総選挙、少数政党の候補「与党がカネ」と暴露(2006年3月20日、朝日新聞)
 主要野党のボイコットで揺れるタイ下院の総選挙で、ボイコットに参加しないで候補者を立てた少数政党の関係者らが「与党からお金をもらった」と暴露したことで、騒ぎとなっている。選管は調査を約束。与党側は疑惑を否定して告訴の構えも見せているが、タクシン首相にとって手痛いスキャンダルとなりかねない様相だ。
 この少数政党は、小選挙区に20人の候補を擁立しているタイ国民発展党。幹事長ら3人が19日に記者会見して明らかにしたところでは、与党のタイ愛国党幹部から候補擁立の働きかけを受け、選挙資金も受け取ったという。さらに、急造候補の立候補資格を満たすため、選管の職員の協力を得て候補者のデータを書き換えた、とも証言した。
 選挙は、主要野党のボイコットによって、多くの選挙区で与党1人だけの立候補となると予想された。しかし、タイの選挙制度では、候補が1人の場合有権者数の20%以上を得票することが当選の条件。野党の地盤などでは法定得票割れに追い込まれ、当選議員が決まらない可能性がある。与党側はこうなることを恐れ、少数政党に対立候補の擁立を働きかけたとみられる。
 選管委員長は会見を受け、事実関係の調査を指示。与党や政府は疑惑をただちに否定した。

◎タイ:首相辞任要求、事態収拾の展望なく、持久戦の様相(2006年3月15日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのタクシン首相の辞任を要求する市民団体「民主主義のための市民連合」は15日も、バンコク中心部の首相府を取り巻き、座り込みは2日目に入った。一方のタクシン首相は、事態沈静化のため一時首相の座を降りる可能性に触れたが、今後の選択について明言は避けた。事態収拾の展望はなく、「持久戦」の様相を見せている。
 市民団体は首相府横の道路にテントを設置し、首相辞任まで座り込みを続ける方針を明確にした。日中の参加者は数千人程度だが、夕方からは数万人規模に膨らんでいる。
 首相は15日、遊説先の東北部で、事態収拾のため一時首相を降りるという提案について記者団に問われ、「良い提案だ」と返答した。だが、続けて「すべての選択肢を考えており、適当な時期に判断する」と述べ、対応は明確にしなかった。
 首相は前日、警察官僚出身のチャチャイ副首相兼法相を筆頭副首相に昇格させた。地元メディアでは「暫定首相任命の布石」との観測が広がっている。しかし、チャチャイ氏は首相の警察幹部学校からの親友。仮に暫定首相に任命されても、首相批判勢力が受け入れるかは不明だ。
 一方、15日付ネーション紙によると、国王の顧問機関である枢密院のプレム議長(元首相)は、12日夜にテレビ各局が92年の騒乱時に国王が関係者に和解を促した場面の映像を放映したことについて「(政権と批判勢力の)双方が都合よく解釈している」と懸念を表明した。政権側が「対立は良くないというメッセージだ」と解し、批判勢力側が「首相辞任を求めたものだ」と主張していることを指している。
 混迷の中、通貨バーツは大きな影響を受けず、バーツ高の局面が続いている。「いざとなれば国王が乗り出してくれるという期待がある」(市場筋)というタイ国民独特の心理構造が混迷状況を受忍する大きな要素となっているようだ。

◎禁止命令無視、1400人が逮捕、パキスタン、命懸けのたこ揚げ(2006年3月14日、産経新聞)
 【バンコク=岩田智雄】いくら止められてもたこ揚げだけはやめられない−。パキスタン東部のパンジャブ州で当局が春の祭り「バサント」でのたこ揚げが危険だとして禁止したが、これを無視する住民たちが続出、12日までに約1400人が逮捕される事態となっている。「バサント」では毎年、住民たちがたこ同士を戦わせるたこ合戦に熱中してきたが、最近は相手に負けないようたこ糸を金属やガラス繊維で強化することが流行。たこ糸が首に引っかかり、死亡したり負傷する事故が相次いでいる。
 たこ揚げの過熱を懸念した当局は祭りの前後の先月25日から今月15日の間に限りたこ揚げを許可していたが、解禁前に違反者が続出。家族とともにバイクに乗っていた3歳の少女の首にたこ糸がひっかかり死亡するなど、7人が死亡した。このため、当局は9日、たこ揚げの全面禁止に踏み切っていた。
 しかし、当局の命令にもかかわらず違反者が続出。AP通信によると、祝砲を撃ったり、大音響で音楽を鳴らしたりした住民も含め、10日から12日までに1430人が逮捕された。

◎タイ、首相退陣求め数千人が座り込み続ける(2006年3月15日、日本経済新聞)
 【バンコク15日共同】タイのタクシン首相の退陣を求める約10万人の市民がバンコクの首相府を包囲してから一夜明けた15日、数千人が同首相府周辺で前日からの座り込みを続け、周辺道路は反首相派に占拠された状態となっている。
 座り込みの参加者は14日夕からテントを設置、タクシン氏が辞任するまで包囲を続けるという。治安当局は「参加者が暴動などを起こさない限り」(警察幹部)強制排除はしない方針。
 首相府周辺を除くバンコク市内は平穏を保っているが、地元記者は「市内各地をバリケードで封鎖するような事態になれば、物流などに影響し市民に大きな打撃となる」と治安悪化などを懸念している。
 タクシン首相は4月2日の総選挙を控え、選挙運動のため東北各県を遊説中。反首相派は、首相がバンコクに戻る今月16日に合わせ、首相府前でタクシン氏をかたどった人形を焼くなどの示威行動を行う計画だ。

◎タイ:数万人が首相辞任要求デモ、バンコク中心部(2006年3月14日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】タイのタクシン首相辞任を要求する市民団体「民主主義のための市民連合」は14日朝、前夜から集会を開いていたバンコク中心部の王宮前広場から約2キロ離れた首相府までデモ行進を開始した。労働団体なども加わって10万人以上がデモに参加し、これまでで最大規模の抗議活動となった。
 首相府周辺では警官隊が待機し、厳しい警戒を敷いている。市民たちは国旗を手に「タクシン、出て行け」と叫びながら行進した。
 首相は同日、選挙運動遊説先の東北部に滞在し、ビデオを使った閣議を開催予定。これに対し、デモ隊は首相府前の道路を埋め、「首相が辞任するまでここで集会を続ける」と宣言した。

◎タイ:バンコクの元首相公邸前で爆弾爆発、2人負傷(2006年3月9日、毎日新聞)
 【バンコク藤田悟】9日午後、バンコク中心部のプレム元首相公邸前に仕掛けられた爆弾が爆発し、近くを歩いていた英国人とカナダ人の男性が軽いけがをした。元首相は邸内にいたが無事だった。
 タイではタクシン首相一族の巨額株売却を巡る政治対立が続いており、警察は社会混乱を狙った事件の可能性があるとみて調べている。元首相は現在、国王を補佐する枢密院の議長を務め、政治的には中立を保っている。
 タクシン首相は同日、選挙遊説先の東部で「問題は私にあるのではなく、敗北を恐れる野党によって引き起こされた」と述べ、主要3野党による総選挙ボイコットを批判。下院解散を正当化し、あくまで総選挙を決行する姿勢を示した。
 一方、バンコクのシンガポール大使館は同日、同国政府系投資会社による株購入の撤回を求める市民団体「民主主義のための市民連合」に対し、「取引は商業ベースによるもので、政府は一切関与していない」と回答した。市民団体は数日内にシンガポール製品の不買運動に踏み切るかどうかを決めるとしている。

◎タイ首相府に集結、辞任求める・6万人がデモ行進(2006年3月6日、日本経済新聞)
 【バンコク6日共同】タクシン・タイ首相退陣を求める5日のバンコクでの大規模市民集会に参加した約6万人の市民が同日深夜、会場の王宮前広場からデモ行進、首相府前に集結し6日未明まで首相辞任を求めて気勢を上げた。
 警察は首相府の敷地周辺などに多数の警官を配備し警戒したが、市民との衝突はなかった。反首相派による首相府での示威行動は、1月に数千人が押しかけて以来。
 反タクシン派のリーダーの1人、同国メディアグループ創設者のソンティ・リントンクン氏は首相府前で演説。タクシン首相が国会を解散したことについて「自らの失政を隠すためだ」と批判した。首相府入り口前に陣取った多数の市民は、タイ国旗などを振りながら「タクシン、出て行け」と叫んだ。
 タクシン首相は5日、北東部コンケンに滞在中だった。
 市民集会の主催者は参加者に対し、警察と衝突を起こさないよう要請、平和的な行動をアピールした。主催者は「首相が辞任するまで反政府集会を毎日続ける」としている。

◎バンコクで大規模な反タクシン集会・首相辞任求める(2006年2月26日、日本経済新聞)
 【バンコク=長尾久嗣】タイのタクシン首相辞任を求める市民団体や労働組合、チャムロン元副首相の率いる仏教団体などは26日、バンコク市内の王宮前広場で今月3度目となる大規模な反タクシン集会を開催した。午後5時(日本時間同7時)半過ぎで広場周辺には数万人が集結、政権打倒を訴えた。
 チャムロン氏は「首相辞任まで集会を継続する」と強調した。主催者側は最終的に10万人規模に膨らむと予想。警察は数千人体制で不測の事態に備えている。
 一方、タクシン首相は同日、バンコク郊外で公営住宅の開設式典に出席し「再選を果たして政策を継続する」と述べた。
 4月の下院選ボイコットを示唆していた野党3党のうち公衆党と最大野党の民主党は同日、タクシン氏と早急に会談し、中立的な憲法改正の実施機関を設立する妥協案を提示することで合意した。現憲法が規定する首相の強大な権限を見直すのが狙い。第二位野党の国民党も同日中に態度を表明する見通し。

◎タイ与党8議員が離党表明、反首相派は選挙不参加訴え(2006年2月26日、朝日新聞)
 下院の解散に踏み切ったタイのタクシン首相は支持固めに乗り出したが、25日には一部の与党議員が離党を表明、足元に揺らぎもみえている。一方、解散に反発する反首相派からは、選挙のボイコットを国民に呼びかける動きが出ている。
 首相は、与党のタイ愛国党員に向けた4ページにわたる手紙の中で、首相一族による株取引の経緯を細かく説明。税逃れなどの疑惑について「違法な点はまったくない」と否定した。
 また、首相は25日朝のラジオ演説で、最低賃金の引き上げや農民の負債軽減策、公務員の賃金引き上げに言及。「ばらまき」と批判されながらも有権者の支持を得てきた政策の継続を強調した。
 与党はこの日の会議で全選挙区に候補者を立てる方針を確認し、政権維持に自信を見せる。しかし、与党内で首相と対立していたサノ元内相ら少なくとも8人の議員が離党を表明するなど、亀裂も表面化した。
 民主党など野党3党もこの日、相次いで会議を開き、夕方からは合同で総選挙に向けた対応を協議した。「問題は議会ではなく首相本人にあり、解散では解決しない」としてボイコットを主張する意見が出たため、長時間にわたり議論したが、結論は26日に持ち越した。
 一方、数万人規模の街頭集会で首相に辞任を迫ってきた民主主義市民連合は25日、翌26日に予定していた反タクシン集会の実施を改めて確認。あくまで首相の退陣を求めるとして、国民や野党に選挙のボイコットを呼びかけた。

◎酒の広告、全面禁止へ、タイで規制強化(2006年2月6日、産経新聞)
 飲酒に起因する交通事故や犯罪を防ごうと、タイ政府はこのほど、酒類の広告を新聞やテレビなどで全面的に禁止する方針を決めた。東南アジアでは、アルコールに寛容で歓楽街も多いタイだが、今後は酒類販売が禁止されているイスラム国のブルネイに次いで「規制が厳しい国になるのでは」(外国人駐在員)との声も出ている。
 タイでは昨年、たばこの店頭での陳列を禁止するなど、嗜好(しこう)品販売に対する締め付けが厳しくなっている。これまでも青少年への影響に配慮し、テレビやラジオでの酒類の広告は午後10時から午前5時に限定していたが、今後は全面的に禁止。屋外の広告看板なども姿を消す。
 また、従来「18歳未満」としてきた青少年に対する酒類販売禁止年齢を「21歳未満」に引き上げ、ガソリンスタンドなどでの酒類販売もできなくなる。
 タイ保健省によると、1989年には年間約20リットルだったタイ国民の1人当たりアルコール消費量は、2003年には約58リットルに激増し、世界第5位。政府や教育関係者は、特に若年層の飲酒のまん延に対する危機感を強めている。

◎タイ、閣僚の辞任相次ぐ、苦境のタクシン首相(2006年2月5日、産経新聞)
 タクシン首相の強権的な政治姿勢や一族、側近の重用が国民の反発を呼んでいるタイで、2閣僚が相次いで辞任を表明した。ほかの閣僚にも辞任の動きが表面化しており、首相は失職の危機に直面した2001年の資産隠し疑惑以来の苦境に立たされている。
 メディアグループ創設者らによる反政府運動の激化などで首相への風当たりが強まる中、今月3日にウライワン文化相、翌4日には与党タイ愛国党副党首のソラアート情報通信技術相がそれぞれ辞任。タイのメディアによると、ソムサク労働相も辞任を検討している。
 ウライワン、ソラアート両氏は、愛国党の実力者サノ元内相の派閥に所属。サノ氏は最近、政治姿勢の違いから首相への反発姿勢を強めている。首相が創設した愛国党は、同国きっての富豪でもある首相の資金力をバックに結束しているが、他党からの移籍議員も多く党員の政治的背景はさまざまだ。
 首相は辞任の意思がないことを明言しているが、英字紙ネーションは「愛国党の一部幹部が政治危機打開に向け、首相退陣や議会解散などの選択肢の検討を始めた」と報じた。

◎タイ、閣僚の辞任相次ぐ(2006年2月5日、日本経済新聞)
 【バンコク5日共同】タクシン首相の強権的な政治姿勢や一族、側近の重用が国民の反発を呼んでいるタイで、2閣僚が相次いで辞任を表明した。ほかの閣僚にも辞任の動きが表面化しており、首相は失職の危機に直面した2001年の資産隠し疑惑以来の苦境に立たされている。
 メディアグループ創設者らによる反政府運動の激化などで首相への風当たりが強まる中、今月3日にウライワン文化相、翌4日には与党タイ愛国党副党首のソラアート情報通信技術相がそれぞれ辞任。タイのメディアによると、ソムサク労働相も辞任を検討している。
 ウライワン、ソラアート両氏は、愛国党の実力者サノ元内相の派閥に所属。サノ氏は最近、政治姿勢の違いから首相への反発姿勢を強めている。首相が創設した愛国党は、同国きっての富豪でもある首相の資金力をバックに結束しているが、他党からの移籍議員も多く党員の政治的背景はさまざまだ。

◎タイで首相退陣を求める集会とデモ、5万人以上が参加(2006年2月5日、読売新聞)
 【バンコク=太田誠】タイのタクシン首相退陣を求める約5万人の市民らによる大規模集会が4日夜、バンコクの旧国会議事堂前広場で行われた。
 2001年2月のタクシン首相就任以来、最大規模の抗議行動で、同首相は苦しい立場に追い込まれた。
 集会は、首相批判の急先鋒(せんぽう)となっているメディア企業創業者のソンティ氏などが呼びかけたもので、自由貿易や公益企業の民営化に反対するグループなどが参加。「タクシン辞めろ」などのシュプレヒコールを叫び、気勢を上げた。
 ソンティ氏らは、同日夜、国王が首相を解任できるようにする憲法改正を求めて嘆願書を国王に提出した。
 これに対しタクシン首相は4日、定例のラジオ演説で「退陣を迫るグループには屈しない」と強気の姿勢を崩していない。
 首相への国民の不満が高まっている背景には、首相一族による通信大手グループ持ち株会社の売却益が課税対象にならなかったことや、南部で頻発するテロに対し効果的な対策を取れないことなどがある。
 集会に参加したタマサート大学院生(30)は「腐敗がひどい。首相にとどまる権利も理由もない」と話していた。

◎タイ首相辞任求め大集会、強権政治に市民ら反発(2006年2月5日、産経新聞)
 タイのタクシン首相の辞任を求める大規模集会が4日、バンコクで開かれた。集会は同日夜まで続く予定で、同国メディアによると最終的に数万人が参加する見通し。2001年のタクシン政権発足後、最大級の反政府集会となる。
 集会は「反タクシン」を掲げる同国のメディアグループ創設者ソンティ・リントンクン氏が主催。市民団体や学識経験者のグループなども参加した。
 タクシン首相をめぐっては、強権的な政治姿勢や一族、側近の重用などが都市部を中心に国民の反発を呼び、首相一族が1月に行った巨額の株取引も「税金逃れ」などと批判を受けている。
 首相は4日朝、ラジオ演説で「私を辞めさせることができるのはプミポン国王だけだ」と述べ、国王による辞任勧告がない限り辞職はしないとの考えを明らかにしたが、反タクシンの動きは政権内部でも強まっている。
 3日にはウライワン文化相が政権への批判を理由に辞任しており、「集会で反首相の動きが加速すれば、政権内の亀裂は一層深まり、首相への退陣圧力が強まる」(タイ紙記者)との見方も浮上してきた。
 タクシン首相は実業家出身。1997年のアジア経済危機で打撃を受けた同国経済を立て直した強い指導力とともに、農村の貧困層に対する債務返済猶予などの政策が国民の支持を集めた。05年2月の総選挙では与党タイ愛国党が圧勝、同党が単独政権を樹立した。(共同)

◎治安悪化のタイ南部、緊急勅令を3カ月延長(2006年1月18日産経新聞)
 タイ政府は17日、同国南部3県を対象とした治安維持のための緊急勅令について適用期間をさらに3カ月間延長することを決めた。パタニ、ヤラ、ナラティワットの3県では南部の分離独立を掲げるグループなどによる襲撃が激化、これまでに1000人以上が死亡している。
 緊急勅令は首相に強力な治安維持権限を付与し、治安当局は捜査のための盗聴やメディアの検閲、令状なしでの容疑者拘束が可能。昨年7月に発布され、同10月に3カ月間延長されたが、近く期限が切れることになっていた。

◎タイ内務省前で爆発、けが人なし、当局はテロ否定(2005年12月18日、朝日新聞)
 タイ内務省の前で17日朝、爆発があった。壁の一部が破損したものの、けが人はなかった。警察当局は爆発の規模が小さいことや、防犯カメラにバイクで逃げる4人の若者が映っていたことなどから、タイ南部で続くテロとの関係については否定的な見方を示している。

◎タイ中部でスズメから検出、鳥インフルエンザ(2005年10月18日、産経新聞)
 タイ中部ラチャブリ県の畜産当局者は17日、同県内で野生のスズメからH5N1型の高病原性鳥インフルエンザのウイルスが検出されたと明らかにした。
 畜産当局者は「近隣の7県でも鶏などから鳥インフルエンザウイルスが検出されている」と述べた。タイ保健当局は、気温が低下し鳥インフルエンザ流行が懸念される11月ごろからの乾期を前に、人への感染などに警戒を強めている。
 昨年1月に鳥インフルエンザの発生が明らかになったタイでは、これまでに12人が死亡、防疫措置のため数百万羽の鶏など家禽(かきん)が処分された。今年に入ってから死者は確認されていない。(共同)

◎バンコク新空港、来年6月開港へ、東南アジア最大規模(2005年10月7日、朝日新聞)
 東南アジアで最大規模となるバンコクの新国際空港「スワンナプーム空港」の開港が、予定より9カ月遅い来年6月になる見通しとなった。計画変更や機器納入をめぐる汚職疑惑などで工事が遅れている。
 試験飛行があった9月29日、タクシン首相は「来年6月末までに商業便を飛ばしたい。地域のハブ(拠点)空港となるチャンスを早くつかまなければならない」と述べた。施設の9割以上が完成しており、年内に工事を完了させ、来年6月に開港したい考えだ。
 新空港の総面積は約3200万平方メートル。現空港の約5倍で、成田空港の約3.5倍。初年度の旅客数は4500万人を見込み、将来的に年間1億人を目指す。総事業費約1550億バーツ(約4400億円)の約半分は、日本からの円借款でまかなわれている。

◎タイ、カジノ合法化を検討、津波後遺症の対応策(2005年9月26日、産経新聞)
 タイ政府はこのほど、昨年12月のスマトラ沖地震・津波の後遺症で伸び悩んでいる観光客誘致に向けて、カジノ合法化を検討する方針を明らかにした。
 地元紙によると、政府は既に財務省に事前調査を指示。合法化されれば南部プーケット、東部パタヤなど最低4カ所に開設する方針という。
 仏教国タイでは公営競馬を除いて賭博はご法度。タクシン首相は昨年も「観光収入増と景気回復」策として同様の構想を表明したが、仏教団体などからの強い反発でいったんは断念した。
 しかし、隣国のカンボジアやミャンマーはタイ国境近くにカジノを開設。週末などは多くのタイ人や外国人観光客でにぎわっている。
 さらにシンガポール政府も今年4月、「観光客誘致競争が激化し、観光業活性化を図る必要がある」として、カジノ2カ所の建設計画を正式に発表。2009年の開業を目指している。
 プラチャー観光・スポーツ相は「外国人観光客を引きつける新しい観光資源が必要だ」と経済効果を強調する。しかし、仏教団体や教育団体の反対は根強く、「経済か道徳か」をめぐる激しい議論が当分続きそうだ。(共同)

◎タイ:爆弾テロで警官4人死傷 イスラム過激派か(2005年9月23日、毎日新聞)
 タイ南部ナラティワット県スナイパディ地区で23日朝、警察車両を狙ったとみられる爆弾テロがあり、車に乗っていた警察官10人のうち2人が死亡し2人が重傷を負った。
 地元警察によると、爆弾は路肩に仕掛けられており、警察車両の通過に合わせて遠隔操作で爆発した。携帯電話を利用して起爆させるもので、警察はイスラム過激派の犯行とみている。
 同県では20日、海軍兵士2人がイスラム系住民に拉致され、撲殺される事件が起きたばかりで、警察や軍が警戒を強化。23日朝に狙われた警察車両もパトロール中だった。(バンコク共同)

◎タイとのFTA基本合意、首脳会談で(2005年9月1日、朝日新聞)
 小泉首相とタイのタクシン首相は1日、東京で会談し、8月1日に大筋合意していた自由貿易協定(FTA)の締結に合意した。今後は来年前半の協定署名を目指して細部を詰める。鉱工業品や農水産品の関税の引き下げ・撤廃、日本企業のタイ進出を促す投資優遇策などを盛り込むことは合意している。日本のFTA合意は、シンガポール、メキシコ、フィリピン、マレーシアに次いで5カ国目になる。
 タクシン首相は会談後の記者会見で「協定締結でタイは日本にとって世界に向けた生産拠点になる」と期待を表明した。
 合意によると、鉱工業品の関税では、タイが鉄鋼製品について10年後までに撤廃。3000cc超の自動車は現行税率80%を09年までに60%に引き下げ、その後の自由化については再協議する。自動車部品は原則として11年までに完全撤廃する。
 農産品は、日本がマンゴー、ドリアンなどの熱帯果実やエビの関税を即時撤廃。タイから最大の輸入農産品である鶏肉は骨なし肉を11.9%から8.5%に、加工肉を6%から3%に、それぞれ5年かけて関税を引き下げる。コメや砂糖などは協議から除外、または再協議扱いとした。
 このほかタイ調理人の入国・一時滞在の要件を緩和。タイからの介護福祉士やスパ・セラピストの受け入れについてはさらに協議を続ける。

◎ラオスからタイに少数民族大量流入、受け入れ先決まらず(2005年8月17日、朝日新聞)
 ラオスから少数民族のモン族約6500人が昨年から今年にかけてタイ国内に流入している。ベトナム戦争時に米国に協力したことなどを理由に「ラオス国内で迫害された」という。米国への移住を求めているが、米国は受け入れる姿勢を見せておらず、タイ政府も「不法入国」としてラオスへの送還を検討している。ラオス政府は「ラオスからの脱出者ではない」と再入国を拒否しており、処遇は宙に浮いている。
 移動が始まったのは昨年9月ごろ。ラオス北部の山間地からタイ国内に入った模様で、タイ北部のペチャブン県に住みついた。
 モン族は中国南西部やベトナム、ラオス、タイ北部などの山岳地帯に住んでいる。ベトナム戦争時、ラオスでは米中央情報局(CIA)に協力して北ベトナム軍や共産勢力と戦ったという。75年にベトナム戦争が終わり、ラオスで共産主義政権が発足した後、弾圧の対象となった。20万人以上がタイに逃れ、多くが米国やカナダなどに移り住んだ。
 ラオスに残った一部は、山間部で政府軍と衝突してきた。今回タイに入ったグループは女性や子どもも多く「我々は米国に協力し、その後もラオス政府と戦ってきた。戻れば身の安全の保証はない」と保護を求めている。
 移動の理由として関係者は「ラオス政府軍による攻撃が激化して追いつめられた」「米国に移住できる、との情報が出回った」とみる。米国は03年末、タイ中部の寺院で暮らしていたモン族約1万5000人の難民に移住を認めている。しかし、米国側は「政治難民という確証はない。現時点では新たな受け入れ計画はない」とし、タイ政府も「CIAに協力したという証拠がない。経済難民という可能性も高い」として送還を打診している。
 ラオス政府は「ほかの地域のモン族だ」として再入国を拒んでいる。「自国からの脱出者と認めると、モン族への抑圧も認めざるを得なくなるため」(関係者)との見方もある。
 タイとラオス両政府は先月中旬、流入者の出身地や身元の確認をすることでは合意したが、作業は進んでいない。モン族からは「送還されれば身の危険がある。米国に行けないなら、タイにとどまらせてほしい」との声があがっている。

◎日タイFTA交渉、きょうにも最終合意(2005年8月1日、産経新聞)
 中川昭一経済産業相は31日、タイのソムキット副首相、タノン商務相とバンコク市内のホテルで会談、自由貿易協定(FTA)を軸とした経済連携協定の大筋合意に向けて深夜まで交渉を続けた。両国政府関係者によると、同日深夜、いったん協議を終了、8月1日朝に協議を再開継続し自動車分野で最終調整する。中川経産相は1日午前、タクシン首相を表敬訪問する予定。
 中川経産相は記者団に「きょう(8月1日)決着できる」と言明した。タイの交渉団を率いるピサン外務副次官は「鉄鋼と農産物は合意した。自動車分野はもっと情報を集めなければならないが、交渉は99%終わっている」と語った。
 合意すれば、タイの自動車などの関税が引き下げられ、日本とタイ、東南アジア諸国連合(ASEAN)は、製造業の域内分業で経済連携をさらに深めることになる。
 FTAの合意は、既に発効しているシンガポール、メキシコを含め、フィリピン、マレーシアに続き5カ国目となる。
 交渉終盤で最大の焦点となったのは、高級車の完成車の関税撤廃。タイは米欧メーカーが日本メーカーに対し競争力を失うとの配慮をみせ、着地点の模索が続いたもようだ。
 農産品は、コメや豚肉を棚上げすることで3月中に合意。さらに日本は、エビ加工品などの関税撤廃時期を協定発効の直後に前倒しする事実上の追加措置も決断した。
 タイのタクシン首相は7月中の合意を目指すことを表明。両国は1年半近く、交渉を積み上げてきた。(共同)

◎タイ南部で同時爆弾テロ、14人が負傷か(2005年7月15日、産経新聞)
 タイ警察当局によると、同国南部ヤラ県ヤラで14日夜、ホテルやレストランなど数カ所で爆弾が爆発、さらに銃による襲撃事件がほぼ同時に発生した。タイメディアは県当局者の話として、少なくとも市民14人が負傷したと報じた。
 南部の分離独立を求めるイスラム過激派によるテロとみられる。
 警察によると、ヤラの電力施設で爆弾テロとみられる爆発が起き、停電が発生。その後各地で爆弾が爆発したという。AP通信は、少なくとも市内4カ所で爆発や襲撃が起きたと伝えた。
 タイ南部では昨年初めからイスラム過激派によるテロが頻発、市民らに800人以上の死者が出ている。

◎タイで列車爆発、19人負傷、武装グループの銃撃も(2005年3月27日、産経新聞)
 タイ南部ナラティワット県のスンガイコロク駅近くで27日朝、走行中の列車付近で爆弾が爆発。直後に、近くに潜んでいた武装グループが列車に発砲し、乗っていた警官ら少なくとも19人が負傷した。AP通信が伝えた。
 列車には線路の点検などのため警官や鉄道関係者が乗り込んでいた。捜査当局はイスラム武装組織による犯行とみて調べている。
 調べによると、列車が駅を出て間もなく、携帯電話による遠隔操作で爆弾が爆発し、客車が横転。その後、双方の銃撃戦が約10分間続いたという。同県などタイ南部では、分離独立を掲げるイスラム武装組織の襲撃が相次いでいる。(共同)

◎タイ南部のホテルで爆発、4人死亡、30人以上負傷、テロか(2005年2月18日、産経新聞)
 タイ南部ナラティワット県当局者によると、同県スンガイコロクのホテルで17日、爆弾が爆発。4人が死亡、30人以上が負傷した。南部の分離独立を求めるイスラム過激派によるテロとみられる。
 ピックアップトラックに仕掛けられた爆弾が爆発したもよう。ホテルでは爆発時、結婚式が開かれており、市当局者は多数の負傷者が出ていると述べた。
 スンガイコロクはマレーシアとの国境の町。タイ南部では昨年初めから、イスラム過激派による爆弾テロが頻発。これまでに500人以上が死亡している。(共同)

◎プーケットの海岸、商売用パラソル禁止に、業者は反発(2005年1月15日、読売新聞)
 【プーケット=森太】びっしり立ち並ぶパラソルがなじみの光景だったタイ南部プーケット島のパトン、カマラの両ビーチ。しかし、すべてが流されたインド洋津波の後、地元政府が商売用のビーチパラソルの設置を禁止した。
 津波再来に備えて海岸に植樹をする予定があることに加え、「昔のような自然景観を売り物に」という観光政策からの措置だが、業者は「死活問題」と反発している。
 島最大の観光地、パトンビーチは、これまで55の業者が約1500基のパラソルとデッキチェアを所狭しと並べ、観光客を奪い合っていた。カマラビーチも20業者、約600基のパラソルで埋まっていた。
 パトン市役所によると、観光客から「景観が損なわれる」「ゆったりした気分が味わえない」という苦情が寄せられていたという。
 津波後は一転して閑散とした光景に。12月31日、地元政府はパラソル商売禁止令を役所に張り出した。パトン、カマラは全面禁止、他の海岸は一部区域禁止という内容だ。
 地元政府は、津波が再来しても被害が膨らまないようビーチには木を植えるとしている。パトン市役所のウィスット・タンウィタヤポン市長相談役(37)は「20年前の景色が戻ったという歓迎の声も多い。禁止決定が覆ることはないだろう」と話す。
 これに対し、27年間、パラソル商売で家族5人を養ってきたアンピアン・チュアンティンさん(57)は「こちらの窮状をわかっていない。ほかにどんな仕事があるのか」と憤慨する。津波前はパラソル1基を100バーツ(約270円)で貸し、1日の売り上げは約3000バーツ(約8200円)あったという。
 業者たちは14日、パラソル設置の許可を求めて地元政府側と交渉したが、決定は変わらなかった。

◎タイ南部で爆弾テロで、1人死亡、20人以上負傷(2004年10月29日、産経新聞)
 マレーシア国境に隣接したタイ南部ナラティワット県スンガイコロク地区で28日夜、爆弾テロとみられる爆発があり、 地元警察、病院によると住民少なくとも1人が死亡、20人以上が負傷した。うち2人は重体。
 オートバイに乗った2人組の男性が繁華街にある両替店の前に包みを置いて走り去り、その直後に爆発したという。警察は遠隔操作の爆弾とみている。
 同県タクバイ地区では25日にイスラム系住民と治安当局が衝突、警察・軍が発砲する事件があったばかりで、この事件に対する報復との見方も出ている。
 タイ外務省報道官は28日、この衝突による死者が計87人に上ったことを明らかにした。警察や軍部隊の発砲で6人が死亡、拘束した住民らをトラックに乗せ約160キロ離れた軍施設に搬送する際に78人が窒息死するなどした。
 タイ南部では、分離・独立を求めるイスラム系武装集団による爆弾テロなどが続発、今年初めからの死者は約600人に上るとされる。(共同)

◎タイでイスラム系住民84人死亡、治安当局に拘束され(2004年10月26日、読売新聞)
 【バンコク=川辺徹】タイ南部ナラティワート県で25日、イスラム系住民数千人と治安当局が衝突、住民84人が死亡、十数人が負傷した。
 ほとんどが窒息死とされ、被拘束者を車にすし詰めにして移送したためと見られる。
 南部では今年1月からイスラム過激派によるテロが多発しているが、住民と治安部隊の大規模な衝突は初めて。
 住民らは、自警団員6人が武器横流し容疑で逮捕されたことに抗議、警察署に投石を始めた。これに対し治安部隊は放水や催涙弾で応酬、約1000人を拘束した。ただ、イスラム組織指導者は、窒息死との説明に疑問を呈している。

◎キン・ジェーはじまる(2004年10月14日、バンコク週報)
 13日、タイ全土でキン・ジェー(菜食期間)が始まり、タイ国内でもっとも多くのジェー(菜食)食材を取り扱う中華街のヤワラート生鮮市場では、大勢の買物客で賑わいを見せた。キン・ジェーを10年続けている買物客の一人は、病気をしなくなったと記者に話した。
 また、世界的原油高の影響を受けているタイだが、食材の値段は昨年とほぼ変わらず安定しており、銀杏キロあたり140バーツ、椎茸240〜260バーツ、日本産220バーツ、中国産栗200バーツなどとなっている。
 キン・ジェーは22日まで続けられる。

◎鳥インフルエンザ:タイで女児死亡(2004年10月4日、毎日新聞)
 【バンコク共同】タイ保健省は4日、北部ペチャブン県で鳥インフルエンザに感染した9歳の女児が3日に死亡したことを明らかにした。同省によると、タイの鳥インフルエンザ感染による死者は11人目。
 女児の自宅で飼育中だった鶏が鳥インフルエンザで死んだことが確認されており、鶏からの感染とみられる。
 同省は9月28日、タイで初めての「人から人」への感染の可能性が指摘される例を発表し、警戒を呼び掛けていた。
 女児は9月末から高熱やせきなどの症状を訴えて入院。検査でH5N1型ウイルスが検出された。
 AP通信によると、隣国ベトナムでは鳥インフルエンザの死者は計20人に上っている。

◎タイで花火工場爆発、少なくとも9人死亡(2004年10月3日、読売新聞)
 タイ警察によると、同国中部アユタヤ県の花火工場で3日午後、爆発があり、少なくとも9人が死亡、4人が重傷を負った。AFP通信は14人が死亡、5人が負傷したと伝えている。
 死傷者は工場の従業員らで、花火を製造する作業中だったと見られる。当局者は「過失による事故の可能性が高い」との見方を示した。現場はバンコクの北約100キロ。(バンコク支局)

◎バンコク−シンガポール便“32円”、格安航空券、東南アで競争過熱(2004年9月12日、産経新聞)
 【シンガポール=藤本欣也】東南アジアで航空券の価格競争が激化している。マレーシアの格安航空会社エア・アジア傘下のタイ・エアアジアは、バンコク−シンガポール便の一部を片道0.49シンガポールドル(約32円)で発売。シンガポールの格安航空会社タイガー・エアウェイズが同路線の一部で売り出した1シンガポールドル(約65円)に対抗した。
 タイ・エアアジアが売り出したのは、15日以降出発の航空券で限定5,000枚。9日から発売を開始して、すでに完売状態という。
 一方、15日から運航を始めるタイガー・エアウェイズの方は、8月末、シンガポールとタイのバンコク、プーケット、ハジャイをそれぞれ結ぶ三路線で、一部の航空券を片道一シンガポールドルで販売。1,700枚の限定だったが、二日で完売する人気をみせた。
 通常、シンガポール−バンコク便は往復約300シンガポールドル(約19,500百円)程度で販売されている。“超格安”ではもちろん採算はとれないが、「格安航空ならA社というイメージを獲得できれば効果は計り知れない。それが格安戦争の勝敗の分かれ目となる」(シンガポールの旅行代理店)という。
 1シンガポールドルチケットを売り尽くしたタイガー・エアウェイズは現在、シンガポール−バンコク便の一部を片道40シンガポールドル(約2,600円)で販売している。これに対し、タイ・エアアジアは10月以降、やはり半値以下の19.99シンガポールドル(約1,299円)で勝負する構えだ。

◎バンコク知事選、野党候補が当選確実に、タイ(2004年8月30日、朝日新聞)
 任期満了に伴うタイの首都バンコクの都知事選が29日投開票され、野党・民主党公認で実業家出身のアピラック・コサヨティン氏(43)が当選確実となった。タクシン首相率いる与党タイ愛国党が支援した無所属の女性候補パウィナー・ホンサクン氏(55)は次点。都市住民層に与党への反発が広がっているとの見方が強く、首相にとっては、来年初めにも実施される総選挙に向け、都市部の支持獲得が課題になりそうだ。
 立候補したのは21人。バンコク都当局によると、開票率90%の段階で、アピラック氏が約34%を獲得。パウィナー氏は22%と引き離された。
 下院(定数500)で294議席を抱える愛国党は、公認候補の擁立を見送った。北部出身の首相にとって、首都バンコクは無党派層が多く、票の行方を読み切れない。擁立をめぐる愛国党内の対立もささやかれ、首相は野党との直接対決を避けることで総選挙前に深手を負うことを避けた。
 ただ、有権者が現政権に厳しい目を向けているのは事実だ。パウィナー氏が敗北したことに加え、上位2人に次いで得票したのは、風俗店を多数経営するチュウイット・カモンビシット氏(43)だった。同氏は、警察に多額のわいろを渡して売春の取り締まりを見逃してもらったと暴露。風俗店経営から手を引き、軍や警察の腐敗に自らメスを入れると訴え、支持を集めた。
 バンコクの有権者は約400万人。投票率は約60%と見られる。前回00年、民主党政権下での知事選では、無所属のサマク氏が100万票超の大量得票をした。

◎タイ南部3か所で同時爆発、ホテル客ら13人けが(2004年8月22日、読売新聞)
 【バンコク=川辺徹】タイ南部ヤラ県の地元警察が22日発表したところによると、21日深夜、同県内のホテル駐車場など3か所で、爆弾がほぼ同時に爆発し、従業員や宿泊客13人が軽傷を負った。
 負傷者に外国人は含まれていない。爆弾はバイクや車の下に仕掛けられていたという。
 同県を含むタイ南部では、1月からイスラム過激派によると見られる襲撃や爆弾事件が多発し、300人以上が死亡。地元紙によると、21日には県当局が鳥の鳴き声コンテストを開き、マレーシアなどからも観光客が訪れていた。

◎タイ:副首相が金メダル持ち帰国、国民からひんしゅく(2004年8月18日、毎日新聞)
 18日付のタイ各紙によると、同国女性で初の五輪金メダリストとなった重量挙げのウドンポーン・ポルサク選手(22)のメダルを、アテネに同行していたタイの副首相が「閣僚に見せるため」にバンコクに持ち帰り、国民から「選手をないがしろにした行為」とひんしゅくを買っている。
 各紙によると、スワット副首相は、ウドンポーン選手からメダルを借りて17日朝にバンコクに帰国し、タクシン首相らに披露した。
 タイのインターネットのチャットルームには「メダルを取ったばかりの選手から取り上げるのはひどい」「副首相は自分がメダルを取ったかのように振る舞っている」と批判が殺到。18日付の英字紙ネーションも社説で「タイの政治家のスポーツマンシップの欠如を示した」と酷評した。
 当の副首相は「ウドンポーン選手のために純金製のメダルの模型を作る目的で借りた」と弁明しているという。(バンコク共同)

◎バンコク地下鉄が開業、“世界最悪”の交通渋滞解消に期待(2004年7月4日、産経新聞)
 タイで初の地下鉄が3日、バンコクで正式に開業した。「世界最悪」ともいわれる慢性的な交通渋滞の解消が期待されている。
 地下鉄は市内フアランポン−バンスー間の約20キロ、18駅の区間で、7年の工期を経て完成。今年4月から試験運行が行われていた。総工費は約27億ドル(約2900億円)で、トンネル建設など土木工事の大部分は円借款の約2200億円で賄われた。
 3日夕にフアランポン駅を出発した第1号列車にはプミポン国王、シリキット王妃らが乗り込み、開業を祝った。同駅には開業を心待ちにした市民も多数詰め掛けた。
 運輸省は1日当たり24万5000人の利用を見込んでおり、「市内の車の数が2割から3割減る」と期待している。(共同)

◎バンコクで地下鉄開通、深刻な渋滞緩和狙う(2004年7月4日、朝日新聞)
 バンコクの中心部を走る地下鉄が3日、開通した。公共交通網の拡大とともに、深刻な渋滞の緩和と、大気汚染の軽減を図る狙いもある。同日のホアランポーン駅での開通式には、プミポン国王夫妻が出席。実際に乗車してタイ初の地下鉄の開通を祝った。
 路線は約20キロで、18駅。総事業費約3960億円のうち、トンネルや車両基地などの工事費約2224億円に日本の円借款が充てられた。

◎タイ元首相のタノム氏死去、71年クーデターに成功(2004年6月17日、産経新聞)
 タノム・キッティカチョン氏(タイ元首相)16日、脳出血や糖尿病で治療を受けていたバンコクの病院で死去、92歳。タイ西部ターク県出身。
 陸軍司令官補佐などを経て、1958年と63年に首相就任。71年11月、クーデターに成功し、国政評議会を設置、自ら議長に。72年12月、首相に就任したが73年10月、軍人政治に反発する学生主導の反政府デモに遭い、退陣。米国に亡命したが76年帰国、仏門に入った。(共同)

◎豊作ドリアン、安値でも食べ過ぎ注意!タイで死者2人(2004年6月7日、朝日新聞)
 「果物の王様」ドリアンがおいしい季節を迎えたタイ。だが、タイ保健省がこのほど「ドリアンの食べ過ぎに注意」との警告を出した。今年はドリアンが豊作で、値段も1キロ30バーツ(約80円)ほどで例年の7割程度。買いやすいために、「食べ過ぎ」によると見られる死者が5月だけですでに2人出たためだ。
 保健省によると、ドリアンは1個で約1000キロカロリー。一度に食べる適量はせいぜい3分の1個程度。先月10日に亡くなった男性(54)は、いっぺんに4個も食べていた。
 民間ではドリアンの後の飲酒をタブーにしているが、高血圧や生活習慣病の人も食べ過ぎに注意を、と保健省は呼びかけている。

◎タイ南部衝突:「モスク攻撃は致命的な失敗」、地元紙次長(2004年4月29日、毎日新聞)
 イスラム過激派とみられる武装勢力と国軍・警察との武力衝突の背景と影響について、タイの有力英字紙「ネーション」のカウィ・チョンキッタウォーン編集局次長に聞いた。【バンコク藤田悟】

−なぜ100人以上もの死者を出したのか。
 南部では今年1月以降、武装勢力による陸軍基地襲撃や警官殺害などが続き、タクシン政権は何らかの対処を迫られていた。28日早朝の武装勢力による検問所などの襲撃を機に、政権は本格的な鎮圧作戦に乗り出し、強硬路線へとかじを切った。「力には力で」という考え方を実行に移したのだ。

−なぜ強硬路線を。
 南部ではかつてイスラム国家が存在し、現在も分離運動が存続している。その歴史的経緯から、従来の政権は、イスラム勢力との平和的共存のために、長い年月をかけて相互理解を積み重ねていく手法をとってきた。しかし、政治・経済界での力を強化し、自信を深めているタクシン首相は、何事においても強い姿勢を示すことが人気につながると考えている。

−衝突の影響は
 これまで政府は、南部の問題は純粋な国内問題だと主張していたが、多くの犠牲者を出したことで、世界の多くのイスラム教徒の注目を浴び、国際テロのネットワークを招きよせる可能性が強い。特にモスクにまで攻撃を加えたことは致命的な失敗だ。これまでテロとはほとんど無縁だったタイは、この事件を機に「テロに脅かされる国」へと変質していくだろう。

◎タイ南部襲撃の死者112人(2004年4月28日、産経新聞)
 タイ南部で起きたイスラム過激派の犯行とみられる警察関連施設などへの襲撃事件でチャイシット陸軍司令官は28日、死者は犯行グループ107人、軍・警察5人の計112人に達したと述べた。襲撃は鎮圧されたが、死者はさらに増える可能性があり、南部一帯は緊張が続いている。
 軍、警察当局は身柄を拘束した17人を追及するなどしてグループの特定を急ぐとともに、逃走ルートを封じ込めるため、マレーシアとの国境付近の警備を強化した。
 パタニ県のモスク(イスラム教礼拝所)で起きた銃撃戦も同グループ側に約30人の死者を出して終了。襲撃犯はほとんどが若者で銃や刃物で武装、バイクに乗っていた。警察当局者によると、襲撃犯の若者の多くが麻薬や覚せい剤を服用していたという。
 この日の襲撃事件は、15カ所以上が同時多発的に襲われていることから、南部3県の分離独立を求めるイスラム過激派の犯行とみられるが、武器密輸グループの関与も指摘されている。
 今年1月以降、急速に南部の治安が悪化した背景には地元政治家を巻き込んだ利権対立があるとされ、背後関係は不明な点が多い。
 タイは95%が仏教徒で、イスラム教徒は4%。南部3県ではイスラム教徒が人口の70%以上を占め、就職や教育などで差別意識を抱く住民も少なくない。
 治安当局は、分離独立組織のパタニ統一解放機構(PULO)や民族革命戦線(BRN)などの摘発を強化。メンバーの多くはマレーシアとの二重国籍とされ、マレーシア側にも捜査協力を依頼している。(共同)

・タイのイスラム過激派
 マレーシア国境に近いタイ南部のヤラ、パタニ、ナラティワットの3県で、多数を占めるイスラム教徒のマレー系住民の一部が1970年代から分離独立を求め「パタニ統一解放機構」などの組織を中心に武装闘争を展開したが、80年代には多数が投降、運動は壊滅状態とされていた。しかし数年前から爆弾事件などが続き、今年に入って学校や軍施設などへの放火や襲撃が激化。バリ島爆弾テロを起こしたとされるイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(JI)やマレーシアの過激派マレーシア戦闘集団(KMM)との関係も指摘されている。(共同)

≪タイ南部テロめぐる動き≫
 タイ南部でのテロや襲撃事件の最近の主な動きは次の通り。
 2002年3月13日 ヤラ県などで武装グループの襲撃により警官6人死傷
 10月15日 イスラム過激派組織パタニ統一解放機構の元幹部3人に終身刑
 03年4月 ヤラ県などで武装グループがタイ軍武器庫を襲撃、小銃多数を強奪し兵士5人殺害
 04年1月4日 ナラティワット県で軍武器庫が襲撃され兵士4人死亡
 13日 タイ・マレーシア両軍が国境の共同パトロール開始
 3月27日 ナラティワット県で爆弾テロ、マレーシア人観光客ら29人負傷
 4月12日 タイ・マレーシア両国首相が国境地帯の治安対策強化で合意
 4月28日 イスラム過激派によるとみられる襲撃事件で多数死傷
 (共同)

◎タイ南部3県で武装集団が警察を襲撃、死者100人以上か(2004年4月28日、朝日新聞)
 タイ南部で28日早朝に発生した警察派出所などへの同時襲撃事件は、パタニ県の一部で同日午後まで銃撃戦が続いた。武装集団側の107人が死亡、治安当局側も5人が死亡し、年初から相次ぐ南部の抗争事件では最悪の事態となった。
 襲撃されたのはパタニ、ヤラー、ソンクラー3県の10カ所。パタニでは武装集団の一部がイスラム教礼拝所に逃げ込み、治安当局との間で銃撃戦となった。集団側の30人以上が死亡したという。
 タイのテレビが報じた映像によると、殺された集団の若者は多くが軽装で、バイクで逃げようとしたようだ。治安当局は事前に襲撃情報を得ており、厳重な警備を敷いていたという。
 集団の実態は不明だが、治安当局は南部を拠点とするイスラム過激派組織との関連を疑う。
 タイは国民の9割以上が仏教徒だが、南部はイスラム教徒が多い。最南部には、分離独立を掲げる複数のイスラム過激派組織が拠点を置き、東南アジアのテロ組織ジェマー・イスラミア(JI)との関係も指摘される。過激派組織は近年、無職の青年を勧誘して麻薬密輸などに関与させ、犯罪組織と結びついたとも言われる。
 仏教国の中で、イスラム地域は経済的に貧しく、失業者も多い。さらにタクシン政権は南部独自の行政組織を改造し、警察や政府機関に他県の人員を派遣するなどして地元民の反感を買った。

◎タイでイスラム過激派が警察など襲撃、70人以上死亡(2004年4月28日、日本経済新聞)
 【バンコク=長尾久嗣】タイ最南部のヤラー、パタニー、ソンクラーの3県で28日午前、イスラム過激派とみられる若者が警察署や軍の検問所などを襲撃、応戦した治安当局者などとの銃撃戦で70人以上が死亡した。イスラム教徒が多数を占めるタイ南部では年初からタイからの分離・独立を求める過激派による襲撃事件が相次ぎ、合計60人以上が死亡しているが、今回の衝突は最大規模。
 現地からの報道によると、同日午前5時半(日本時間午前7時半)ごろ、約200人の武装集団が合計10カ所の検問所や警察署をほぼ同時に攻撃した。これにより少なくとも4人の警察官が死亡、10人以上が負傷した。襲撃側にも多くの死者が出たほか、数人の身柄を拘束した。パタニーの検問所では現地時間午前9時半時点でも銃撃戦が続いている。
 地元警察当局によると、武装集団の多くは10代の若者。背後関係は不明だが、イスラム過激派の可能性が高い。チェター国防相は「よく訓練された集団による襲撃」と述べた。

◎タイ初の地下鉄間もなく開業、「名物」の渋滞解消なるか(2004年4月19日、朝日新聞)
 バンコクの都心を走るタイ初の地下鉄が今夏の開業を前に試運転を始めた。13日には試乗会が開かれ、スリヤ運輸相や日本の時野谷敦大使らが招かれた。
 東南アジアではシンガポールに次いで2番目となる地下鉄は、97年に建設が始まった。トンネルや車両基地など工事の大部分が総額2224億円に及ぶ日本からの円借款でまかなわれた。現在は全長20キロだが、将来は80キロに延長する計画だ。
 新しい物が大好きなバンコクの人たちは地下鉄にも興味津々で、試乗会には大勢の人が押し寄せた。「バンコク名物」とまで言われる渋滞解消の決め手に、と当局の期待は大きい。

◎タイ、景気拡大で税収が急増(2003年9月29日、日本経済新聞)
 【バンコク=長尾久嗣】景気拡大を背景にタイの税収が急増している。2002年10月〜2003年8月の税収は予算比20%増の9204億バーツ(約2兆7000億円)。1カ月を残して、今年度(2002年10月〜2003年9月)の歳入予定(8250億バーツ)を上回った。
 企業業績の改善で、法人税が予算比32%増となった。企業活動や消費が活発だったため、石油税は同26%増、酒税は同39%増。好調な自動車販売を反映して、自動車税は同71%増に達し、税収入の3割弱を占める付加価値税も同11%増となった。
 今年度は当初、1700億バーツ強の財政赤字を見込んでいたが、大幅減少は確実な情勢だ。政府は従来、2006年度の財政黒字化を目指していたが、タクシン首相は「来年末までに財政収支は黒字転換する」と述べ、目標を1年、前倒しできるとの認識を示した。

◎タイの麻薬摘発、口封じなどで死者1600人に(2003年5月1日、読売新聞)
タイ内務省は1日、タクシン政権が「麻薬戦争」と銘打って2月から取り組んできた麻薬摘発運動の結果を公表した。摘発に関連した死者数は計1612人に上ったが、同政権は、国民の支持を背景に、今後も運動を継続する方針だ。
 同省などによると、死者のうち37人が「警官の正当防衛」によるものだった。警官の死者数は4人。それ以外の大半の死者について、同省は「密売人同士の口封じによるもの」と説明している。また、密売人の逮捕者は4万3012人、投降者も4万3372人となり、ワンムハマトノー内相は「満足できる結果」と胸を張った。
 ただ、今回の摘発運動については、内外で、「人権侵害の疑いもある」(国際人権団体アムネスティ・インターナショナル)との批判が出ている。タイの国家人権委員会は先月30日、運動期間中に「密売人として警官に不当逮捕された」などの苦情が200件以上寄せられた、と発表した。
 一方、国民の多くは、麻薬撲滅にかける政権の決意をおおむね好意的に受け止めている。国家統計局の世論調査では、9割以上が運動を肯定的に評価し、民間の各種調査でも支持は高い。

◎カンボジア:タイ系施設10カ所に襲撃拡大、女優の侮辱発言で(2003年1月30日、毎日新聞)
タイ女優の「侮辱発言」で、暴徒化したカンボジア市民数百人がプノンペンのタイ大使館に放火、全焼させた事件で、襲撃は29日深夜になってもホテルや企業などタイ系施設10カ所近くに拡大した。このためタイ政府は30日、駐カンボジア大使を引き揚げるとともに、軍輸送機計5機を派遣して同市内の在留タイ人救出を始めた。タイ政府は、放火犯の逮捕と大使館の修復もカンボジア側に厳しく求める方針で、今後、両国関係の悪化は必至だ。
 タイ外務省などによると、29日深夜、暴徒による騒ぎは大使館に留まらず、タイ系の企業やホテル、飲食店など10カ所近くに拡大、窓ガラスを割ったり、放火するなど騒乱が続いた。この騒ぎでタイ人数人がやけどなどのけがを負い、病院で治療を受けた。タイのタクシン首相が事実上のオーナーを務める情報通信会社の系列企業も襲撃された。
 事態を重く見たタイ政府は、プノンペン市内に約400人いるとされるタイ人が危険と判断。陸軍の輸送機を派遣して救出を始めた。また、アランヤプラテートの国境検問所の閉鎖も決めた。

◎タイ女優の発言にカンボジア学生ら抗議、タイ大使館焼損(2003年1月30日、朝日新聞)
 カンボジアからの情報によると、タイの人気女優スワナン・コンギンさんの発言に抗議するとして、プノンペン市内のタイ大使館前に29日夜、数百人が集まった。一部が大使館内に侵入し放火、建物の大半が焼損した。大使館員らは避難し、負傷者はいないという。
 発端は、スワナンさんがタイのテレビ番組で「タイのものだったアンコールワットを奪ったカンボジア人は嫌い」と発言した、というカンボジア各紙の報道。フン・セン首相が27日、スワナンさんの出演作品の放映を禁じたほか、各地で抗議行動が起きていた。
 スワナンさんは「出演ビデオを見直したがそんな発言はしていない」と否定。新聞の情報源もはっきりせず、最初に報じた地元紙は「タイのテレビ番組で言ったのを聞いた」との一般市民の情報をもとにしたという。

◎タイ式マッサージに市場開放を日本に求める(2003年1月30日、朝日新聞)
28日行われた日タイ経済連携協議でタイ側は「タイでマッサージ師の資格をとったら日本でも働けるようにしてほしい」と資格の相互承認を要望した。
 厚生労働省の代表は「日本ではあんま・指圧・マッサージ師の資格を取るには実技3年を経て国家試験に合格することが必要」と慎重な姿勢を崩さなかった。
 タイの伝統的なマッサージは観光客に人気があり「タイ料理と並んで世界的に市場がある」とタイ政府は普及に力を入れている。タクシン首相は「大量生産型よりタイ文化に根ざした得意分野で世界一を」という産業育成を目指している。マッサージと併せて薬草を使ったタイ式エステサロンの日本進出も課題だ。
 日タイ貿易は日本の大幅な黒字で、タイ側は「コメの市場開放」を強く求めているが、守りは堅く「マッサージ師の市場くらいは開けてほしい」と日本の寛容な態度を求めている。
 連携交渉ではすでにフィリピンが看護師・介護士の資格認定を求めており、労働市場の開放が懸案として浮上している。

◎エヌ・イー ケムキャット、韓国で表面処理薬品生産検討(2001年7月19日、化学工業日報)
 エヌ・イー ケムキャットは、海外生産の強化に乗り出す。同社は昨年1月に表面処理薬品部門で韓国に販売会社を設立しているが、現地製造に切り替える検討を今秋から始め、2003年春までに最終的な方針を打ち出す。また戦略エリアに位置付ける中国市場での事業を有利に展開していくため、当地への拠点進出も中期的な視野に入れる。一方、自動車排気ガス浄化用触媒部門では、今春に商業生産を開始したタイ合弁に関し、来年度の単年度黒字化を目指す。

◎サムスン電子、年産倍増(2001年6月27日)
 韓国からタイへの生産拠点移転を進める大手家電メーカー、サムスン電子がタイ工場の増産計画を打ち出した。現地法人タイ・サムスン・エレクトロニクスに4,000万米ドルを注入し、3年内にタイで生産している全製品の最大年産を倍増、輸出割合を70%に引き上げる。
 サムスンは東部チョンブリ県シラチャの工場でAV機器や白物家電の製造を行っている。現在の年産はテレビ5万台、ビデオデッキ5万台、洗濯機70万台、冷蔵庫43万台、エアコン4万台。ライン稼働率は100%。輸出割合は50%。年内に1,400万米ドルを投じてコンピュータモニターの製造も開始する計画だ。年産は20万台。
 サムスンは携帯電話端末市場でシェア10%獲得を目指し、新製品「SGH」シリーズ3モデルを発表した。販売価格はA200モデルが2万3,900バーツ、N200モデルが1万8,900バーツ、N100モデルが1万2,900バーツ。月間販売目標は1万5,000台。4,000万バーツを投じてマーケティングに力を入れ、ブランドの浸透を図る。
 サムスンは数年前にタイで携帯電話を発売したが、新モデルを投入しなかったことやマーケティング方法のまずさが響き、シェアが伸び悩んでいた。今後は半年ごとに新しいモデルを投入する方針で、来年にはCDMA(コード分割多元接続)方式携帯電話端末も発表するとしている。
 タイ・サムスンの昨年の売上高は70億バーツ、今年は100億バーツを見込む。

◎タイ製部品・材料、調達企業に優遇措置(2001年4月16日、日刊工業新聞)
 タイ政府は、タイ製の部品や材料(ローカルコンテント)を多く調達する事業に新たな優遇措置を設けることを決定した。4月末にタクシン首相と関係省庁、企業の代表などが詳細を協議する。タイはこれまでほとんどの原材料を輸入して完成品を輸出する電気・電子製品の工場進出を奨励してきたが、日米経済の減速で成長率や通貨バーツの下落による悪影響が出ている。部品など周辺産業の育成で内需の拡大などを図る。
 タイ政府は優遇策として、ローカルコンテント調達の多い企業向けに、恩典を付ける工業地域の指定や法人税減税などの仕組みを新たに検討している。すでに外国企業の進出を誘致するため減税などを行ってきたが、「これまでの外国投資優遇措置は変えない」(タクシン首相)としている。輸出企業への優遇の後退や見直しではなく、さらに特典の大きい制度を設ける。タクシン首相は2月に就任して以降、海外経済への依存度を引き下げるための内需振興や進出企業の現地調達促進を課題に挙げてきた。